Banbi通信 VOL.317 | 初鹿明博オフィシャルブログ Powered by Ameba

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共謀罪が成立、委員会採決省略は議会制民主主義の否定だ!

「総理のご意向」文書は実在、総理は加計問題から逃げるな!

 

 6月15日朝、参議院本会議において共謀罪法案が法務委員会の採決を省略するという与党の強引なやり方で可決、成立してしまいました。

 13日の法務委員会、午前中の参考人に対する質疑を行いましたが、その日の午後の審議中に審議を打ち切って強行採決することを与党側は目論んでいるのではないかとの憶測から、野党4党で金田法務大臣の問責決議案を提出し、法務委員会の審議を中断させました。

 加計学園の獣医学部新設問題での不誠実な対応などを理由に山本幸三地方創生担当相の問責決議案も提出し、翌14日の参院本会議で採決が行われることとなりました。

 14日になって情勢が一気に加速します。

 閣僚や委員長などの不信任や問責決議案が提出されると全ての委員会審議を止めて、問責等の採決を先に行うための本会議を開会します。

 通例なら、ここで否決して、何事もなかったかのように委員会での審議を再開するものですが、今回は、本会議を続行して、そこで、法務委員長から中間報告を行い、直ちに採決を行う動議を提出して、委員会採決を省略して採決を行うという禁じ手を行ったのです。

 ここまで異例のことを行うことになったのは官邸、つまりは安倍総理からの強い要求があったからだと言われています。

 では、なぜここまで強引なことをしたのか、理由は大きく2つあると思います。

 加計学園問題の追及を恐れ、どうしても国会を延長せずに会期内で共謀罪法案を成立させたかった、それには、日程的に15日の午前中には成立させないとならなかったということ。もうひとつは、参院法務委員会の委員長が公明党議員であるため、強行採決して委員長が野党議員に取り囲まれて強引に採決を進める姿を都議選前に国民に晒すことを嫌がった公明党に配慮するためだと考えられます。

 つまりは、どちらも政権側の都合なだけであって、その程度の理由で国会の基本的なルールを歪めてしまったということなのです。

 安倍総理は絶えず国民に丁寧に説明すると言いながら、実際に行っていることは野党議員からの批判に正面から向き合うことをせず、答弁も二転三転して、犯罪の構成要件となる実行準備行為が何なのか、対象となる組織的犯罪集団とは何を指すのか、そして、一般人は対象になるのかという法律の基本中の基本も説明出来ずに審議を打ち切ってしまったこと自体も酷い話ですが、それに加えて、いや、それ以上に私が問題だと思うことは、以下の点であります。

 総理の意向で委員会採決を飛ばすことが出来るようになったら国会は要らなくなるということです。

 安倍総理は「私は立法府の長ですから」と誤った答弁をしたことがありましたが、行政府の長である総理が国会運営に口を挟み、自分の思う通りに行わせていることを見ると、言い間違えたのではなく、本当に自分は「立法府の長」でもあると考えており、実際にそういう行動をとっているのだということに気が付きました。

 一言で言えば、憲法や議会制民主主義のルール、三権分立などどうでも良くて、総理大臣になったら何をやっても良いのだと本気で思っているのだと感じます。

 歴代の自民党の総理の中にこのような人はかつていたでしょうか?私の知る限りは誰一人としておりませんでした。総理大臣までなった政治家の皆さんは全員、憲法を遵守し、時間がかかっても民主主義のルールである手続きを重視して国家運営を行ってきたと思います。つまり、安倍総理は歴代総理とは全く異なる危険な総理大臣であるということを、是非理解していただきたいと思います。

 権力者は常に国を安定的に統治するために、自分に反対する人や自分と意見を異にする人々を排除したいと思いがちで、そのために、国民の自由や権利を制限したいという欲求にかられるものだと思います。その一方で権力に対して謙虚であるべきだし、権力の行使については必要最小限に留めるよう心がけるものです。特に、権力者が自分の保身のために権力を行使することは自粛してきたと思いますし、実際に、田中角栄元総理がロッキード事件で逮捕されたことがその証だと思います。

 しかし、安倍総理という人は自分の身を守るためなら、ルールを度外視してなりふり構わず権力をふるうことを何のためらいも無く行ってしまう人なのです。

 今回、共謀罪法案について法務委員会の採決を省略して、本会議で採決を行ったことは許しがたい暴挙であり、良識の府であるはずの参議院が良識の府であることを捨て去ったということだと感じています。更に言えば、国会が総理の意向に従い続ける姿は、国会が内閣の下請け機関に成り下がったと指摘せざるを得ません。

 更に驚きなのは共謀罪を強引に成立させ、国会も残り1日となった115日になって、やっと文科省が加計学園問題に絡む文書が存在していたことを認める発表をしたことです。

 我が党が約一か月前にその存在を調査するよう求め続けたにも関わらず調査を拒み、内閣支持率が低下して、遂に再調査することになりましたが、その発表が国会を閉じる日というのは国会審議で野党から追及されることから逃げたと言わざるを得ません。

 菅官房長官はこの文書の存在が明らかになった時「怪文書」と評価しました。また、安倍総理は「印象操作だ」と述べていました。まずは、この発言が誤りだったことを認め、国民に謝罪すべきです。

 また、今回の文科省の結果を受けて、文科省に働きかけたという側の内閣府も調査を行い、一日で調査結果を出してきました。文科省の調査では、萩生田官房副長官が、獣医学部新設の要件に関して今治市のみが対象となるように文書に手を加えたというメールが存在することも明らかになったのですが、内閣府の調査ではこのことも含めて、文科省の調査結果と正反対の調査結果を明らかにしたのです。

 一日で調べがつくことを拒み続けてきたことは隠ぺいしようとする意図があったとしか思えない上に、文科省と内閣府で調査結果が正反対であるのだから、前川喜平前文科事務次官、萩生田幹部副長官など関係者の証人喚問を行なう以外にこの問題の真相を解明することは出来ません。

 国会は閉会しましたが、このまま疑惑に蓋をしてしまうことなく、真相解明すべく、関係者の証人喚問を求めるものであります。

 いずれにしても、民主主義を無視する独裁国家さながらの安倍政権を許す訳には参りません。

 今こそ日本国憲法第12条の規定の通り、「日本国憲法で保障された自由及び権利を保持するため」我々国民が「不断の努力を行わなければならない」と感じています。

 民進党はじめ野党も努力しますが、国民の皆様も民主主義を守るために立ち上がっていただきますようお願い申し上げます。