Banbi通信 VOL.282 | 初鹿明博オフィシャルブログ Powered by Ameba

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政治家の劣化が止まらない…
自民党議員のトンデモ発言が続々と

 国民の多くが反対している安保関連法案が衆議院を強行採決で通過し、参院での議論が始まりました。
 また、新国立競技場整備計画を白紙に戻すことを安倍総理が表明し、二転三転したことに批判が沸き起こっています。
 当然ながら内閣支持率も低下し、マスコミ各社の世論調査で不支持が支持を上回るようになっています。 これまでの自民党ならば、このような時期には、各議員が事を荒立てないように慎重な行動をするよう徹底してものだと思います。
 ところが、今の自民党は奢っているのか、根本的に議員の質が劣化してきているのか、国会議員としての資質を疑うかのような暴言、放言が次から次へと飛び出しています。
 参院の予算委員会に参考人として招致されることになった磯崎総理補佐官は、この安保法制の審議の最中、総理を補佐する立場にもかかわらず、法案について「法的安定性は関係ない」という驚くべき発言をしました。
 法的安定性というとどういうこと?と思う方が多いと思いますが、簡単にいうと今日認められていなかったことが、明日には認められたり、今日は罪にならないことが明日には捕まってしまうようなことがないようにするのが当たり前のことで、この今日明日でころころと変わらないことが法的安定性が保たれているということです。
 今回の政府案の最大の問題は、これまでの憲法解釈では集団的自衛権の行使は認められないとしていたものを、武力行使の新三要件というものを作り出して、集団的自衛権を完全にではなく限定的に認めると憲法解釈を変更したことが、法的安定性を損なうことになり、違憲であると憲法学者は元法制局長官が指摘していることであります。
 それに対して、政府の見解は法的安定性は保たれていると強弁してきた訳ですが、総理補佐官が「法的安定性は関係ない」と発言するということは、やっぱり政府の本音はそうだったのかと言わざるを得ません。
 参院の委員会で発言は撤回しましたが、最初に言ったことが本音だと思います。法的安定性など関係なく、やりたいことは手続きやルールを無視しても構わないのだという傲慢な姿勢、民主主義や立憲主義を蔑にする姿勢は隠せないと思います。
 磯崎補佐官は法案の審議についても、「9月上旬までに終わらせたい」と参院の自立性を損なうような発言もしています。流石にこの発言に対しては自民党の鴻池委員長も「参議院は衆議院の下部組織ではない」と磯崎補佐官を叱責しました。
 さて、民主主義の基本がわかっていないのは磯崎補佐官だけではありません。
 武藤貴也議員は、
 日本国憲法の「三大原理」は「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」で、「戦後の日本はこの三大原理を疑うことなく「至高のもの」として崇めてきた。しかしそうした思想を掲げ社会がどんどん荒廃していくのであるから、そろそろ疑ってみなければならない。むしろ私はこの三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想だと考えている。」
 と書いています。
 そして、「基本的人権の尊重」が日本精神を破壊した「主犯」だとし、基本的人権は「生存権」であっても制限されるものというのが「常識」だったと続きます。
 フランス革命によって確立した基本的人権というものが何なのかを全く理解していない非常に幼稚な発言で、王様が支配する封建制を倒して確立した国民主権を基本とした近代民主主義を否定しているといっても言い過ぎではないと私には感じます。
 権力者は思うがままに振る舞って良いという傲慢な考えが根底にあり、ナチスドイツのような全体主義の国を志向していると考えてもおかしくないのではないでしょうか。
 人権意識の低い議員はまだまだいました。
 来年の参議院選挙で改選となる参院東京選挙区の中川雅治参議院議員は、自身のブログのいじめ問題を考えるというところで、
 「ちょっと小さくて可愛い同級生を全部脱がして、着ていた服を教室の窓から投げるようなことをよくやっていました。脱がされた子は素っ裸で走って服を取りに行くんです。同級生を脱がして、皆でお腹やおちんちんに赤いマジックで落書きしたりしました。やられた方は怒っていましたが、回りはこれをいじめだと思っていませんでしたね。今なら完全ないじめになり、ノイローゼになったりするケースもあるのかなあと思います。いじめられている方も弱くなっているという側面はありませんか。」
 という驚くべき発言をしています。
 また、愛知県の熊田裕通衆議院議員もブログで、
 『産休補助でみえた若い女性教師が生意気だということになって、いつかギャフンと言わせようと仲間とチャンスをうかがっていたんです。放課後、先生がトイレ掃除の点検にやってきました。好機到来です。中に入ったところで外からドアを押さえて閉じ込めたんです。そして、天窓を開け、用意していた爆竹を次々に投げ込んだんですよ。はじめは「開けなさい」と命令していた先生も、そのうち「開けてください」とお願い調になり、最後は涙声で「開けて~」と絶叫調に変わってきた。「やった~」と快感でしたね。』
 と書いています。
 お二人とも、実際にはこのようなことはしておらず、エリートにありがちな「俺も昔は悪かったんだぜ~」ということを示したかったのかもしれませんが、公職に就くものが言うべき発言ではないと思います。
 いじめられている方も弱くなっているという発言は、いじめ問題の本質を全く分かっていないと言わざるを得ません。
 このように、常識外の発言をしてしまうのはなぜか?やっぱり政治家の質が下がっているからなのでしょうか?
 巨大与党となり何を言っても許されると考えているからなのか、単に気が緩んでいるだけなのか分かりませんが、現在、深刻な法案を審議しているという緊張感も持っていないのだとすると国会議員として失格だと言わざるを得ません。
 マスコミに圧力をかけるような発言をして強い批判を受けた議員がいるのにもかかわらず、このような発言が出てしまう程、自民党議員の質が劣化してきているのでしょう。
 同じ国会議員として恥ずかしくてたまりません。
 せめて国際的にも通用する位の人権感覚があり、近代民主主義を理解する人を国会議員には選んでもらいたいと感じます。
 このような議員が排出されるのも小選挙区の弊害なのかなと感じます。
 あまりにも驚くべき発言が続いたので今日は紹介させていただきました。