日経コンピュータ2024.02.08 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は<オファリングビジネスの正体 富士通・NEC・日立、脱労働集約へ>です。オファリングビジネスとは聞きなれない言葉です。ITベンダーが御用聞きから提案型に切り替えるという意味だそうです。え?いまさら?売れるものあるの?

編集長セレクト】(P.06) ■ID登録だけで無料で読めます■
Googleが生成AIを使った「マルチ検索」開始 画像とテキストの合わせ技
→スマホのGoogleアプリでカメラアイコンから。役立ちます
DBテクノロジーがCentOS延長サポートを販売 契約期間は最短3カ月
→2024.06.30に終了するCentOS7を最低4年延長可能
インボイス対応「課題発生」33.6% 大企業はデジタル化で中小企業は税理士委託で対応
→300人のアンケート結果

オファリングビジネスの正体 富士通・NEC・日立、脱労働集約へ】(P.10)
ITゼネコンが、企業1社に向けた受託開発から、共同利用型のサービス利用を提案する方向へビジネスモデルを転換しています。
1.要求が不明確でも提案 資産を再利用し開発
・システム化領域の拡大
 →システム目的が業務効率化から社会課題の課題へ
・開発の変革
 →ITベンダーが持つ部品の組み合わせで提案
・ビジネスの変革
 →人月単価からサービス価値へ
2.拡充時の3要素 まずは資産の標準化
・アセット(部品)を組合せる →組み合わせてメニュー化
・提供体制を整える →コンサルから構築まで一体化
・他社を巻き込む →顧客を複数巻き込んで提案
3.売る仕組みが必要に 活用段階でも課題
・営業担当者の評価する仕組み
4.従来型受託をゼロに BIPROGYの改革
・受託開発は、他のサービスでも使えそうなアセットの獲得につながる場合は受注する。そうでない場合は無理して取りにいかない(BIPLOGY)

ITゼネコンの終わりの始まりかも知れません。お客様の「価値」をアップするという視点がまったくありませんでした。

ITインフラテクノロジー AWARD2024】(P.36)
5人の有識者を招きアワードを選考されました。
1位:生成AIによる開発支援ツール:GitHub Copilotなど
2位:ノーコード/ローコード開発ツール
3位:ドメイン特化型LLM:業種や用途特化

国立情報学研究所の佐藤一郎教授の注目技術が<次世代テープドライブ>でした。磁気テープは実は日本が大きな世界シェアを持っているのに先進国では日本だけ売れてないそうです。トッパン、富士フィルムが熱い?

石川県が非難所情報を一元集約 1週間で新システム実装の裏部隊】(P.50)
石川県は2020年から「石川県総合防災情報システム」を運用し、避難所情報を一元管理するはずでした。ところが道路寸断などで指定避難所以外の自主避難所や孤立集落が多数発生しそれらの情報を入れる必要に迫られました。


 SAPジャパン、サイボウズ、NTTデータ関西、日本IBMなどがボランティアでシステムを構築し迅速に構築しました。毎回こういう話がありますが、国が1つシステムを作れば全国で使える?

携帯4社が能登半島地震の応急復旧 道路寸断・停電・悪天候に苦労】(P.51)
2024年1月1日に発生した能登半島地震を受け、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯4社は通信エリアの応急復旧を1月17日までに終えました。

NTTドコモとKDDIは船上基地局の運用を連携して実施しました。
道路寸断や悪天候の中で低軌道衛星通信が大きな役割を果たしました。楽天以外の3社は米スペースXの「Starlink(スターリンク)」のアンテナを提供しスポット利用しました。KDDIと楽天モバイルは低軌道衛星とスマホの直接通信の開発を進めています。

スマホはライフラインになっています。技術的な復旧が早くなってきました。各企業の努力のたまものでしょう。1995年阪神淡路→2011年東日本→2024年能登。

日経XTECH2024年1月の好評記事】(P.56)
富士通がハードから完全撤退 純粋なサービス企業に変身か
→乱反射の北川氏の1/24の記事
マウスを使わずに操作が完結するキーボード 「HHKB Studio」、入力時の安定感は抜群
→高級キーボードの新型。4万4千円
大学入学共通テストの「情報Ⅰ」は大丈夫か、2024年の問題を見て不安になった話
→「www」の定義、僕でも不正解でした。問題が悪すぎる

ケーススタディー:花王】(P.58)
経費精算を変革しながら容易に 外資から国産SaaSへ移行し実現
基幹システムではなく経費精算ですので利便性だけの判断で変更しやすいですが、世界的なコンカーから国産SaaSに移行したという珍しい事例です。しかもコンカーのライセンスはデータ移行の関係からまだ解約されていません。


当初:自社開発システム →モバイル対応が必要
2018:コンカー →使い勝手が悪い
2023:SAPPHIRE

コンカーは2014年にSAPに買収されさらに世界中に広がるようになった経費精算クラウドシステムです。私も使ったことがありますが機能は充分ですし日本ローカライズもされています。
入れ替えの理由は、①カスタマイズできない②新機能が追加料金になる だそうです。

この分野は法的な影響が大きいためパッケージに手を入れる事は禁じ手です。日本のSaaSなら力関係で標準機能自体を変更出来たのかも知れません。丸亀製麺戦略と同じです。これは一つの正しい方式のように思います。

動かないコンピュータ:クラスメソッド】(P.64)
2023年12月、ある顧客でセキュリティーインシデントが発生。「フォレンジック調査を実施するため、アクセスやAPIを全部止めて欲しい」という相談がありました。その特別な操作を行う時に(ダブルチェックしたにもかかわらず)誤って複数顧客に影響する操作を行いました。クラスメソッドに運用を依頼している複数の顧客で25分間、AWSの各種操作が出来なくなりました。

クラスメソッドでは1つの管理用アカウントの配下に複数企業の顧客アカウントをぶら下げる構成としています。そのため誤って管理用アカウントに操作し複数企業に影響しました。クラスメソッドは同じ障害を2度と発生しないための再発防止策を発表し2024年2月には運用を開始します。

AWSをサポートする日本の企業として押しも押されもせぬトップの企業です。動かないコンピュータに出るとは残念ですね。

社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第259回】(P.82)
生成AIについての協業や人材育成、ルール作りを進める団体として、一般社団法人Generative AI Japan(略称GenAI=ジェナイ)が2024年1月9日に発足しました。代表理事は慶応大学の宮田裕章教授です。宮田氏はたまにテレビのコメンテーターとして髪を銀や青に染めているブラックジャックのような方です。

ジェナイの活動5点について紹介します。
1.先端技術の共有と連携 →AWS,GCP,Oracleが協力
2.ビジネスユースケースの共有と実装支援 →事例提供
3.Labを起点にした共創・協業 →東西にLabを設置
4.教育・学び →企業教育プログラムの検討・開発・提供
5.生成AI活用のルール作り・提言 →国や公共機関に提言

日本得意の護送船団方式に見えます。ソフトバンクの孫正義氏が半年で630件の発明特許を出した
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/24d6c73a5efa3be448d0a34e2eb4fc6baa002fd8
と公表されています。そういう個別の尖がった動きを取り込めるのかがポイントでしょう。

以上