HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

◆ほぼ毎月、IT勉強宴会 を開催しています。勉強会の内容は毎回詳細なblogにまとめてあります。御用とお急ぎでない方はお立ち寄り下さい。
www.benkyoenkai.org
◆チャンスがあればぜひ実際のIT勉強宴会にもお越しください。文字だけで理解出来るのは10%以下だろうと思います。

日経コンは2週間に1度、年に52週÷2=26冊出る雑誌です。2010年から全号精読して記事をザッピングしています。
※はブログ筆者のコメントです


特集は<JFEの不撓不屈 鉄作りを止めるな、基幹系刷新の全貌>です。JEFは2006年ごろから2011年にかけて、データモデリングをベースにした基幹システムの刷新を成功させています。記者さんはその事をご存じないのかも知れません。「ITによる業務変革の「正攻法」 JFEスチールの挑戦」(日経BP)

ITが危ない:GitHub内部リポジトリーが標的 漏洩リスクは公開版の6倍に】(P.08)
GitHubのソースに書いた認証情報などが漏洩し、内部リポジトリーなどに不正アクセスされるという事件が多く発生しています。2026年5月に、クラウド会計ソフトのマネーフォワードとGitHub自身が「VS Code」から情報が漏洩したと相次いで発表されました。

ギットガーディアンが2026年3月に調査レポートによると、非公開の内部リポジトリーからの機密情報漏洩は、パブリックリポジトリーと比較して6倍ほど高いとのことです。内部リポジトリーだからという理由で厳格な運用を行っていないケースがあるためでしょう。またAI活用が広がったため、コミット量が多くなりセキュリティーが低くなること。NHI、「Non-Human Identity(非人間アイデンティティ)」が多くなり人の管理下から離れているケースもあります。


※外部公開しないソースなら、パスワードを直書きしている事が多いため漏れると被害が大きくなります。気をつけましょう。

JFEの不撓不屈 鉄作りを止めるな、基幹系刷新の全貌】(P.10)
1.中断乗り越え完遂 製鉄業への熱い思い
JFEスチールは、全国6カ所の製鉄所・製造所を支える基幹システムを、5年2カ月かけて刷新完了しました。IBMと富士通のメインフレームで稼働していた約2億ステップのプログラムをクラウドへ移行するという、前例のない規模の挑戦でした。原動力となったのは、「鉄を作り続けるため、システムに縛られたくない」という西圭一郎専務執行役員の強い思いです。

当初2016年から福山地区を起点に進めていた旧プロジェクトは、業務要件から見直す「リビルド」方式を採用しましたが、テストの進捗から全機能完了までに14年を要すると判明し、2019年に中断を決断。社長が親会社であるJFEホールディングスへ頭を下げる事態となりました。

1年をかけて再検討した結果、機械的な言語変換による「リライト」方式へ転換し、2020年に再始動。特に難度の高かった福山地区は、独自言語や複雑なデータ構造を抱えながら、ベンダーに頼らず自社とグループ会社のみで移行を成し遂げました。

2.周到な準備と現場力 業務フローを基に判断
刷新プロジェクトを当初計画より2年前倒しで完了できた背景には、周到な準備と現場力がありました。まず全業務フローを洗い出し、それを基準に画面・帳票・アプリケーションの要否を判断。利用実態のない機能は思い切って廃止し、画面レイアウトは平均46%、帳票は59%、アプリケーションは27%を削減しました。

移行手法はスピードを最優先し「リライト」を選択、Javaへの変換率はほぼ100%に達しました。さらにテスト工程では、当初は全機能を網羅的に検証していましたが、進めるうちに顧客影響の少ない機能は簡易テストで済ませるといった「濃淡」をつける判断基準を確立。後続拠点にノウハウを展開したことで、投資額を当初比36%まで圧縮することに成功しました。

※記事には触れられていませんが、JFEスチールは2011年ごろにデータモデルを中心とした基幹システムの刷新を経験しています。その際に整理されたデータ構造やコード体系の蓄積が、今回のリライトが機械的な変換だけで高い成功率(変換エラーなし、変換率ほぼ100%)を実現できた土台になっていた可能性があります。記事は今回のプロジェクトを単純な機械的リライトとテストの積み重ねとして描いていますが、実際には過去の刷新資産の存在が背景にあったと考えられます。

3.刷新完了で本業加速 設備投資に5000億円
刷新完了後、JFEスチールは本業である製造設備への投資を加速させています。倉敷地区での革新電気炉建設(3294億円)や福山地区の新製造ライン(約700億円)など、発表済みの設備投資額は合計5000億円を超え、システムリフレッシュ費用(約1100億円)の5倍近くに達します。また、プロジェクトを通じて現場から集まり育った人材が、業務改善のノウハウを各拠点へ広げる役割を果たしています。業務フローを整理し改善につなげる手法も、製造現場にとどまらず営業部門など事務系業務へ展開され始めました。さらに、挑戦的プロジェクトを途中で立ち止まり継続可否を審査する制度を新設するなど、失敗を隠さず共有知とする文化づくりも進めています。培ったノウハウは「JFE Resolus」ブランドの下、外部企業への提供も見据えています。

※システム刷新費用が小さく見えますね。

3大クラウド、AI徹底比較 エージェント数千体時代の競争軸】(P.40)
1.加熱する開発競争 焦点は管理基盤に
グーグル、AWS、マイクロソフトの3社は、AIモデルやAIエージェントの品ぞろえを競う段階から、数千体規模のAIエージェントを統合的に管理する基盤(Google:Gemini Enterprise Agent Platform、MS:Agent 365、AWS:Bedrock)の整備へと競争軸を移しています。導入検討時は、単体エージェントの性能だけでなく、管理・統制のしやすさを重視すべき局面です。

2.半導体にAIモデルも 異次元の投資合戦
Google Cloud:半導体からAIエージェントまで自社で垂直統合する路線です。学習用と推論用でTPUを分離し、推論性能とコストを最適化しています。既存でGoogleサービス群を使う企業や、セキュリティー・ガバナンス機能(Agent Identity等)を重視する開発者に向いています。

AWS:自前の強力なAIモデルは持たず、OpenAIやAnthropicなど外部の有力モデルをBedrock経由で幅広く使える「マルチベンダー窓口」型です。特定モデルに縛られたくない、エンジニア層の厚さや情報量を重視する開発者に適しています。

Microsoft:Microsoft 365などの既存業務データ活用に強みがあり、Web IQ・Work IQ・Fabric IQ・Foundry IQという4つの「頭脳」でコンテキストを整理する設計です。Word/Excel等をすでに使っている組織で、業務データを絡めたAIエージェント運用をしたい場合に適していますが、価格の高さは考慮点です。

3.パートナー企業が告白 企業のAI活用支援を
日本のパートナー企業の評価をまとめると、技術選定の実務的な判断材料が見えてきます。
AWSは国内のエンジニア数・情報量が多く、Bedrock経由でAnthropicのClaudeを使う企業が多いのが実情です。契約や支払い処理を一本化したい場合や、特定ベンダーとの直接契約を避けたい場合にメリットがあります。
Google Cloudは「AIファースト」設計でAIがデータにアクセスしやすく、管理基盤のセキュリティー・ガバナンス機能が強い一方、サービス自体は後発でエンジニア層はAWSほど厚くありません。
マイクロソフトは既存のMicrosoft 365ユーザーとの親和性が高く、業務プロセス全体を見直す変革に踏み込みやすい反面、価格上昇への懸念が指摘されています。

※技術者としては、①社内の既存システムとの親和性、②契約・支払いの実務、③エンジニア人材の確保しやすさ、の3点を軸に選定するのが実践的といえます。

ニチレイの東西両センターで障害 不正アクセスの影響を避けられず】(P.60)
ニチレイは不正アクセスによるシステム障害を2026年7月13日に発表しました。冷凍食品の生産・出荷や冷蔵倉庫の入出庫業務に支障が出て、井村屋やテーブルマークなど取引先にも影響が波及。同社はDR対策として東西2拠点に基幹システムを構築していましたが、両拠点が同一ネットワークに接続していたため、不正アクセスの影響を双方で受けた可能性があります。復旧は7月24日でした。

米先端AIに肉薄する中国「Kimi K3」 性能向上の鍵は2つの機構刷新】(P.65)
中国のAI新興企業ムーンショットAIは、最新モデル「Kimi K3」を公開しました。パラメーター数は2兆8000億で、オープンモデルとして世界最大級です。総合性能では米国勢に及ばないとしつつも、コーディング性能や長期タスク遂行の指標では首位を主張し、「DeepSeekショック」再来を懸念する声も出ています。

性能向上の鍵は2つの機構刷新にあります。1つは、過去の全トークンを見返す代わりに履歴の要約を逐次更新して計算負荷を抑える「Kimi Delta Attention(KDA)」で、KVキャッシュを最大75%削減し、デコード速度を最大6倍に高めました。もう1つは、各層が過去の層の出力から必要な情報を動的に選び取る「Attention Residuals(AttnRes)」です。従来の残差接続では層が深いほど各層の寄与が薄まる無駄がありましたが、これを解消しました。これら2つの効果により、前世代のKimi K2比で約2.5倍のスケーリング効率を実現したとしています。

一方、オープンモデルであるため開発元による統制が及びにくく、サイバー攻撃への悪用を懸念する声もあります。国内省庁幹部は、統制された高性能モデルを使えない攻撃者でもKimi K3には触れられるとして、これを用いたペネトレーションテストの必要性を指摘しており、米中のAI覇権争いだけでなく企業のサイバー防衛体制も転換点を迎えていると言えます。

※「キミケースリー」は私の周りでも相当使われてそうです。

AIリーダーズ:フリー共同創業者 CAIO 横路 隆氏】(P.76)
<AIが使いやすいSaaSへ>

フリーの横路隆氏は、2026年1月にCTOからCAIO(最高AI責任者)へ就任しました。生成AIの進化を体感し、全社変革の必要性を強く伝えるための判断だったといいます。2026年7月にはCAIO直下に新組織AIBPを設置。AIエージェントを業務にどう配置し、効果を出しているかをモニタリングする役割で、人件費とトークン費の配分を判断するためのトークンマネジメントにも着手しています。

エンジニアが書くコードの約6割はすでにAIが担っており、人間がAIに的確な指示を出せるかが開発のボトルネックになりつつあります。マーケティング動画の制作費も、外部委託で月数百万円かかっていたものが、AIエージェント活用で1日1万円規模に激減しました。

同社は「人が使う(Done by You)」から「AIエージェントが仕事を代行する(Done for You)」へのビジネスモデル転換を掲げ、外部AIエージェント向けのMCPサーバーをOSSとして公開したほか、月次決算や給与計算を自動化する「freee AIアシスタント」もリリースしています。営業活動でも、顧客データにAIエージェントがアクセスし次のアクションを提案する仕組みづくりを進めています。

※SaaSは確実にAI競争になっています。利用者からすると楽しみですが中の人にとっては死活問題でしょう。

動かないコンピュータ:弁護士ドットコム】(P.78)
デジタル庁などが仕様に疑義 マイナ署名関連の一部機能を停止
弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」で、マイナンバーカード署名付きファイルのダウンロード機能に問題が発覚しました。ダウンロードしたPDFに電子証明書の失効情報が含まれていたことが判明し、デジタル庁と総務省が公的個人認証(JPKI)法の趣旨に照らして疑義があると判断。同社は2026年6月17日に同機能の提供を停止しました。

同社は2025年4月に日本初のこの機能を提供開始した経緯があり、国際標準規格「PAdES」に準拠した長期署名(LTV)フォーマットを実現するため失効情報を含めていたと説明しています。しかしJPKI法は失効情報の外部提供を厳しく制限しており、行政機関などに限定して「オンライン証明書状態確認プロトコル(OCSP)」や「執行リスト(CRL)」へのアクセスを認める仕組みのため、今回の仕様は法の趣旨に反すると判断されました。

専門家は、OCSPの利用をここまで制限するのはJPKI法以外に例がなく、国際標準のPKI仕様とは異なると指摘。マイナンバーカードの前身である住民基本台帳カード時代の民業圧迫防止という背景が今も規制として残っている状況で、法改正の必要性を訴えています。今回の機能停止は、マイナンバーカードを国際標準に沿った電子署名基盤とするか、独自制度を維持するかという、JPKI法見直しの契機になる可能性があります。

※個人情報保護規程もそうですが、日本独自は止めてほしい。

社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第324回】(P.92)
AI利用やDXは世界中で失敗 日本の強みを生かせば成功へ

ITを使った事業改革は世界的に失敗が目立ちますが、日本企業には成功できる条件があるという主張が紹介されています。出典はCognizant Technology Solutions日本法人が2026年6月から7月にかけて公開した5回シリーズのブログ記事です。

第1回では、改革の多くが価値を生まない根本原因として「設計思想の不在」を指摘します。顧客や従業員にどんな体験をしてもらうかという「体験設計」が欠けているため、目的が曖昧になったり、評価指標が技術偏重になったり、新旧システムが統合されなかったりする問題が起きるといいます。

第2回・第3回は失敗の具体例と対策です。業務効率は上がったのに顧客体験の評価が下がった例や、AIエージェントによる自動化は実現したもののガバナンスが不備だった例を挙げ、「リスクに比例した監視」「撤回可能性を中核に据える」など5つの設計原則を示します。

第4回は、CEOが経営会議で問うべき質問を5点提示。「IT投資は効率化に向かっているか、価値創造に向かっているか」といった観点が挙げられています。

最も興味深いのが番外編の第5回です。日本企業の強みとして「品質への執着」「長期的な顧客関係」「現場知の体系化」「信頼を重んじる文化」を挙げ、これらを生かす処方箋を3点提示しています。①速さより強さを重視する意思決定、②品質会議や顧客満足度委員会などの既存の会議体にITガバナンスの議題を組み込む、③顧客満足度や品質指標など既存の経営指標を「体験設計の質を測る指標」として再定義する、というものです。

日本企業には、こうした意思決定のスタイルや会議体、指標がすでに存在しているため、そこにITを追加するだけでよいという発想です。AIやDXの話を「他人事」と捉えがちな組織でも、品質や顧客信頼の話であれば経営層から現場まで関心を持ちやすいという指摘は、社内での改革の切り出し方を考える上で参考になりそうです。ただし前提となる「長期視点・品質志向・信頼の文化」が実際には崩れている組織もあり得るため、まずは自社にその土台が本当にあるかを見極めることが重要だと言えます。

※このブログは初めて読みましたが相当深い話が書かれています。お時間を見つけて読まれてはいかがでしょう?

以上
 

日経コンは2週間に1度、年に52週÷2=26冊出る雑誌です。2010年から全号精読して記事をザッピングしています。
※はブログ筆者のコメントです
 

特集は<AIデータセンターエフェクト 270兆円市場を徹底解剖>です。どうも最近基幹システム刷新技術から遠い特集が多いですね。週刊ダイヤモンドが取り上げそうなネタでした。

ITが危ない:システム性能が政策決定に制約 「給付付き税額控除」阻む一因に】(P.08)
政府・与野党による社会保障国民会議は2026年6月24日、「給付付き税額控除」について、当面は所得税控除を使わず現金給付に一本化する中間取りまとめ案を示しました。この案に傾いた背景には、マイナンバー関連システムの性能上の制約があったと推定されています。

デジタル庁によると、地方自治体に住民の税情報を紹介する場合、紹介件数は1日300万件が上限になると言います。対象となる6000万人規模の所得情報を把握し、控除額や給付額を算出し給付するまでに数週間から数か月かかる計算になります。

このネックになる情報提供ネットワークシステム(NWS)は2025年に刷新したばかりです。刷新した時はこういう用途を想定せず性能を設計していました。

※全国民に対する施策を立てる上でデータが1元管理出来ていない事がネックになっています。設計できる技術者が居ないのでしょう。

AIデータセンターエフェクト 270兆円市場を徹底解剖】(P.10)
1.特需に沸く日本企業 ガラスやポンプも潤う
AI需要が急拡大し、日本の部品/素材メーカが潤ってます
・イビデン:ICパッケージ基盤、顧客の費用で設備投資
・古河電機:光ファイバーや冷却部品
・東洋紡:ガラス繊維
・酉島製作所:給水ポンプ
・味の素:子会社で半導体基板の絶縁材料
2.主役はエヌビディア GPU供給網を分析
日本勢に特需が舞い降りたのは、エヌビディアの設計変更が大きなきっかけになりました。エヌビディア経済圏で勝ち残るためには次世代GPUの仕様が固まる前段階から開発協議にかかわることです。
3.AI一極集中で異変 品不足で価格高騰
米IT大手4社の設備投資額は約110兆円と国家予算並みになる見込です。データセンター投資に巨額が流れ込み、既存IT市場に価格高騰や供給部族を招いています。
4.危うい資金還流も AIバブルか成長か
AIで潤っているプレイヤー間で資金が循環し実体以上に投資が膨張しているのではないかという懸念があります。3つのシナリオを分析しました。
(1)持続的に市場が拡大していく可能性
 →AI需要は指数関数的に伸びるという見通し
(2)AI市場が3〜5年ほどで高不況を繰り返す
 →半導体のシリコンサイクル
(3)事業規模拡大が失速し収縮する
 →中国の廉価版AIなど技術革新で失速
5.DCの開業予定を調査 各社仕様を一挙公開
 受電容量が100MWを超えるのは5件。大阪箕面、大阪南港に出来るそうです。他は栃木、千葉、苫小牧でした。
6.全国で相次ぐ住民紛争 DCのに頭悩ます自治体
DCの用途は建築基準法に定義がなく、住民の反対運動も各地で起こっています。商業地区は危険が大きい「工場」や「倉庫」などの建設が禁止されています。DCをどう扱うかについて各地で訴訟が起こっています。国が一律に定義する動きは今のところありません。

※20260723、米国でもDC建設の住民の反発で、政府がオラクルに1兆円担保要求したというニュースがありました。全世界的な問題です。

【DXを加速するJR東西 対照をなす「巨人」の戦略】(P.30)
JR東日本とJR西日本は共に「非鉄道」事業の拡大を掲げ、そのためのIT/デジタル活用を加速しています。両社の戦略は共通の目的を持ちながら、技術的アプローチは対照的です。

1.リアルの強みを生かす 「非鉄道」事業拡大へ
JR東日本は2026年度を「AI・DX元年」と位置付け、2025〜2031年度に「LX資金」として約3000億円を投資予定。JR西日本も「中計2030」で非鉄道事業の営業利益比率を約40%から約60%に引き上げる目標を掲げ、2026〜2030年度に600億円規模の投資を計画しています。両社とも、リアルな顧客接点とデジタルデータを掛け合わせられる点を強みとして位置付けています。

2.Suicaが軸のJR東 JR西は価値循環
JR東日本:Suica関連施策「Suica Renaissance」の中核として、2026年秋に開始予定のコード決済「teppay」を展開。最大の技術ポイントはセンターサーバー化——従来ICチップ側で管理していたバリュー(残高)をサーバー側管理に切り替えることで、送金機能、ウォークスルー改札、後払い機能などを実現可能にする設計です。決済上限も2万円から引き上げられます。ライセンス上は「前払い式支払手段」の枠組みを維持したままの拡張です。
JR西日本:鉄道事業者として初めて資金移動業ライセンスを取得し、コード決済「Wesmo!」を提供。前払い式支払手段より高額決済(1回100万円まで)や出金が可能な点が制度的な違いです。さらにりそなHD・関西みらい銀行と資本業務提携し、BaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を活用した「WESTERミライバンク(仮称)」を2027年度に開始予定。JR東日本も先行して楽天銀行のBaaSを使った「JRE BANK」を運用中です。

※制度(ライセンス種別)とアーキテクチャ(サーバー管理方式)の両面で対照的なアプローチとなっている点が面白いポイントです。

3,AI戦略にも違い 基盤構築とデータ分散
JR東日本:2027年度中の完成を目指し、**AIエージェント基盤(プラットフォーム)**の構築に注力。背景には約3000の社内システムが存在し、AIの回答を人手で別システムに転記する非効率を解消する狙いがあります。エージェントはシステムに格納されたデータを直接読み込み、処理結果を社内システムへ書き戻す設計思想。現場主導でのエージェント開発を想定しています。生成AI活用の基盤として、JR東日本はMicrosoft Copilot+RAG(SharePoint格納文書を検索対象、業務分野別のチェックボックスでスコープ限定)を全社展開。
JR西日本:OpenAIのChatGPTベースの汎用チャットボットを全社導入し、自社ルールをRAGに組み込む取り組みを進行中(RAGやCopilot Studioで月1.6万時間分の生産性向上を見込む)。

個別事例として、JR西日本は現場主導で開発した生成AI活用の運行情報ダッシュボード(試行段階)、JR東日本はBIPROGY協力による信号通信設備故障時の生成AI復旧支援システム(2025年度から首都圏で一部運用)を紹介。

4.API基盤と子会社 モダナイ促進に重心
JR東日本:約3000システムが複雑に絡み合う状況を背景に、フロントと基幹系をAPI経由で連携させる**「APIゲートウェイ」**の構築を推進(JR東日本情報システム=JEISと共同開発)。既存API対応システムは順次ゲートウェイ上に公開、非対応システムはリプレース時にAPI実装を検討。モダナイゼーション完了の目安は老朽化対応がピークを迎える2030年前後との見立て。
JR西日本:2022年発足の「JRW-CCoE」を中心にクラウドネーティブ化を推進。単純なリフト&シフトではなく、コンテナ、マイクロサービス、NoOps、サーバーレス、自動スケールアウトなどを活用し「運用時までクラウドの恩恵を享受できる」形を志向。コールセンターシステムなどBtoC領域で10件程度実施済み、2026年度も大型案件に着手予定。


内製化については、JR東日本は「Digital & Dataイノベーションセンター(DICe)」(2023年設置)がアジャイル開発・AI活用・データガバナンスを主導。JR西日本は専門子会社TRAILBLAZER(2023年設立、約150人のデータサイエンティスト・AIエンジニア)を通じて内製体制を強化——待遇面でのジョブ型報酬設計を可能にするための別会社化という位置づけが特徴的です。

※JRのDXは、テック企業には無い「リアル×デジタル」の強みという切り口に加えて、金融ライセンス設計・センターサーバー方式・APIゲートウェイ・クラウドネーティブ化・AIエージェント基盤という技術的トピックが密度高く詰まっているので大変興味深いです。

行政文字100年戦記 国際標準化への道】(P.44)
自治体は独自の「外字」を約200万文字抱えており、開発ベンダーへのロックインやシステム間の文字化けという見えないコストを日本全体にもたらしてきました。背景には、住民基本台帳の氏名字体を戸籍とそろえるよう求める行政指導があり、食い違いが本人確認トラブルや手続き拒否を招いてきました。

2011年の東日本大震災では、被災自治体データを他自治体が肩代わりしようとした際に外字の違いが壁となり、標準化の機運が高まりました。これを受けデジタル庁は法務省収集の戸籍関連文字約163万字と文字情報基盤を統合し、約7万文字の「行政事務標準文字」を策定しました。2021年施行の標準化法により、自治体は基幹業務システムをこれに準拠させる義務を負っています。

しかし課題は多く残っています。7万文字でも「斉」「藤」の異体字だけで100種類以上残り、文字セット自体もまだ未確定です。さらに深刻なのは、細かな字体差を扱う仕組み「IVS」への対応をベンダーの約4割が期限内に実現できないと回答したことです。デジタル庁はやむなくUnicodeの私用領域「PUA(Private Use Area)」への暫定割当てを認めましたが、これは事実上の外字温存であり、国際標準から遠ざかる選択となりました。結果としてPaaS利用ができずIaaSに留まりコスト高になる、Unicode非対応でオフショア開発リソースを活用しにくいといった実害が生じています。

対策として、佐賀市のSDCソリューションズが画像認識AIによる同定支援ツールを提供し、数カ月かかっていた作業を大幅短縮させています。政府は2026年12月末(戸籍)・2030年度末(その他システム)の同定期限を設けつつ、2027年度のUnicode国際規格改定に合わせて行政事務標準文字自体の国際標準化提案も目指しています。ただし国際交渉を担う専門人材の不足・高齢化が制約となっており、育成が急務とされています。

※「ハ藤」という文字を初めて知りました。右上が \ / でなくハになっている藤という字です。免許証は手書きだそうです。

当用漢字1850字は少ないと思いますが5000文字程度に制限して欲しいものです。

東急がポイント会員システムを刷新 1年遅れも3年で完遂、内製化へ前進】(P.60)
東急はグループ共通ポイント「TOKYU POINT」の会員向けWeb/アプリシステムを刷新しました。富士通に外注し富士通製のオンプレミス環境で独自開発したシステムからAWSの内製に切り替えました。

旧システムは2006年開始で会員数は約250万人、システムの増改築を重ねたためブラックボックス化していました。特に苦労したのは現状把握でした。顧客データは事業会社はカード種別ごとに別システムで管理されていたため同じ人が別会員として扱われる事もありました。
新システムはマイクロサービスアーキテクチャーに基づき2023年8月から開始し、2026年2月から順次本番を行いました。

※もう少しシステム構成についてレポートして欲しかったです。この号に載っている連載「実例に学ぶ、AI時代の開発内製化 第3回」が東急の話でしたが残念ながら組織の話だけでした。

ケーススタディー:大阪ガス】(P.66)
AI駆動開発基盤で費用7割減 効率化の鍵はデータ統合
大阪ガスは、システム開発の企画・設計からリリース・運用までをAIで支援する内製基盤「WAAAP」を構築・運用しています。Google Cloud上に2024年5月から整備を開始し、2025年6月に社内利用を開始しました。設計書・議事録・ソースコード・テスト成果物などを一元管理し、各工程特化のAIエージェントが前工程の成果物を参照しながら処理する仕組みが特徴です。

当初はClaude Codeと複数プロンプトの組み合わせでしたが、その後工程別AIエージェント群へと発展させ、リリース後も数百回規模の改善サイクルを回しています。2026年5月には障害解析・原因調査を支援する運用AIエージェントも稼働しました。

効果としては、開発費用を最大約7割、開発期間を最大約6割削減しています。品質ゲートによるテストカバレッジ確認とAIによるリスク項目抽出で、トラブル発生率も半減しました。外部アクセスを伴うAIはプロキシーでアクセス先を厳格に制御するなど、安全性にも配慮しています。今後は監視・顧客対応・契約管理領域や既存システムの改修、大規模リビルドにも展開を広げる方針です。

※当初はClaude Codeと書かれていますが「その後複数のAIツールを継続的に入れ替えながら工程別エージェント群へ発展させた」となってますので最終的なアーキテクチャは不明です。残念な記事でした。

CIOが挑む:よそ者が自律型DXを推進 計画から「やること」削除】(P.72)
※埼玉県越谷市のCDOとなり4年目となる川口弘行氏へのインタビュー記事です。東京都港区など他の自治体のCIOも複数兼務されています。

越谷市の職員に迎合しないよう心がけています。同市の「情報化推進計画」(2026年4月策定)では、年度別の「やることリスト」を廃止し、「ビジョン」と「やり方のルール」を軸に据えています。目標達成の手段は自由とされ、デジタル技術の使用も必須ではありません。
投資方針も転換されました。1億円規模の単発事業ではなく、100万円規模の小規模施策を100本試す発想へと変わっています。失敗を許容し、素早く方針転換できる体制を重視しています。新規事業は組織横断のプロジェクト制とし、当事者以外の視点を積極的に取り入れる仕組みになっています。

行政手続きのオンライン化では、弁護士と連携し、虚偽申請リスクや第三者への影響などの法的観点から「判断の物差し」を整備しました。これにより各部署が自律的にオンライン化の可否を判断できる仕組みが作られています。

私は越谷市ではリーダーシップを発揮することをしていません。職員を自律的に動ける状態にし、私が円満にクビになることが最終目標です。

※肩書ではなく人を見て自由に動かせる市長が良いのだと思います。大手ITゼネコンなら大丈夫という「言い訳ドリブン開発」とは正反対です。

キーワード:AI BOM (AI Bill of Materials)】(P.79)
ソフトウエア管理に用いられるSBOM(Software Bill of Materials=ソフトウェア部品表)をAIに拡張したものをAI BOMと呼びます。

SBOMはライセンス管理やソフトウェアの脆弱性などを把握するための手段として、ソフトウエアを構成するOSやライブラリー、ミドルウェアの依存関係を把握します。2021年5月に米国大統領令で事実上義務化されました。SBOMだけではデータポイズニングやプロンプトインジェクションといったAI特有のリスクを把握しきれないため、モデルの識別情報や学習・評価データ、モデルカード、外部連携、運用・ガバナンス情報などを含むAI BOMが注目されています。

背景には、EUのサイバーレジリエンス法の適用開始が2026年9月11日に迫っていることがあります。主要なSBOMフォーマットもAI BOMへの対応が進みつつあります。

※SBOMも大変だと思ってましたが、それ以上にAI BOMは大変でしょうね。AI組み込み製品のハードルが上がります。

社長の疑問に答えるIT専門家の対話術 第323回】(P.79)
レガシーとは本来、後世に引き継ぐ価値あるものを指しますが、IT分野では老朽化した使いにくいシステムの意味で使われ、現場のExcel業務も「Excelレガシー」と呼ばれてきました。データ整合性の難しさ、属人化、内部統制上の課題を抱えつつも、現場の業務を支えてきた実態があります。

今、生成AIの普及により情報システム部門はExcelへの関与姿勢を見直す必要に迫られています。生成AIはExcelシステムの開発・保守を自動化できる一方、現場による大量生産を助長しかねない「もろ刃の剣」を研ぎ澄ますためです。日経コン2026.03.05の本欄では、システム部門が現場のExcelデータ構造を整理することを勧めていました。

EXCELを役立てる事例として、勤務シフト日程を自動作成するサービス「WINWORKS One」を紹介します。現場ごとの複雑な制約条件を、Excelを使って整理したり、顧客のEXCELに入っている諸条件を変換する仕組みで吸収しています。提供元の社長は「コードは少ないほどよい」という原則は生成AI時代も変わらないと述べています。


結論として、Excelは現場との対話に役立つものの、システム部門が組織全体のアーキテクチャーを整理してこそ、その位置付けを適切に決められます。

※シフト管理のデータモデルは渡辺幸三氏がCONCEPTWARE/シフト管理として無償公開されています。そこでは「この人と一緒は嫌」などの条件も入っています。

以上

日経コンは2週間に1度、年に52週÷2=26冊出る雑誌です。2010年から全号精読して記事をザッピングしています。
※はブログ筆者のコメントです
 

特集は<AIは「社員」 OpenClawとClaude Coworkerが示した未来>です。2025年のIT勉強宴会の忘年会で、社員として雇っているという発表がありました。AIを経費として使うのではなく雇用だと考えるという特集です。近い将来はAIが社員の能力の一部としてみなされて給与に個人契約のAI使用料を含むようになるかも知れませんね。

ITが危ない:シャドーAIのリスクが顕在化 国内企業の7割超が対策できず】(P.08)
IT部門が承認していないAIツールを従業員が業務で使う「シャドーAI」のリスクが顕在化しています。放置すれば情報漏洩から法例違反、ブランド毀損まで考えられます。大きく2種類あります。
1.社有端末から非承認のAIツールにアクセスして使う
2.私用端末のAIサービスに業務データを入力してしまう

2の方がリスクが大きいです。事故が起きた場合統制が効かない雌雄端末では対応に手間がかかります。ただ、全面禁止はシャドーAIが増えるリスクがあります。

情報システム全体のリスクを根本から見直す必要があるでしょう。

※ChromeでGmailでログインすると上に「Geminiに相談」と出ます。そのGeminiは画面に出している文字を読んで答えますので漏洩している意識なく漏洩しています。記事にこの指摘がないのが残念です。

AIは「社員」 OpenClawとClaude Coworkerが示した未来】(P.10)
1.情シスは「人事部門」に 社員像に変革迫る
きっかけは、2026年初めにかけて巻き起こった「OpenClaw」の爆発的なブームでした、OpenClauwは、2025年11月に発表されたオープンソースのAIエージェント開発・運用基盤のソフトです。

OpenClawを使うと、AIエージェントをパソコンのローカル環境に常駐させることができます。ゴールを指示するだけで、作業計画を立て、ファイルの読み書きやスクリプトの操作、ブラウザの操作などを行ってゴールに向かいます。

その後2026年4月9日にアンソロピックはClaude Coworkの一般提供を開始しました。この流れで、「AI社員」の流れが決定的となりました。

2.熱狂は3か月で幕 使って分かった危険
OpenClawは2026年2月ごろからブームを引き起こしましたが、次の問題があり急速にしぼんでいきました
①使いこなしには専門知識が必要
 →専用PCがないと危険、AIモデルは別に用意
②勝手にインストールまでするのでセキュリティ的に危険

また、Claudeは、定額プランでは外部からの利用を禁止し、CoWorkを出しました。OpenClawでClaudeを使うためには、従量課金でないと使えなくなりました。

3.MSに百度、日本企業 業務の活用支援競う
OpenClawを簡単に使えるサービスが中国で広がっています。
マイクロソフトは2026年6月2日、OpenClawをベースにした「Microsoft Scout」を発表しました。MS製品群を操作してタスクを実行します。

エヌディビアは2026年3月16日、オープンソースの「NVIDIA NemoClaw」を発表しました。これを使うとOpenClawをセキュリティ基盤とともに簡単にセットアップ出来ます。
シリコンバレーのスタートアップ米ジェンスパークは、OpenClawをベースにしたAIエージェント機能を同社のAIサービスに追加しました。

日本でもOpenClawの導入を支援するサービスが登場しています。

4.便利だが危ない リスク克服の勘所
AI社員を安全に働かせるには製品任せにしない管理体制が欠かせません。Claude CoworkはOpenClawと違って、安全な企業利用に必要な機能を製品に組み込んでいます。3つの層で制御します。
(1)メールやファイル共有など外部サービスとの接続は「コネクタ」単位で管理され、操作ごとに許可/禁止などを設定出来ます。
(2)コネクタは操作者本人の権限で動くため周辺環境の権限整備が重要になります
(3)ファイヤーウォールのような仕組みでネットワークレベルで外部への持ち出しを防ぐ

5.組織もSaaSも変革 AIが壊す3つの常識
AIエージェントはAIと人間にまつわる3つの常識を破壊しました。
破壊1:AIの常識(質問に答える→業務を進める)
破壊2:組織の常識(AIが補助→AIが業務を行う)
破壊3:SaaSの常識(人が画面を操作→AIが横断的に操作)

例えばメルカリは、AIを前提とした形に「働き方、意思決定、組織構造、人員配置」などを再設計を進めています。

※Salesforceは一足先に「Headless 360」構想を進め、ブラウザでの画面操作をなくそうとしています。他のSaaSが追いつけないほど先に行っている印象です。

復活のSBI新生銀 クラウド第1、ITで「唯一無二」】(P.26)
新生銀行はSBIグループ入りを経て、20年超の課題だった公的資金を完済し2025年12月には東京証券取引所へ再上場も果たしました。
1.勘定系を次世代へ刷新 難所は脱・パッケージ
1998年:日本長期信用銀行が経営破綻
2000年:新生銀行に社名変更
2001年:インドの勘定系「FLEXCUBE」稼働
2006年:米オラクルがFLEXCUBEを買収
2019年:FLEXCUBEをV2からv12へ刷新
2021年:SBIが株式公開買い付け(TOB)で買収
2023年:SBI新生銀行に社名変更
2026年:次世代バンキングシステムの採用を決定

次世代バンキングシステムはフューチャーアーキテクトやSBI-HDが開発したAWS上で稼働するマイクロサービスシステムです。データベースもOracle Exadataから、AWS Auroraへ移行が必要です。2026年10月までにスケジュールを確定させる予定です。

2.公的資金完済・再上場 ITは「強烈な武器」
2025年7月に公的資金を完済し同年12月に再上場しました。
SBIの指導のもと、デジタル中心のビジネスモデルを構築しています。
 SBIハイパー預金:SBI証券との口座間移動を自動化
 セキュリティトークン(デジタル証券)の実証実験
 ステーブルコイン「JPYSC」の発行

3.AWS基盤で障害半減 鍵は共通基盤の整備
AWSへのクラウドシフトを加速しています。
API共通基盤を構築し、社内システムとのAPIを集約し、社外利用はインターネットゲートウェイを通してAPI提供します。

4.大量退職で戦略転換 職位「飛び級」道筋も
2019年にFLEXCUBEv12が稼働した時から大規模な退職や、他部署への異動によりIT部門の人員が数十人単位で減少しました。

SBIグループ入り後、業務量や難易度が上がりましたが人員の増強が追いつかない状況でした。そこで、手当の整備や昇給制度を見直しました。

5.「第4のメガ」に変化 利上げで悩む地銀支援
2019年、島根銀行、福島銀行がそれぞれSBI-HDと資本業務提携を結びました。そこで第4のメガバンク構想が動き出しました。2021年には新生銀行がSBIグループ入りし、構想の中核を担う金融機関として期待されています。

利上げはメガバンクには利益になりますが地銀では貸出金利を簡単には上げられないため利益にはつながりません。デジタル化により地銀の持続可能性を高めていきます。

※SBI創業者の北尾吉孝氏は色々な噂もありますがやり手であることは間違いありません。SBI証券が日本株の売買手数料を永久に無料にしたのもデジタル化の恩恵でしょう。

インタビュー:米リミニストリート CEO セス・ラビン氏】(P.46)
第三社保守だけの企業にあらず 価値を産まない支出から顧客を解放
日本市場ではリミニストリートは第三社保守の提供企業として認知されています。グローバルで数千社、日本では約500社の顧客がいます。この18カ月でこれらの顧客にイノベーションを提供する会社へと大きく変わりました。

ソフトウェアのアップグレードや新版への移行など、価値を産まない支出から顧客を解放し、20種類のAIエージェントを使えるようにしました。ERPメーカーのAIはバージョンアップせずに動かせませんが、当社のAIエージェントはバージョンアップをせず既存のままでイノベーションを提供出来ます。

SAP ECC 6.0のサポートが切れる2027年問題に悩んでいる顧客がいれば「数週間の導入期間で問題が解決できる」とお伝えします。

※ERPのデータモデルを熟知しているAIエージェントなら確かに様々な機能を提供できそうです。

東芝による厚労省Teamsデータ削除 実際に削除されたデータは2億件】(P.50)
厚生労働省のシステム運用を受託している東芝が、設定ミスにより2億件のデータを削除しました。内完全に消去したデータが750万件、復旧可能な約1億9戦万件は6月16日時点でも作業中です。

「ユーザが削除したデータの保存期間」を90日から180日に延ばす設定をするところ、誤って「全データの保存期間を180日」に変更しました。そのため180日以前のデータが全て削除されました。

事前にテストは行っていましたが、間違いを検知出来ませんでした。有識者のレビューもされず担当者が作業していました。

※本番作業する時の会社としてのルール・手順をださせてから保守を依頼しましょう。今どきダブルチェックしない会社もあるのですね。

マイクロソフトが新AIエージェント 低コストのAIモデルも選択可能に】(P.52)
2026年3月、米アンソロピックの「Claude Cowork」をベースにした「Copilot Cowork」を発表、サブスク(定額)でなく従量課金で提供します。
2026年6月、OpenClawをベースにした「Microsoft Scout」を発表しました。

Copilot Coworkに関しては、中国DeepSeekの採用も検討中です。

※マイクロソフトは自社開発せず商社のようですね。

IT Japan Award 2026が決定 グランプリはJFEスチール】(P.56)
IT Japan Award 2026のグランプリは、JFEスチールが選ばれました。国内全製鉄所・製造所の基幹システム(約2億ステップ)を約5年2カ月、総投資額約1100億円かけてオープン化。当初計画より2年前倒しで完遂した点が高く評価され、審査委員満票での受賞となりました。


準グランプリは全員参加型DXを推進する鈴廣蒲鉾本店。特別賞は5社で、調達システムをグローバル統合し147億円のコスト抑制を実現したアサヒグループホールディングス、客室稼働率を高めたアパホテル、AIで船員の勤務計画を作成し工数7割削減した商船三井、勘定系システムを10年超かけてクラウド化したソニー銀行、「リアル×テック」で新価値を創出するローソンが選ばれました。

※JFEスチールはデータモデリングで基幹システムを再構築したという本「ITによる業務変革の「正攻法」 JFEスチールの挑戦」を2011年に出していました。データが整備出来ていたから大成功したのかも知れません

動かないコンピュータ:マネーフォワード】(P.66)
コード管理基盤から個人情報漏洩か 銀行口座との連携機能が一斉停止に
マネーフォワードは個人向けの家計管理アプリや法人向けの会計・経理機能をクラウドで提供し全国で100行を超える金融機関とAPIで連携しています。そのマネーフォワードは2026年5月1日、サイバー攻撃で個人情報が漏洩した可能性があると公式サイトで発表しました。

ソフト開発に使うソースコード管理基盤「GitHub」の認証情報が漏れて第三者に悪用され、リポジトリーがコピーされました。そのリポジトリの中に約2800人分の個人情報と、個人は特定できない識別子も6万件含まれていたとのことです。

発覚後に認証情報を無効化し、ソースに含まれる認証情報やパスワードを再発行しました。そのため銀行口座との連携機能が一斉停止しました。連携が再開するまで約1カ月かかりました。

詳しい状況は発表されていませんが、GitHubには機密情報が残っていると自動通報する「シークレットスキャン」機能があるのですが使っていなかった可能性があります。

 

※GitHubのソースが漏れたのならAIでセキュリティホールも検索されてそうです。お気をつけください。

新連載:なぜ画期的なのか モデルの構造と学習法を理解する】(P.74)
※ITライター 立山 秀利氏の連載です。日経ソフトウェア2025年11月号の記事を日経クロステックで2026年1月に公開した記事を再編集したものです。再編集多いですね。

DeepSeek-R1は、中国DeepSeek社が2025年1月に発表した「推論モデル」です。人間のように段階を追って論理的に考え回答を導く「推論(reasoning)」を行う点が特徴で、AI分野で従来使われてきた「推論(inference)」とは意味が異なります。OpenAI o1に匹敵する性能を、低い開発コストで実現した点が画期的とされました。

DeepSeek-R1のアーキテクチャーは、事前学習済みモデル「DeepSeek-V3-Base」と同一で、そこに独自の学習法を適用したものです。同じくDeepSeek-V3-Baseをベースに強化学習のみを行ったのが「DeepSeek-R1-Zero」で、この強化学習手法が高い推論能力を発揮したため、DeepSeek-R1では強化学習に教師あり学習を組み合わせてさらに性能を高めました。
モデルの重みが公開された「オープンウエイト」であり、推論過程も開示されている点も特徴です。過去モデル(DeepSeek-V2、DeepSeek-V3、DeepSeekMath等)の技術の積み重ねの上に成り立っており、本連載第1部ではこれらの構造と学習法を、数式を使わず解説していきます。

※この連載では推論(reasoning)を、「推論(r)」と表記するそうです。段階的な思考ですので「論理推論」と訳したほうがわかりやすいと思います。

新連載:AIビジネスは水平から垂直へ 「業界特化AI」が主戦場に】(P.78)
※グロービス経営大学院の中村香央里氏の新連載です。金融・医療・エンターテインメントの3分野を取り上げるそうです。

生成AIビジネスは、業務効率化を担う「水平型(Horizontal AI)」から、業界特化の「垂直型(Vertical AI)」へと主戦場が移りつつあります。かつてSaaSが汎用型から業界特化型へ発展した歴史が繰り返されている構図です。

AIビジネスは、GPUやクラウド、基盤モデルを担う上位の「インフラ層」と、それを活用する「アプリケーション層」に分かれ、ピラミッド型構造をとります。上位層は海外巨大テック企業の寡占が進み日本企業の参入余地は乏しく、多くの企業にとっての主戦場はアプリ層です。

Horizontal AIは請求書処理のLayerXや法務のLegalOn Technologiesなど、特定業務を代替し業界を問わず展開できる強みがある一方、模倣されやすくレッドオーシャン化しています。

対してVertical AIは、建設のANDPADや医療のAIメディカルサービスなど、業界固有のデータ・規制・商慣習に根差し、参入障壁を築きやすい点が強みです。ただし対象市場が限定され、データ構築・運用コストも高くなりがちという課題もあります。労働人口減少が進む日本では、暗黙知を汲み取れるVertical AIへの期待が高まっており、次回は金融業界での戦い方を取り上げます。

社長の疑問に答えるIT専門家の対話術 第322回】(P.82)
情報システム部門には、部門間の違いを調整し橋渡しする「バウンダリー・スパナー」の役割が本来求められます。この人材は狙って育成するというより、共通の興味を持つ仲間と知識・スキルを高め合う「コミュニティーラーニング」を通じて自然に育つとされます。この考え方は、2026年5月発行の『ソニーの社員がやっている最小の意志力で最大の成長を得る最新学習メソッド コミュニティラーニング はじめて図鑑』(ソニー文章術コミュニティ著)を基にしています。


具体例として、米JPモルガン・チェースの技術系社員6万人超が参加するコミュニティー・オブ・プラクティス(CoP)活動「Ignite」が紹介されています。技術者が興味あるテーマを提案し賛同者を集めて実践する取り組みで、世界20カ所以上で190超のコミュニティーが活動、経営陣の支援も受けつつ現場発で自主的に広がった点が特徴です。


日本企業でも、システム部門と関連会社・IT企業間、あるいは現業部門を巻き込む形で同様の取り組みが可能とされます。始め方としては「毎週同じ曜日・時間に必ず開催」する読書会形式などが有効です。重要なのは、参加テーマを損得ではなく本心から興味の持てるものに定めること。橋渡し人材の育成という狙いは強調しすぎず、まずは自分の関心に沿って始めてみることが勧められています。

BizOps協会が広げようとしている活動にも通じます。

 

以上

日経コンは2週間に1度、年に52週÷2=26冊出る雑誌です。2010年から全号精読して記事をザッピングしています。
※はブログ筆者のコメントです


特集は<次は「プロテインAI」 狙う医薬品70兆円の巨大市場>です。どんなラッキーがあっても一般の我々がその業界にタッチすることはありませんので「どうぞご勝手に」ですね。
Book in Bookとして<「AIリーダーズ100特別編集版 VOL.03 2026 AI活用 5つの誤解ほか>が挟まってました。何と72ページもありました。過去2回(2025.07と2025.11)はザッピングしませんでしたが、今回は1つだけ取り上げます。

次は「プロテインAI」 狙う医薬品70兆円の巨大市場】(P.10)
※プロテインAIという言葉を初めて知りました。プロテイン(タンパク質)をAIで生み出すという意味だそうです。ググっても一般用語とは言い難いようです。創薬AIの方がわかりやすいです。

1.ビッグテックも大注目 フィジカルAIの次
生成AIの対象として「タンパク質(プロテイン)医薬品」がフィジカルAIの次なる利益候補と考えられ注目を集めています。
 ・メタ:2023年に米エボリューショナリースケール設立
 ・セールスフォース:2022年に米プロフルーエントを設立
 ・Google:2021年に英アイソモーフィック・ラボ設立
2.プロテインAIとは? 7つの疑問で紐解く
⑤なぜタンパク質をLLMで扱える?
タンパク質は「20種類のアミノ酸を数珠つなぎにして並べたもの」です。これを20種類の文字で書かれた文章と捉えると、LLMで扱えるようになります。これを「タンパク質言語モデル(pLM)」と呼びます。
3.抗体LLMを独自開発 「失敗」データも学習
日本のスタートアップ「モルキュア」。山形県鶴岡市にある京王技術大学先端生命科学研究所発のスタートアップ。2013年設立
4.pLMと機械学習併用 最新AIにこだわらず
日本のスタートアップ「レボルカ」。東北大学発のスタートアップとして、2021年に創業しました。
5.中外とアステラス 日本の製薬業の挑戦
日本の製薬会社も電機メーカーと協力しながら研究しています。

※基幹システム構築のために日経コンを読んでいる読者にとっては「だから何?」という特集でした。

企業揺るがす ITの値上げドミノ 機器からAI、クラウドまで】(P.28)
従来はメーカーから販売会社へ、1〜2カ月先の値上げを告知するのが一般的でした。ところが近年、値上げ後の価格を「即日適用する」と通達されることもあります。メーカーが出す見積価格の有効期限も、以前は3カ月あったのですが最近は2週間に縮んている例もあります。

一つの理由は、AIの爆発的な普及により、メモリーや半導体が高騰していることです。またホルムズ海峡閉鎖の影響で原油価格が関係することも考えられます。

AIについても、ClaudeもChatGPTも一部が従量課金になるなど実質値上げしています。ドイツ、フランス、中国が提供するクラウドも値上げラッシュが始まっています。

 

※20260626の日経新聞にMacやiPadも2〜3割値上げという記事がありました。深刻になりそうです。

AIリーダーズ100 4.「AI検索」の落とし穴】(P.16)
※Book in Book内のページ数です
AI要約でサイト流入減解消のための4ステップ
検索結果に「AIによる概要」やChatGPTで検索されるためサイト流入が激減しています。SEO(検索エンジン最適化)に費用をかけて検索結果が上位に出る企業は死活問題です。AI検索最適化(AIO)を指南するコンサルタントが続出しています。その手法をお教えしますが、AIOはSEO以上にやることが多く疲弊しやすいです。弱いポイントに絞って着手しましょう。
(第1段階 AIに見つけてもらう)
この段階はSEO対策がそのまま効果的です
(第2段階 AIに理解してもらう)
AIは長文のストーリー仕立てで描写するより簡潔な箇条書きなど要点がわかりやすいほうが正しく読んでくれます。
(第3段階 AIに推奨してもらう)
推奨の決め手となるのは、自社サイトが何を言っているのかよりも「第三者がどう評価しているか」です。外部メディアでの露出や評判を高める必要があります。
(第4段階 AI推奨をコンバージョンにつなげる)
第三者の評価ポイントと自社の訴求内容にギャップがないことが重要です。

※昨年2025年の忘年会で「AIとEC業者の静かな熱い戦い」を知りました。この川辺氏の資料の方が面白いかも

日立がメインフレーム撤退へ 27年にOS「VOS3」の販売を終了】(P.52)
日立は2017年にメインフレームのハードウェア開発から退きましたが、VOS3の開発・保守は継続していました。ハードは日本IBMから提供を受けていました。
そのメインフレーム向けOS「VOS3」の販売・保守を終了すると、2026年5月に発表しました。

販売は2027年11月、保守は2034年12月に終えます。

富士通もメインフレームの製造・販売を2030年末に終了し、2035年末に保守を終えると発表しています。メインフレームについては、日本IBMとNECは製造を継続しています。

地方銀行向けに提供している勘定系システムには日立製メインフレームが稼働しています。今後オープン化される予定です。

※生成AIを使うとメインフレームを簡単にオープン化出来るといわれていました。ガートナーは「2026年に開始されたメインフレーム離脱プロジェクトの7割超が失敗」と言ってます

「Fable5」発表も3日で提供停止 米政府が安全懸念、「脱獄」問題浮上か】(P.54)
2026年4月に発表した米アンソロピックのAIモデル「Claude Mythos Preview」は、セキュリティの脅威になるため一般公開しませんでした。それをベースに一定のガードをかけた「Claude Fable5」が6月9日に提供されました。

 

ところがわずか3日後の6月12日、米政府の指示で外国人ユーザが使えなくなりました。外国人の社員でも駄目と指示されたため見分ける方法がなく全面停止しました。

6月10日には開発者向けイベント「Code with Claude」を始めて東京で開催したところでした。アンソロピックは脆弱性は比較的単純であり、これが駄目なら「最先端モデルの提供をあきらめることになる」と言っています。

※ローコード開発ツール「TALON」作者の古関社長がFable5を24時間稼働していたのに止まったと困ってました。従来のClaudeとはレベルが違うほど賢かったそうです。

ケーススタディー:アクティオ】(P.60)
5年越しのクラウド移行を達成 性能問題を解消し、可用性を向上
建設機械レンタルの国内シェア1位、グローバルでも7位に位置するアクティオは、基幹システムのクラウド化を完了しました。使用したのは、米オラクルの「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」です。レンタルする建機の在庫や入出荷、売上請求、稼働状況、メンテナンス情報などを総合管理します。

入出荷台数は年間2200万件あります。従来は米IBMのオフコン「eServer i5」で動いていたものを、2013年にJavaによるスクラッチ開発でオープン化しました。国内のデータセンターで仮想マシン(VMWare)上で稼働するOS「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」と「Oracle Exadata」を採用しました。


2017年時点で、システムの処理性能が事業の成長に追いつかなくなるという懸念が出てきました。2012年に1600億円だった売上が2017年に3000億円まで伸びてきたからです。
1.2020年にクラウド移行の検討しましたが断念
(1)OCIでは「RHEL」をサポートしていないので断念
(2)AWSでExadataを使うとライセンス価格が2倍で断念
2.2024年に再度検討開始しプロジェクト開始
(1)Amazon Auroraへの移行はリスクが高く断念
(2)OCIでRHELがサポート対象となったため具体的に検討開始

2024年11月からPoCを行い、2025年4月キックオフ、7〜8月に構築し10月に移行を完了しました。

今後はVMWareからコンテナ技術活用を検討しています。

※Oracle Cloud Infrastructure(OCI)に存在感が出てきました。

キーワード:FDE(フォワード・デプロイド・エンジニア】(P.73)
FDEとは、顧客の業務や組織を深く理解して課題を明確にし、解決するためのシステムを実装するエンジニアのことです。システム開発には生成AIをフル活用します。
米オープンAIと米アンソロピックが2026年5月、そろってFDEのチームを抱える新会社を立ち上げて関心が高まっています。

日本でもSES(システム・エンジニアリング・サービス)として客先常駐をする形態はありましたが、それはテストなどの下流工程をになう労働集約型ものでした。FDEは知識集約型です。

オープンAIが東京でもFDEを募集しています。優秀な人材が流れる危険性があります。

※給与は公開されていませんが、シンガポールでは株式報酬を含めて初年度年俸約6,000万円という情報があります。そりゃ流れるでしょう。

社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第321回】(P.82)
組織内の意見に従うのは危険 組織外へ提供する価値で判断
社長や幹部または現場など、中の意見で物事を決めてしまっては危ない。顧客や社会へ何らかの価値を届けられるかどうか、そこで判断すべきだ。
ビジネスアーキテクチャ:ビジネスを構成する点を集め、つなぎ、正す」(2025/6/27発行、ロジャー・バールトン著、TechnicsPub発行)によると、価値を生むビジネスの全体像がビジネスアーキテクチャです。全体像を得るために16の活動が必要になります。その事は、日経コン20250501の本欄でも紹介しましたがその後日本語版の書籍が発行されましたので書籍の訳語で紹介します。

Define:ビジネスを定義する:顧客や社会にどう価値を提供するか
Degihn:ビジネスをデザインする:どういうものかを記述する
Build:ビジネスを構築する:優先順位と実行計画
Operate:ビジネスを運営する:動かしモニタリングし改善する

この4つの領域の中にそれぞれ4つの活動があり16の活動として定義されています。日本の組織でビジネスアーキテクチャの活動をどう進めるかは難しいでしょう。トップに近い社長室や経営企画部門に担当チームを置くことが理想でしょう。情報システム部門にチームを置く手もあります。ビジネス設計の発想やスキルがシステム設計に似ているためです。

※最近BizOps(ビズオプス)という組織が流行りかけています。まだ専門部門を持っている会社は多くなく、どういう活動をするかも定義されてませんので、そこでやるのも良さそうです。

以上

 
 
 

日経コンは2週間に1度、年に52週÷2=26冊出る雑誌です。2010年から全号精読して記事をザッピングしています。
※はブログ筆者のコメントです

特集は<IT資格の真実 激変する情報処理技術者試験>です。個人的にはベンダー系資格より情処試験が相当上だと思ってます。受験しやすくなることは良い事ですが、日経コンで特集するほどの話とは思えません。

【ITが危ない:TLS証明書の有効期間が短縮 2029年3月には最長47日へ】(P.08)
過去にもお伝えしていますが、TLS証明書の最長有効期限は398日でした。以前は1年に1度更新すれば良かったのですが短縮されます。
 ・2026年3月15日以降は 200日
 ・2027年3月15日以降は 100日
 ・2029年3月15日以降は  47日
更新の作業量が今の8倍になります。

更新漏れを起こした場合、いくつかの不具合が発生します。
1.Webブラウザーに「この接続はプライバシーが保護されません」という警告が出ます。顧客や取引先の信頼低下を引き起こします。
2.システム連携やAPI連携がエラーになる危険性があります。
3.VPN装置やロードバランサーなど通信機器の障害になる危険性があります。

まずはどこに証明書が設定されているかを棚卸し、その更新を自動化する仕組みを導入する必要があります。
日経コンピュータ2025.10.30によると、LINEヤフーでは20万ヶ所にあったTLSを自動化したそうです。

※有償認証局を使われているならそのサービスで自動化の方法を調べてください。無償のLet’sEncryptなら自動化が前提です。

IT資格の真実 激変する情報処理技術者試験】(P.10)
1.技術者試験が大改定 消える応用・高度試験
来年、2027年度から情報処理試験の体系が大幅に変わります。
①応用試験と高度試験8区分(全部)がなくなります
②「マネジメント」「データ・AI」「システム」という3区分を新設
③論述式や記述式の出題がなくなり、多肢選択式のみ
(論述式は検討中、2028年度以降に実施予定)
 

2.予想問題を初公開 高度に変わる新試験
※「システム」区分の予想問題は省略します。簡単でした。
 

3.パソコン受験の不安 調査報告書から探る
パソコンを使ったCBT(コンピューター・ベースド・テスティング)に移行します。パソコンの用意と合格率の急上昇が懸念されています。


4.採用、考課、実績指標 調査で見えた活用法
IT資格に関して人事評価などに影響するかを調査しました
※省略します


5.1000万円の報奨金 資格で業績拡大も
CISCOの7資格全部取ると1000万円払う企業や、弁護士資格などで1000万円払う企業などがあります。
 

6.独自のIT資格マップ 難易度別で全公開
国家資格、ベンダー認定資格、民間業界団体資格 79資格を難易度別に一覧しました。


※省略します。難易度には疑問があります。ベンダー資格は暗記だけで通るものがほとんどですから簡単です。情報処理試験は理解しないと通りませんので若い人たちの勉強には良いです。

※Salesforce資格も書いて欲しかった。特に認定TA

「Pay」の転換期 1強PayPay、対抗か独自路線か】(P.34)
※2026年6月4日にPayPayが生命保険業に参入というニュースがありましたがこの特集はその前に書かれたものです
1.参入、撤退、再編地歩固めるPayPay
QRコードやバーコードで決済が出来るコード決済が広がっています。ただし、2025年の決済額はクレジット決済が8倍近く大きいです
 コード決済  :16.6兆円
 クレジット決済:134.6兆円
<撤退>
 「ゆうちょPay」など複数の銀行のコード決済
 「LINE Pay」が撤退し「PayPay」に一本化
<新規参入>
 「teppey」JR東日本が2026年秋ごろ予定
 「Wesmo!」JR西日本が2025年5月に開始
 肥後銀行の「くまもんPay」が2025年6月に開始
<地歩固めるPayPay(提携)>
 住友銀行「Olive」の支払いに「PayPay」2026年秋予定
 「Vポイント」と「PayPayポイント」の相互交換
 Visaと連携。カード決済とコード決済を横断


2.「統合」が差異化の鍵 決済起点に囲い込み
コード決済事業者各社は、様々なサービスをまとめた「スーパーアプリ」を志向します。決済を起点に銀行取引、ポイント、保険、eコマース、金融など生活全般をカバーする構想です。
 ・AEON Pay:2025.06 AEON Pay利用開始
 ・モバイルSuica/PASMO:2026年秋、コード決済teppay追加
 ・Olive:2026年秋、PayPay残高モード追加
 ・楽天ペイ:楽天Edy機能統合


3.くまモンにファミペイ 強み生かし特定層へ
熊本県内のバスや市電など7万人が利用するくまモン!Payにタッチ決済機能をつけ熊本県の県民アプリを目指します。
ダウンロード3000万を突破したファミペイは「メディアコマース」に取り組んでいます。

※メディアコマースとは、ECサイトの売上を上げるためにSNSなどのメディアを使う事です。リアル店舗のファミペイは異なる意味で使っているのでしょうか?

インタビュー:ウィキメディア財団 CEOバーナデッド・ミーハン氏】(P.50)
※美形の女性です。JPモルガン→リーマンブラザーズ→米国 国務省外交官→在チリ米国大使などを経て2026年1月に就任
AI時代、Wikipediaの価格はより高まる 人が主役の原則をITで後押し
Wikipediaは生成AIの学習源として使われ、ページビューは2025年で8%減りました。具体的な対策は3つあります。
1.ビヨンドウィキ
 生成AIの回答に出るとクリックをしてもらえないので、Wikipediaのコンテンツをこちらから届けに行く取り組みです。
 TikTokやInstagramにWikipediaのコンテンツを提供中
2.編集者向けの記事作成支援強化
知識を作り出すのはあくまで人間の役割であるという原則から、支援する機能を提供しています。コンテンツ自体の作成や編集にAIを使う事は絶対にありません。
3.収益源の多様化
世界中に無償で情報を届けるのが私たちの使命です。知識へのアクセスは人権だと考えているからです。しかしITインフラは無償ではありません。
①商業事業者向けにAPIを提供し、ITインフラの利用状況に応じた対価を支払ってもらう「Wikimedia Enterprise」を始めました。
②独立性を脅かされないように、最も重視しているのは平均15ドルの小口寄付です。

※AIの回答で終わっている人には「寄付してください」バナーは確かに見えません。新たな収益策を模索しているのは素晴らしいです。

オープンAIがAI導入事業に参入 事業改革から開発、テストまで一括支援】(P.54)
米オープンAIは2026年5月、投資ファインドなどと共同で、ITエンジニアを顧客企業に派遣しAI導入を支援する新会社の設立を発表しました。これには投資会社だけでなくソフトバンクも参画しています。

設立に合わせて、AI導入コンサルの英トモロAIを買収しました。豊富な経験を持つFDEなど約150人が新会社に加わります。

業界関係者は「AIのマネタイズの道筋をつけて上場価値を上げようとしているのだろう」と言ってます。

競合の米アンソロピックも2026年5月、投資会社とともに企業のAI導入を支援する会社の設立を明らかにしています。AI企業の新会社を迎え撃つSIerは「ドメイン知識、顧客接点、独自データのいずれかをもっていないと一気に飲み込まれかねない」との見方もあります。

※支援費用の算出方法が気になります。人月工数とは思えないので「増加した利益の10%」とかだと画期的です。前月の中田氏のコラムだと、まず株式を取得して利益増加させ売り抜けるという投資会社のロジックが書かれていました。

富士通が2035年度の経営ビジョンご用聞きビジネス「ゼロ」も視野】(P.57)
「人月モデル」から「顧客価値提供モデル」に移行
富士通は2026年5月28日、「中長期経営ビジョン2035」を発表しました。そこで時田隆仁社長CEOは開発にかかった人月単価と期間を基に費用を算出する人月モデルでは、AIなどで開発期間が短縮するほど売り上げが減少します。そこで<「顧客価値提供モデル」として、データ量や使用したコンピュータ資源に応じた課金などへの移行を進める>との事でした。

※これだと同じリソース課金です。何も変わってないことがわかってないのでしょうか?記者は私が信用している渥美友里氏ですので聞き間違いではないでしょう

マイナポータルの通知アプリ機能を拡充 自治体情報を民間アプリへ配信】(P.59)
デジタル庁は2026年度中に、マイナポータルのお知らせ機能を拡充し自治体が各種案内を幅広く発信できるようにします。
またデジタル庁の承認を得た民間アプリでも、住民が行政からの通知を受け取れるようにします。

新しいお知らせ機能では、利用者の同意を前提に、マイナンバーカードによる認証時に使う「利用者証明用電子証明書」のシリアル番号を基に連携用の識別子を生成します。マイナンバーを使わずに通知対象者を特定できる仕組みです。

自治体がこの機能を使うには、デジタル庁が提供する「公共サービスメッシュ(自治体内情報活用サービス)」を導入し、住民記録システムと連携する必要があります。

※この「サービスメッシュ」という用語はマイクロサービス用語です。具体的にどういうアーキテクチャになっているのか気になります。恐らくガバメントクラウド上でしょう。

ケーススタディー:日本能率協会マネジメントセンター】(P.62)
20年ものの基幹システム刷新 改革と現場への浸透を両立
「NOLTY〈ノルティ〉ブランドの手帳」や国内最大級の研修事業を展開する株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下JMAM: ジェイマム)は2026年1月に、人材育成事業で20年以上前から使っていた基幹業務システムを刷新しました。

2019年11月ごろに刷新プロジェクトが開始されました。当時使っていた基幹業務システムのサポート終了が2025年に迫っていたことがきっかけでした。20年使っていたシステムは複雑化しておりプロジェクトは難航し、2022年7月の段階で中断しました。

中断後に3つの刷新コンセプトを固めました。
1.業務の無駄を排除する:業務ごとにシステムが乱立
2.顧客情報の一元化:システムごとに顧客情報がバラバラ
3.内製を含め柔軟に変化可能とする:従来は丸投げ

 第1次とは別のベンダーをコンペで選びました。データを統一管理するために、プラットフォームはSalesforce,販売管理業務は富士通のGLOVIA OMで固めることとしました。

2023年7月に、第2次刷新プロジェクトを開始しました。
2024年10月:SFA(営業)部分リリース
2025年10月:販売管理部分リリース
2026年1月:新システムへ完全移行

刷新後、社内で出来る改修は数十分で出来るようになりました。今後はAIを活用した省力化を考えています。

※ベンダー名は書かれていませんが、実は私が勤務しているテラスカイです。今年3月に事例紹介されていました。2022年から、GLOVIA OMはテラスカイが独占販売しています。

社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第320回】(P.84)
PMBOKガイド第8版を生かす 行動への姿勢と原則を定めよう
PMI(プロジェクト・マネジメント・インスティチュート)は2026年4月14日、プロジェクトマネジメントの知識体系である「PMBOKガイド」第8版の日本語版を公開しました。
PMIの会員は、Webサイトからダウンロード可能です。

第8版の重要な変化は、プロジェクトマネージャやメンバーが価値を生むために責任をもって前向きに取り組むためのマインドセットとプリンシプルズ(原理・原則)を提示したことです。3点のマインドセットは第8版から新たに登場しました。第7版で12点あったプリンシプルズは第8版で6点に絞り込まれました。

マインドセットはあえて訳すと心構えや気質という意味です。マインドセットもプリンシプルズも抽象度が高く、ともすれば当たり前の話に聞こえます。第8版を有効活用するためにチームや組織の人たちが相談し、納得できる言葉に言い換えてはどうでしょう?
※コラムではマインドセット、プリンシプルズとも全部説明されていますがここでは省略します。

「プロマネ武蔵」さんのブログ「PMBOK第8版の6原則とは何か?──プロジェクトマネージャの判断を変える行動哲学」に分かりやすく詳しく紹介されています。

※マインドセットは「先見性」「当事者意識」「価値主導」です。当たり前の事と思った方は、ぜひ上のブログを読んでみてください。意思決定の話として整理してくれています。

以上