日経コンピュータ2023.11.09 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は<生成AIで道具から相棒へ ERP新時代>です。SAPがパブリッククラウドを強く推奨している理由が良くわかりました。同じフォーマットで同じデータを多く集めてモデル分析するためにはクラウドでやるしかないのですね。

【編集長セレクト】(P.06) <無料登録だけで読める記事です>
「教育分野でシェア1位目指す」と日本MS GIGA端末の更新需要狙う
 →現在Google42%、MS,Appleは29%。2024年から更新狙う
生成AIの未利用者は84.4% 活用障壁は「回答の正確性に懸念」
 →ビジネス利用者は7.8%
「ドヤれる」ゴールド登録証は更新者増に効くか 7年目の情報処理安全確保支援士
 →IPAの支援士は更新回数でゴールドになる

【AWSがIPv4アドレスに課金 「塩漬けクラウド」に迫る】(P.10)
AWSは2024年2月1日より、すべてのパブリックIPv4アドレスの利用を有料化します。1IPアドレス当たり0.005USD/時間が課金されるようになります。年6500円、1000個持っていると650万円ですから無視できません。

IPv4とは、1990年代後半に考案された「Internet Protocol Version 4」の略称です。256の4乗、約43億個のIPアドレスが発行出来ます。そのアドレスが枯渇しているためIPv6への移行を促す事が目的です。

料金体系を変更することにより、ユーザの利用方向を変化させようという試みはこれ以外にも様々行われています。自社導入システムなら「塩漬け」という言葉がありましたがクラウドのシステムはこまめに変更することが求められています。

【生成AIで道具から相棒へ ERP新時代】(P.12)
1.SaaS時代の幕開け
ERPベンダー各社はクラウドシフトへと急速にかじを切りはじめました。生成AIなどの新機能をいち早く使えるようにするためです。SaaS型を導入する場合は原則アドオンは利用できません
 SAP:2023年以降オンプレミス型を原則販売しない
 米オラクル:AI新機能はクラウドのみ
2.ERPを企業の相棒に 新機能が続々登場
 SAP:Jouleは、ユーザが話し言葉で質問すると答えてくれる
 「過去6か月の欧州地域の売り上げ動向」
 Microsoft365CopilotでオフィスソフトにGPT-4組み込み
 SAPはIBM,DataRobotの他社AIと連携 など
3.実力を引き出せ 2つの徹底ポイント
(1) Fit to Standard :標準機能を生かしバージョンアップ可能
(2) コンポーザブルなアーキテクチャー:複数SaaS連携

同じフォーマットで多数のデータが集まっているとAIモデルが作りやすいです。Salesforceが営業支援のAIモデルをアピールしているのはそのためです。ERPで蓄積されたデータを検索集計してレポート自動作成出来るようになると楽ですね。楽しみです。

【日経BPアワード:日経クロステックが選ぶ CIO/CDOオブ・ザ・イヤー2023】(P.42)
既視感があったのですが、日経コン2023.09.14でニュースとして速報されてました。今回は詳細報告です。
日経クロステックが2023年に創設した賞。選考手順は次の通り
過去約1年で活躍したCIO/CDOや相当役職者が対象
・日経XTECH編集部が100人の候補者を選定
・5つの審査基準に基づき10名に絞り込む
・そこから「選考委員会」で3名を選出
・選考委員は次の3名
ISENSE代表 岡田章二氏(元ファストリCIO)
慶応教授 國領二郎氏(元電電公社)
名古屋商科大学教授 澤谷由里子氏(元IBM)
CIO Lounge理事長 矢島孝應(たかお)氏(元パナ、ヤンマー)

<大賞>荏原製作所 小和瀬浩之氏
花王のシステム部長、LIXILのCIO,資生堂のITC副本部長から2018年に荏原に入社。プロCIO。日経コン2023.05.11で特集されていた、グローバルのSAP導入はすごいプロジェクトでした。
<特別賞>ベイシア 亀山博史氏
アマゾンジャパンの化粧品部門トップ、スターバックスIT部門責任者を5年。2020年に入社。日経コン2022.09.01にCIOが挑むとしてインタビューされてました。
<特別賞>旭化成 久世和資(かずし)氏
日本IBMで30年ほど勤めCTOに。2020年に入社。DXを推進しています。日経コン2022.03.17のCIOが挑むとしてインタビューされてましたが、研究開発のDXがメインでしたので私のブログでは取り上げませんでした。あれ?1年以上前では?

おめでとうございます。

【NTT法は廃止で完全民営化容認か KDDIなど競合3社が猛反発】(P.54)
NTT法を廃止すべきか自民党で突如議論が始まりました。NTT法は次の2つの目的で制定されています。
1.研究開発成果の開示義務
2.固定電話を全国に提供する「ユニバーサルサービス」義務

NTT法を除く通信業界の総意として廃止に反対しています。ユニバーサルサービスを提供する義務があるために特別の設備を持っているという義務をなくすことが危険だと主張です。
 

この記事にはありませんが、NTT法にはもっと大きな目的があります。政府の株式一定割合保有義務と外国人の保有制限です。東芝が外資ファンドに入られて右往左往している姿を見ていると廃止はダメだと思います。盗聴機能が仕込まれた交換機なんて考えただけでぞっとします。

【顧客情報900万件持ち出し防げず NTT西子会社のずさんな内部不正対策】(P.55)
個人情報900万件をコールセンターシステムに保守・運用を担う元派遣社員が持ち出し、第三者に流出させていたと、2023年10月17日に発表されました。NTT西日本子会社のNTTマーケティングアクトProCXとNTTビジネスソリューションズです。

2013年7月から約10年以上もUSBに抜き出して持ち出したそうです。ベネッセの漏洩とまったく同じ。教訓にしてなかったのですね。残念です。

【日経XTECH2023年10月の好評記事】(P.64) <■無料>
突如変わったMicrosoft Teamsのアプリ名、Classicなしならメモリー使用量大幅減
 →新しいTeamsアプリがリリースされ速くなった
日本企業で流行中の愚かな「草の根DX」 転職のための実績にするにはちょうどよい
 →木村岳史の極言暴論!実績上げて転職しよう
<有料>自治体システム標準化、ガバクラ移行で運用コスト2~4倍に悲鳴「議会に通らない」
 →パッケージをそのままAWSに。運用費4倍。深刻です。

【動かないコンピュータ:日本カストディ銀行】(P.72)
2020年7月に資産管理銀行2行が銀行系列を超えて合併・発足しました。そのシステム統合が2転3転して3年経った今でも方針も決まっていません。2025年3月にはデータセンターの撤去期限となり困っているという記事です。

知らない銀行ですのであまり興味なかったのですが「打鍵移行」という聞きなれない用語が出てきました。ググっても意味がわかりません。AシステムとBシステムを統合するときに、Aシステムから対象データを取り出し「Bシステムの仕様に合うように加工して投入する」ことを打鍵移行と呼ぶとかかかれています。
2022年5月にこの方法で「投資信託資産」を移行してみましたが資産計上基準の違いなどから失敗したそうです。

会社のルールやプロセスを統一せずにシステム統合出来ない事は誰でもわかるはずです。統合したくない勢力があるのでしょう。

【新連載:靴に足をどう合わせる?「Fit to Standart」実践法 第1回】(P.78)
DXコンサル企業であるRidgelinezの林 航氏が、自社にSAP S/4HANAを導入した経験を踏まえてその実践方法を解説する連載です。当初は親会社の富士通の主導の下、導入を始めましたがユーザの合意が得られず頓挫。ERPだけで全領域をカバーすることはやめ、業界標準のSaaSを導入してERPと連携させるアーキテクチャとしました。
1.Fit to Standardの考え方
カスタマイズやアドオン開発を最小限にとどめることで、①導入費用を抑え②保守の難易度を下げ③アップグレーをを容易にします。またコンサルへの依存度を下げる事も出来ます。
2.Best of Breed SaaS アーキテクチャ
業界標準のSaaSを組み合わせ、SaaS間のシステム連携にiPaaSでAPIを使い一元管理します。フロント部門のユーザにSAP画面に触らせないためローコード開発(LCPF)を実施。
<使ったSaaSなど>
計画:Anaplan、商談:SFDC、LCPF:Outsystemsで開発、財務会計:S/4 HANA、経費:Concur・・・
プロセスマイニング:Celonis、iPaas:Workato、BI:Azure
 →データドリブン経営へ

大変面白く興味深い連載です。楽しみです。

【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第253回】(P.90)
<進化するGoogle Search 生成AIで新体験を可能に>
米グーグルが2023年10月12日、公式ブログで新たなSGE(SearchGenerative Experience、生成AIによる検索体験)の機能を発表しました。

<有用な洞察(useful insights)を発見し、情報を理解する事(make sense of information)を助けます>
ブログに書かれた新しい機能は次の3つです。
・画像生成が出来る
・有害画像のブロック、ラベル・透かしをつける
・検索結果で、ドラフト文書を作成する

SGEは5月から米国、8月から日本で使えるようになっています。日本語で使うにはここから設定します。chatGPTが出た時、Google検索は不要になるかも知れないと感じました。それの上を行く機能を提供するのはさすがです。SGEを試すと、ChatGPTよりも分かり易いように感じます。Googleは他にも、LaMDAや会話AIのBardを提供し進化させています。

chatGPTの登場からまだ1年です。表紙の絵の通りビッグウェーブがIT業界だけでなく全世界を巻き込んでいるように感じます
以上