日経コンピュータ2023.05.11 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は<「フルコロナ世代」の就活新業態 生成AIが変えた24年卒採用>です。こういう言葉は知りませんでしたが意味は分かりますね。24年卒の学生は20年入学ですので入学当初からリモート環境を強いられていました。ただ、「ユトリ世代」などいわゆるラベリングはマスコミの定番ですがどうでしょうね。

【ChatGPT流行でAIリスクに懸念 EUに続き日本も法整備の議論が進む】(P.06)
日本でも大人気の対話型AI「ChatGPT」をはじめとする生成AI。欧州連合(EU)でAI帰省の対象に生成AIを含める議論が進み、日本でも法規制に関する議論が始まっています。

日本では自民党デジタル社会推進本部(本部長・平井卓也衆院議員)が岸田総理に提言を行いました。この「AIホワイトペーパー ~AI新時代における日本の国家戦略~」にも規制の方向性が書かれています。

EUは「AI規則案」として規制しようとしています。ただ、日本は世界と較べてもAIに鷹揚な国です。鉄腕アトムやドラえもんに感謝です。おかしな規制せずAI天国の国になって欲しいです。

<生成AI革命>タイトルの記事3本が入ってました(P.8-11)
【農水省が4月中にもChatGPT利用 中央政府の先陣切り実業務で使うワケ】
 →行政がAI(LLM)を利用する好事例を作りたい
【ChatGPTのノウハウ獲得を急げ 企業が相次ぎ補助金制度を導入】
 →社内利用を推進する補助金制度を導入する企業が増加
【「巨大AI実験を6か月停止にせよ」 リスクを巡る議論の遅れに警鐘】
 →米国のNPOが提言

※この動画「チャットGPTは何がすごい?今後、何が起きる?~安宅和人×松尾豊×平野未来×上野山勝也【ChatGPT】」では河野太郎氏や平正明氏が質問されています。1時間もありますが面白いです。

【給与デジタル払いはブームになるか 一斉参入のPayPay・楽天らの勝算】(P.12)
2023年4月1日から給与のデジタル払いが解禁されました。ところが参入障壁が高いために各社しり込みしているという記事が日経コン2023.03.30に出ていました。ここにきて4社が指定申請を出したそうです。
 楽天ペイ、COIN+、au PAY、PayPay
企業側の規則変更なども必要ですので企業側にもメリットを出そうと各社画策しているようです。

【IT統制やセキュリティーを重視 J-SOX改定でIT部門の対応は?】(P.13)
2008年から適用された「内部統制報告制度(J-SOX)」が2023年4月7日、15年ぶりに大幅に改定されました。

大きな改定は2点です。
1.ITの委託業務と情報セキュリティーについて追記
 →導入したクラウドサービスに対するIT統制
2.評価範囲の適正化
 →これまで対象外だったグループ会社、情報システムを対象

評価範囲外の子会社での不正により決算訂正が増加したことが大きな理由です。15年と言わずもっと見直せば?

【2weeks from 日経XTECH 4月14日(金)~25日(火)】(P.17)
4/14:米アマゾンも生成AIに参入 独自の大規模言語モデルをAPI経由で提供
 →独自LLM「Titan」,API「Bedrock」,コード生成など
4/14:全国約90の自治体議会 Webシステムが停止 不正アクセス被害で
 →横浜市が発表。総当り攻撃で「議会中継システム」など停止
4/14:パナソニックHD 国内全社員9万人に対話型AIを提供
 →元日本MS社長の樋口氏がIT子会社CEOでGPTシフト

【「フルコロナ世代」の就活新業態 生成AIが変えた24年卒採用】(P.20)
1.早期化・長期化する就活 フルコロナ世代に訴求
 →早期化長期化、chatGPT利用
2.アフターコロナの採用 「タイパ」良い発信へ
 →IT業界就職人気ランキング2023
3.ChatGPTが武器に 生成AIの活用人材探せ
 →ChatGPTを就活の相棒に。

【3メガ銀CIOに聞く 勘定系の未来 メインフレーム神話は続くのか】(P.34)
三菱UFJフィナンシャルグループ CIO 越智 俊城氏
・22年度からの10年間で約1400億円でアーキテクチャ戦略
・メインフレームとオープン基盤のハイブリッド型
三井住友フィナンシャルグループ CIO 内川 淳氏
・約500億円で勘定系システムを刷新。2025年度から順次
・過去にフルオープンを検討したが、メインフレーム継続
みずほフィナンシャルグループ CIO 米井 公治氏
・4000億円超を当時てMINORIを構築
・保守面の不備で2021年2月以降、システム障害が頻発

大変しっかりしたインタビュー記事でした。

【ケーススタディ:荏原製作所グループ】(P.64)
グローバルでERP導入へ 独自テンプレで業務を統一
ポンプの老舗メーカーである荏原製作所は、スクラッチ開発した基幹システムから、「SAP/HANA」に移行しています。全世界の30近いグループ会社のERPを統一し業務プロセスや業務ルールを標準化します。
 カナダ:2022年3月~
 荏原フィールドテック:2022年5月~
 荏原冷熱システム:2023年5月予定
アビームコンサルティングの製造業向けのテンプレートに独自機能を加えて使用。導入プロジェクトは協力ベンダーも含め約380人。業務に精通したベテランを中心に構成されたビジネスプロセスリーダー(BPL)が現場とのパイプ役

プロジェクトメンバ数は少し多すぎると思いましたが、現場との調整する「役割」を明確にしているところが工夫です

【キーワード:オルタナティブデータ】(P.73)
前号の野村総研が出したITロードマップの記事でこの言葉を知りました。英語の意味は「代案」「今までとは違った新しいもの」程度の意味です。
検索すると、金融業界や投資家の間では使われている言葉のようです。伝統的な経済指標(財務データなど)とは異なる情報源から生成されるデータであり、テクノロジーの発展によって利用可能になったデータも対象となります。SNSやIoT機器、POSや衛星画像など「非伝統的なデータ」の事だそうです。
経営分析などに使うデータですからIT業界が取り上げる価値があるのかは疑問でした。

【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第240回】(P.86)
20年前から指摘されていた プロジェクト成功に必須の力
金融機関出身のコンサルタント 峯本展夫氏の言葉です。20年前の言葉ですが、今でも通じます。
 ・取り組むべき事項を把握する力
 ・社内外の関係者を巻き込む力
 ・不確実性に対処する力
著書「イノベーションマネジメント・プロフェッショナル」(生産性出版)の言葉を参照しながら、2021年発行の「PMBOKガイド」の12の原則と照らし合わせてこの3つの力が求められていることを解説されます。ここでは省略します。

【中田敦のGAFA深読み】(P.96)
「OSS版ChatGPT」が次々登場 その学習手法が物議を醸す訳
ChatGPTに匹敵する性能があるとするオープンソースソフトウエア(OSS)が次々と登場しています。1ヶ月ほどの間に10個以上が登場しています。これらは米メタが2023年2月24日に研究者向けに公開した事前学習済み大規模言語モデル「LLaMA(ラマ)」をベースに開発されました。

ベースとなる大規模言語モデルの開発には数億円単位の費用がかかりますが、メタが無償提供したため、それをファインチューニング(supervised fine-tuning,SFT)を行いました。そのSFTに使用する会話サンプルにオープンAIのサービスを活用することで大変廉価に開発されました。

既存モデルの出力データを使って新しいモデルを開発することを「知識蒸留(Knowledge Distillation)」と呼びます。オープンAIはこういう使用を禁止しているために物議を醸しています。

オープンソースいローカルで動かすと、質問内容が外部に漏れないため一部の間では熱狂的に広がっていますが、法律面でグレーとは知りませんでした。

以上