GOOGLEのTRANSLITERATEというサービスをご存知でしょうか。ローカルのPCに辞書がなくIMEすら入ってなくても、ブラウザとクラウドにある辞書を用いて多言語を入力出来るというサービスです。
http://www.google.com/transliterate/
今まで、ヒンディー語、アラビア語やペルシャ語、最近では中国語のサポートも開始されました。1月31日に日本語が新たに加わりました。Englishを入れて25カ国語に対応しています。
ローマ字で入力しかけた瞬間に入力場所に小窓が現れます。
スペースを押すとクラウド上の辞書を参照して漢字に変換してくれます。
海外で日本語辞書が入っていない環境などでは役に立つでしょう。辞書としてはGoogleの日本語解析技術が使われていますから、新しい語彙も利用できますし高い精度の変換も実現しています。
こういう最先端の機能を使う時には、ブラウザによって動作速度に大きな違いが出てきます。GMAILを使ってる方ならご存知と思いますが、GMAILをIEで動かすと遅くて使い物になりません。このTransliterateも リアルタイムに通信しながら変換しますから、動作に差があることが予想されます。
試しに実測してみましたが、何とどのブラウザでも測定不能なほど速いです。ただし、ネット環境が悪くなると目に見えて反応が悪くなります。裏でネットの動画を動かすと場合によっては変換に10秒近くかかりました。
(測定は、InternetExploror、FireFox、Chrome、Safariのそれぞれ最新版で行いました。)
ブラウザの制約上、同一ドメインの辞書しか見に行けないと思いますので、他のシステムでこの辞書を直接使う事は出来ません。ただ、Google CGI API for Japanese InputというAPIが用意されています。
http://www.google.co.jp/intl/ja/ime/cgiapi.html
変換したい元のひらがなをこのAPIで渡すと、候補をJSON (JavaScript Object Notation)型式で戻してくれます。意識的に文節を区切って渡す事も出来ます。
ローカルの処理なのかクラウドの処理なのかわからなくなってきませんか?クラウドをどうとらえるかは各社違いますが、一番広くとったとしても「WEB上のサービス全体」程度でした。こういうアプリケーション部品、それもバックに辞書という巨大な情報が必要な部品すらWEB上で提供される。
これがクラウドの利用方法なのだと感じました。例えば住民税や所得税の計算式は毎年法令に基づいて変更されます。それがクラウド上の部品として提供されていて、変換結果を得られるようになるなら、毎年のロジック変更は不要になります。企業内の情報が漏れる事を心配する方も多いですが、細切れの数字だけを渡すなら何の問題もないでしょう。
今までプログラムの部品化だとか流用だとかが何度もチャレンジされ失敗してきました。オブジェクト指向は本来プログラムの再利用を目的として発展してきました。ひとつのプロジェクトの内部流用であれば可能ですが会社単位でもほとんど失敗しています。ましてや会社を越えた取り組みでほんの少しでも成功したという話を聞いたことがありません。それは部品を使おうとすれば、全体のフレームワークや部品の利用方法などが制約されてしまうからです。
単純にgetパラメータでデータを渡し、JSONで回答を得る。これほどシンプルな構造はありません。しかも、単純にPOSTで全部の項目をサーバとやりとりするという旧来のHTMLではなく、それなりのインターフェースを設計する必要があるため品質も良くなります。JSON型式がこれだけ流行ると、XMLは過去の物になりそうです。
近未来のクラウドERPの一つの形を見たような想いがしました。