日経コンは2週間に1度、年に52週÷2=26冊出る雑誌です。2010年から全号精読して記事をザッピングしています。
※はブログ筆者のコメントです
特集は<次は「プロテインAI」 狙う医薬品70兆円の巨大市場>です。どんなラッキーがあっても一般の我々がその業界にタッチすることはありませんので「どうぞご勝手に」ですね。
Book in Bookとして<「AIリーダーズ100特別編集版 VOL.03 2026 AI活用 5つの誤解ほか>が挟まってました。何と72ページもありました。過去2回(2025.07と2025.11)はザッピングしませんでしたが、今回は1つだけ取り上げます。
【次は「プロテインAI」 狙う医薬品70兆円の巨大市場】(P.10)
※プロテインAIという言葉を初めて知りました。プロテイン(タンパク質)をAIで生み出すという意味だそうです。ググっても一般用語とは言い難いようです。創薬AIの方がわかりやすいです。
1.ビッグテックも大注目 フィジカルAIの次
生成AIの対象として「タンパク質(プロテイン)医薬品」がフィジカルAIの次なる利益候補と考えられ注目を集めています。
・メタ:2023年に米エボリューショナリースケール設立
・セールスフォース:2022年に米プロフルーエントを設立
・Google:2021年に英アイソモーフィック・ラボ設立
2.プロテインAIとは? 7つの疑問で紐解く
⑤なぜタンパク質をLLMで扱える?
タンパク質は「20種類のアミノ酸を数珠つなぎにして並べたもの」です。これを20種類の文字で書かれた文章と捉えると、LLMで扱えるようになります。これを「タンパク質言語モデル(pLM)」と呼びます。
3.抗体LLMを独自開発 「失敗」データも学習
日本のスタートアップ「モルキュア」。山形県鶴岡市にある京王技術大学先端生命科学研究所発のスタートアップ。2013年設立
4.pLMと機械学習併用 最新AIにこだわらず
日本のスタートアップ「レボルカ」。東北大学発のスタートアップとして、2021年に創業しました。
5.中外とアステラス 日本の製薬業の挑戦
日本の製薬会社も電機メーカーと協力しながら研究しています。
※基幹システム構築のために日経コンを読んでいる読者にとっては「だから何?」という特集でした。
【企業揺るがす ITの値上げドミノ 機器からAI、クラウドまで】(P.28)
従来はメーカーから販売会社へ、1〜2カ月先の値上げを告知するのが一般的でした。ところが近年、値上げ後の価格を「即日適用する」と通達されることもあります。メーカーが出す見積価格の有効期限も、以前は3カ月あったのですが最近は2週間に縮んている例もあります。
一つの理由は、AIの爆発的な普及により、メモリーや半導体が高騰していることです。またホルムズ海峡閉鎖の影響で原油価格が関係することも考えられます。
AIについても、ClaudeもChatGPTも一部が従量課金になるなど実質値上げしています。ドイツ、フランス、中国が提供するクラウドも値上げラッシュが始まっています。
※20260626の日経新聞にMacやiPadも2〜3割値上げという記事がありました。深刻になりそうです。
【AIリーダーズ100 4.「AI検索」の落とし穴】(P.16)
※Book in Book内のページ数です
<AI要約でサイト流入減解消のための4ステップ>
検索結果に「AIによる概要」やChatGPTで検索されるためサイト流入が激減しています。SEO(検索エンジン最適化)に費用をかけて検索結果が上位に出る企業は死活問題です。AI検索最適化(AIO)を指南するコンサルタントが続出しています。その手法をお教えしますが、AIOはSEO以上にやることが多く疲弊しやすいです。弱いポイントに絞って着手しましょう。
(第1段階 AIに見つけてもらう)
この段階はSEO対策がそのまま効果的です
(第2段階 AIに理解してもらう)
AIは長文のストーリー仕立てで描写するより簡潔な箇条書きなど要点がわかりやすいほうが正しく読んでくれます。
(第3段階 AIに推奨してもらう)
推奨の決め手となるのは、自社サイトが何を言っているのかよりも「第三者がどう評価しているか」です。外部メディアでの露出や評判を高める必要があります。
(第4段階 AI推奨をコンバージョンにつなげる)
第三者の評価ポイントと自社の訴求内容にギャップがないことが重要です。
※昨年2025年の忘年会で「AIとEC業者の静かな熱い戦い」を知りました。この川辺氏の資料の方が面白いかも
【日立がメインフレーム撤退へ 27年にOS「VOS3」の販売を終了】(P.52)
日立は2017年にメインフレームのハードウェア開発から退きましたが、VOS3の開発・保守は継続していました。ハードは日本IBMから提供を受けていました。
そのメインフレーム向けOS「VOS3」の販売・保守を終了すると、2026年5月に発表しました。
販売は2027年11月、保守は2034年12月に終えます。
富士通もメインフレームの製造・販売を2030年末に終了し、2035年末に保守を終えると発表しています。メインフレームについては、日本IBMとNECは製造を継続しています。
地方銀行向けに提供している勘定系システムには日立製メインフレームが稼働しています。今後オープン化される予定です。
※生成AIを使うとメインフレームを簡単にオープン化出来るといわれていました。ガートナーは「2026年に開始されたメインフレーム離脱プロジェクトの7割超が失敗」と言ってます
【「Fable5」発表も3日で提供停止 米政府が安全懸念、「脱獄」問題浮上か】(P.54)
2026年4月に発表した米アンソロピックのAIモデル「Claude Mythos Preview」は、セキュリティの脅威になるため一般公開しませんでした。それをベースに一定のガードをかけた「Claude Fable5」が6月9日に提供されました。
ところがわずか3日後の6月12日、米政府の指示で外国人ユーザが使えなくなりました。外国人の社員でも駄目と指示されたため見分ける方法がなく全面停止しました。
6月10日には開発者向けイベント「Code with Claude」を始めて東京で開催したところでした。アンソロピックは脆弱性は比較的単純であり、これが駄目なら「最先端モデルの提供をあきらめることになる」と言っています。
※ローコード開発ツール「TALON」作者の古関社長がFable5を24時間稼働していたのに止まったと困ってました。従来のClaudeとはレベルが違うほど賢かったそうです。
【ケーススタディー:アクティオ】(P.60)
<5年越しのクラウド移行を達成 性能問題を解消し、可用性を向上>
建設機械レンタルの国内シェア1位、グローバルでも7位に位置するアクティオは、基幹システムのクラウド化を完了しました。使用したのは、米オラクルの「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」です。レンタルする建機の在庫や入出荷、売上請求、稼働状況、メンテナンス情報などを総合管理します。
入出荷台数は年間2200万件あります。従来は米IBMのオフコン「eServer i5」で動いていたものを、2013年にJavaによるスクラッチ開発でオープン化しました。国内のデータセンターで仮想マシン(VMWare)上で稼働するOS「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」と「Oracle Exadata」を採用しました。
2017年時点で、システムの処理性能が事業の成長に追いつかなくなるという懸念が出てきました。2012年に1600億円だった売上が2017年に3000億円まで伸びてきたからです。
1.2020年にクラウド移行の検討しましたが断念
(1)OCIでは「RHEL」をサポートしていないので断念
(2)AWSでExadataを使うとライセンス価格が2倍で断念
2.2024年に再度検討開始しプロジェクト開始
(1)Amazon Auroraへの移行はリスクが高く断念
(2)OCIでRHELがサポート対象となったため具体的に検討開始
2024年11月からPoCを行い、2025年4月キックオフ、7〜8月に構築し10月に移行を完了しました。
今後はVMWareからコンテナ技術活用を検討しています。
※Oracle Cloud Infrastructure(OCI)に存在感が出てきました。
【キーワード:FDE(フォワード・デプロイド・エンジニア】(P.73)
FDEとは、顧客の業務や組織を深く理解して課題を明確にし、解決するためのシステムを実装するエンジニアのことです。システム開発には生成AIをフル活用します。
米オープンAIと米アンソロピックが2026年5月、そろってFDEのチームを抱える新会社を立ち上げて関心が高まっています。
日本でもSES(システム・エンジニアリング・サービス)として客先常駐をする形態はありましたが、それはテストなどの下流工程をになう労働集約型ものでした。FDEは知識集約型です。
オープンAIが東京でもFDEを募集しています。優秀な人材が流れる危険性があります。
※給与は公開されていませんが、シンガポールでは株式報酬を含めて初年度年俸約6,000万円という情報があります。そりゃ流れるでしょう。
【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第321回】(P.82)
<組織内の意見に従うのは危険 組織外へ提供する価値で判断>
社長や幹部または現場など、中の意見で物事を決めてしまっては危ない。顧客や社会へ何らかの価値を届けられるかどうか、そこで判断すべきだ。
「ビジネスアーキテクチャ:ビジネスを構成する点を集め、つなぎ、正す」(2025/6/27発行、ロジャー・バールトン著、TechnicsPub発行)によると、価値を生むビジネスの全体像がビジネスアーキテクチャです。全体像を得るために16の活動が必要になります。その事は、日経コン20250501の本欄でも紹介しましたがその後日本語版の書籍が発行されましたので書籍の訳語で紹介します。
Define:ビジネスを定義する:顧客や社会にどう価値を提供するか
Degihn:ビジネスをデザインする:どういうものかを記述する
Build:ビジネスを構築する:優先順位と実行計画
Operate:ビジネスを運営する:動かしモニタリングし改善する
この4つの領域の中にそれぞれ4つの活動があり16の活動として定義されています。日本の組織でビジネスアーキテクチャの活動をどう進めるかは難しいでしょう。トップに近い社長室や経営企画部門に担当チームを置くことが理想でしょう。情報システム部門にチームを置く手もあります。ビジネス設計の発想やスキルがシステム設計に似ているためです。
※最近BizOps(ビズオプス)という組織が流行りかけています。まだ専門部門を持っている会社は多くなく、どういう活動をするかも定義されてませんので、そこでやるのも良さそうです。
以上