あんまり天気がいいものだから、バイトで集まってもらった学生たちの前で、「いやー、おれっちの若い時分は、こんな日には、カーステレオでユーミンの曲でもかけて、海岸をドライブとかしてたものよ」などと軽口を叩いたら、

 

「うわー、時代を感じますねー」「え?ひょっとして昭和ですか?」みたいな、ウケたのか、ディスられたのかわからないリアクションが返ってきたが、ひとり、なんとなく、作り笑いを浮かべながらも、やや怪訝な表情にみえる女性がいて、気にはなっていた。

 

 

 

 

あとで、僕がひとりのところにやってきて、「すみません。どうしても気になっちゃいまして。。ドライブで聴いていたのは、この曲ってことはないですよね?聞き違いですよね??」

と告げた彼女のスマホから流れてきたのは、名曲「ねえ!ムーミン(ムーミンのテーマ)」であった。

 

 

滑舌も悪かったろうが、そもそも、ユーミン(=松任谷由実)が、パッと出てこない世代も現れたのか?と反省しつつ、

恥ずかしさを紛らわすため、とっさに、今は亡き岸田今日子さんの声色で、「違うよ、ノンノン!」と戯けてみたが、小さく何かを呟いたまま、その場から去られてしまった。

週末の昼下がり、近所のマクドナルドの店内を眺めていると、ひとつのことに気づきました。

 

レジに並ぶ子供たちの目が、カウンター上のメニューボードではなく、ショーケースの中に飾られたおもちゃのほうへ向いているんです。「あれ、まだある?」と親の袖を引っ張る声。親のほうはもう半ば諦めたように財布を出している。

 

ハッピーセット、一丁あがり。

これ、ただの「子供が好きな食べ物」の話じゃないんですよね。


 

マクドナルドが、以前やっていたことを覚えている人は多いと思います。「ハンバーガー65円」。デフレの申し子みたいな価格戦略で、とにかく安さで人を呼ぶ時代がありました。でも今の店内を見ると、その面影はほとんどありません。

 

ポケモン、ちいかわ、ガンダム、『SPY×FAMILY』、『僕のヒーローアカデミア』。ハッピーセットのおもちゃは、そのときどきの子供文化の最前線を走っているIPばかりです。

 

価格で勝負するのをやめて、体験で勝負するようになった。

 

そういう言い方もできますが、もうひとつ、「今すぐ売れる商品」ではなく「将来ずっと選ばれる人間」を育てることに投資するようになった、とも思います。

 

日本マクドナルドの創業者の藤田田という人が、こんなことを言っていました。「人間は12歳までに食べてきたものを、一生食べ続ける」

 

最初に聞いたとき、少し大げさに聞こえました。でも、考えれば考えるほど、これはかなり本質をついた観察だと思うようになりました。

 

幼少期の「楽しかった記憶」は、大人になってもなかなか消えない。マクドナルドのあの赤と黄色のロゴを見ると、なんとなく気分が上がる、という人は少なくないはずです。それは味だけじゃなくて、子供の頃に感じたわくわくとセットで記憶されているからだと思うんです。

 

そしてその子供が親になると、今度は自分の子供を連れてくる。おもちゃをねだる我が子を見ながら、「自分もこうだったな」と思いながら財布を開く。

 

顧客が顧客を産み、世代をまたいでループしていく。マーケティング費用をかけずに、ファンが再生産され続ける仕組みです。

 


 

この話を、自分の得意分野、日本のエンターテインメント業界に重ねると、少し複雑な気持ちになります。

 

日本は本来、子供向けコンテンツの作り方を世界で一番よく知っている国のひとつだと思っています。

 

マリオ、ポケモン、ハローキティ…。

 

これらは今でも親子2世代、場合によっては3世代にわたって世界中で愛されています。

 

最初に「子供部屋」で生まれたものが、兆円規模のビジネスに育った例がいくつもあります。

 

 

 

ところが今、国内では少し違う流れが起きています。少子化を理由に、「子供向けコンテンツは市場が小さい」と判断した企業が、購買力のある大人向けへとリソースを移していっています。

 

テレビのゴールデンタイムからアニメや子供番組が消えていったのも、もう随分前のことです。0歳から4歳くらいの低年齢層に向けた、生活習慣や情緒の土台を作るような国産コンテンツが、今ほとんどありません。

 

アンパンマンがひとりで何十年も踏ん張っている状況で、次の世代のスタンダードが育っていない。

 

その空白に、海外のコンテンツが入ってきています。

韓国発の『Baby Shark』、イギリスのMoonbug Entertainmentが手がける『Cocomelon』。これらはYouTubeやNetflixを通じて、言語の壁をほぼ感じさせないまま、日本の子供たちの日常に入り込んでいます。

 

制作側は発達心理学とデータサイエンスを組み合わせて、「何歳の子が何分見続けるか」を徹底的に検証しながらコンテンツを量産しています。最初から世界展開を前提にしているので、日本市場はそのルートのひとつにすぎない。

 

今の日本の子供たちが、最初に強い愛着を感じる体験が、海外のプラットフォームと海外のキャラクターになりつつあります。

 

それはつまり、日本企業は将来の顧客としてのLTV(顧客生涯価値)の源泉を、気づかないまま手放し始めているということでもあります。

 

  パウパトロール人気も日本でもすっかり定着しましたね。
       (公式サイト https://pawpatrol.jp/ )


 

ただ、悲観だけで終わる話でもないと思っています。

 

日本には今もクリエイティブの蓄積があります。キャラクタービジネスのノウハウも、情緒に訴えるストーリーテリングの技術も、世界水準で通用するものがある。

 

少子化は国内市場の縮小を意味しますが、世界に目を向ければ子供の数は増えています。最初からグローバルを前提にしたフォーマットで、幼児向けコンテンツを作り直す余地はまだあるはずです。

 

マクドナルドが教えてくれているのは、「今すぐ買える人」だけを見ていると、数十年後の顧客基盤が細っていく、ということです。

 

感受性の強い幼い時期に、楽しくて、安心できて、また会いたくなるような体験を提供する。それが将来にわたって選ばれ続けることへの、一番長い近道なのかもしれません。

 

少子化という言葉に引っ張られて、子供向けを後回しにしていないか。エンタメに限らず、いろんな業界でそれぞれに考えてみる価値のある問いだと思っています。

エンターテインメントや新規事業において、熱狂的な顧客コミュニティをどう作るか?は常に頭の痛い問題ですが、

 

敢えて、使い勝手を悪くして独自の審査基準を設けることは、間違いなく、コミュニティの価値を独占する最短ルートのひとつでしょう。

 

先日、たまたま、疑問が浮かんで、寝られなくなっちゃった、「なぜ、ヨーロッパでのみ、あのような舞踏会が発達を遂げたのか?」問題も、原因はそこにつながるのだな、と、はたと気が付き、また眠れなくなっちゃいまして、このブログを書きました(笑)

 

 

大きな背景にはキリスト教の一夫一妻制という強烈な?制約があると思います。

 

複数の配偶者を持てない、そして離婚も面倒だったヨーロッパの王侯貴族にとって、結婚は一族の資産と影響力を賭けた一点集中投資でした。ゲルマン法の伝統で、女性にも財産分与権や領主相続権があったため、これは両家においては、現在の対等な企業合併そのものだったのです。 

 

適当な相手を選べば、一族が没落します。相手の教養や健康状態、非言語のコミュニケーション能力を厳格に審査する長期的な場が要求されました。複雑なステップを共有するダンスは、この過酷な審査を乗り切るための非常に合理的なテストとして機能したわけです。

 

17世紀のフランスでは、ルイ14世がこの仕組みをさらに洗練させます。彼は地方貴族の反乱を防ぐため、評価の基準を武力から宮廷の作法へと強引に書き換えました。貴族たちをヴェルサイユ宮殿に集め、難解なステップの習得を義務付け、うまく踊れるかどうかで年金や役職を配分したのです。自分たちのルールで勝負させる。これがプラットフォーム運営の極意と言えます。

 

 

時代が下り19世紀になると、産業革命で成り上がった新興富裕層が台頭します。対して、伝統的なエリートたちは自分たちのステイタスを守るため、幼少期からの教育投資が必要なワルツや複雑なマナーを参入障壁として利用しました。

 

ロンドンの排他的な社交場では、どんなにお金があっても内輪の作法を知らない人間は冷酷に追い出されます。この意図的な摩擦が、コミュニティの価値を限界まで高めました。

 

一方で、当時のアメリカの有名な新興財閥のヴァンダービルト家は、この障壁を資金力と企画力で突破します。彼らは既存の権威である名門アスター家から仲間外れにされていましたが、独自の超豪華なイベントを主催し、あえてアスター家を招待リストから外しました。

 

結果として相手から招待状を求めさせ、ヒエラルキーをひっくり返したのです。ちょっと底意地の悪い言い方をすれば、新参者が独自の企画で古い権威を直接的に無効化した格好です。自分たちで新しいルールと場を作ってしまえば、古い権威は機能しなくなります。

 

 

さて、ここから現代のビジネスにどう応用するかです。他社と同じ価格や機能で競争するのではなく、参加すること自体がステータスになるような独自の基準を設定します。そして、ユーザーに受動的な消費ではなく、自ら動いて承認を得るアクションを要求します。

 

ただし、ここで見落としてはならない変数を指摘しておきます。参入への摩擦を高く設定しすぎると、新規の流入が完全に途絶え、初期メンバーだけで自己満足に陥る過疎化のリスクが存在します。 

 

この予測が外れたときのリスクを限定し、成功時のリターンを最大化するためには、メインのコミュニティは厳格な審査を維持しつつ、定期的に誰でも参加できる単発イベントを開催して外のエネルギーを取り込むアプローチが有効です。

 

失敗しても単発イベントの赤字で済みますが、当たれば新しい有力な参加者を一気に獲得できる非対称性を持ちます。

 

歴史が証明する人間の欲望のコントロール手法は、まんま、現代のビジネスに適用できますね。

突然ですが、「義和団の乱」ってご存知ですか?
 

知らなくて当然です。私もついこないだ、ひょんなことで資料を読み込む機会があって、初めてちゃんと向き合いました。

 

清朝末期の中国で、外国人排斥を掲げた農民運動が暴徒化。それを、少数の日・英・米・仏・独・露・伊・墺の八カ国連合軍が鎮圧した事件です(1900年)。

 

欧米では映画になる程の武勇伝として語られましたが、実際は、美談とは程遠い、侵略の記録ではあります。

 

教科書だと数行で終わる話。でも、現場で何が起きていたかを追っていくと、これが妙に「現代のビジネス現場」と重なって見えてくるんですよ。

 

もったいないので、まとめてみます。

 


■ 危機になると、縦割り組織が急に横串になる

 

北京の公使館区域が包囲されたとき、八カ国の外交官・民間人・軍人が数万の敵に囲まれました。食糧も弾薬も底をつきかけている。

 

そんな状況でアメリカ海兵隊の一等兵が、廃材をかき集めて即席の砲を作ります。

 

砲身はイギリス製、砲車はイタリア製、砲弾はロシア製、導火線は日本製、火薬はドイツ製。

 

平時は互いに牽制し合う列強のガラクタが、一丁の兵器になった。兵士たちはこれを「インターナショナル・ガン(国際砲)」と呼びました。

 

…これ、クロスファンクショナルチームそのままですよね。

 

平時は縦割りで動いている組織が、危機になると突然横串で動き始める。あれって「意識の高さ」じゃなくて、「共通の恐怖」 が動かしているケースがほとんどだと思うんですよ。

 

だとすれば、危機が来る前に意図的に「共通の課題」を設定しておくのが現実解かもしれません。きれいなミッションステートメントを磨くより、「これが達成できなければ全員困る」という具体的な危機感を共有する。粗っぽいですが、人ってそっちのほうが動く。

 

 


■ 準備は、誰も見ていないときにやるもの

 

この籠城戦でいちばん評価を受けた人物が、日本から派遣された柴五郎中佐です。

 

彼は北京着任直後から、城内の地理を自分の足で歩いて頭に叩き込み、現地の人脈で独自の情報網を張っていた。誰も注目していない平時のうちに、地味な準備をコツコツやっていた。

 

包囲が始まり、各国がパニックに陥ったとき、冷静な状況判断ができたのは柴だけだったといいます。イギリス公使は即座に彼を参謀長として重用し、その活躍が後の「日英同盟」締結にも繋がっていったと言われています。

 

印象的なのは、準備のタイミングです。

 

危機が来てから準備する人と、何も起きていないうちに準備する人の差が、有事にそのまま出た。

 

コンサルの現場でも「今は余裕がないので、落ち着いたら体制を整えます」という言葉をよく聞きます。でも、落ち着いてから備える人は、次の危機にもまた間に合わない。いつの時代も変わらない。

 

 


■ 経歴が「きれいな人」より「痛い目を見た人」のほうが危機に強い話

 

柴五郎の出自は、少し重たいです。

彼は会津藩士の家に生まれました。戊辰戦争で会津藩が敗れたのは1868年、彼が八歳のとき。城が落ちる前日、母と姉と祖母が自刃した。その後、一家は「朝敵(賊軍)」の汚名とともに、極寒の下北半島へ流されます。

その柴が、明治の帝国陸軍の軍人として北京に着任した。

包囲下、彼は虐殺から逃れてきた約2800人の中国人キリスト教徒を保護します。「食糧が足りないから追い出せ」という声が上がっても、最後まで守り抜いた。

彼が何を考えていたのか、正確にはわかりません。個人の矜持か、敗者の経験から来る何かか。

ただ、ひとつ言えるのは——「正しいことをした人」が、必ずしも恵まれた経歴を歩んできたわけじゃない、ということです。

採用や人事を考えるとき、経歴の「きれいさ」より「何を経験してきたか」を見ることの大切さ。修羅場をくぐってきた人のほうが、危機の判断が的確なことが多い。1900年の話ですが、今の人事論としても十分通用します。

 


■ 「負の遺産」が、思わぬ形で大化けする話

 

最後に、後日談をひとつ。

義和団の乱後、清国は八カ国に莫大な賠償金(庚子賠款)を支払わされます。その後、アメリカが実際の損害額より過剰に受け取っていたことが発覚。

 

粘り強い外交交渉の末、超過分が返還されることになりますが、条件がついていました——「中国人留学生をアメリカに送るための奨学金として使うこと」

 

アメリカの本音は明白です。将来の中国指導者層に親米的な価値観を植えつける、お得意のソフトパワー戦略。

 

その予備校として北京に作られたのが、今日の清華大学の前身です。

 

…ここからが笑えます。

そのアメリカ仕込みのエリートたちは、今やアメリカの覇権に挑む中国の原動力になっている。

 

アメリカ、完全に自分で蒔いた種を自分で踏んでいる。

 

「負の遺産を次の何かに転換できるか」は、ビジネスでも同じです。失敗したプロジェクト、撤退した事業、解散したチームの経験が、別の文脈で突然価値を持つことがある。

 

それを「ただの失敗」と閉じるか、「何かに使えないか」と問い続けるかの差。

 


■ まとめ:1900年と今の会議室、構造が似すぎている

 

歴史の話を読んでいると、いつも思うんですよね。

「結局、時代は変わっても、人間はほとんど変わらないな」と。

組織の縦割り、危機での判断、リーダーの準備、失敗の活かし方。1900年の北京で起きていたことと、今の会議室で起きていることは、構造がほぼ同じです。

だから歴史はやめられない。

どなたかの参考になればうれしいです。

こんにちは、種田 慶郎 a.k.a. hatchonです。

 

今日はちょっと長めのブログを投稿させていただきました。

 

テーマは、VTuber市場への参入戦略

事業として真剣に検討されている方や、エンタメ業界周辺の方に向けて、最新トレンドを踏まえながら、自分なりの仮説を3つ共有させてください。

 


■ まず、現状の数字から

 

2026年、世界のVTuber市場は約31億ドル規模。

2031年には49億ドルへ到達すると予測されています。

「これは大きい」と思いますよね。でも、ちょっと待ってほしいんです。

 

国内市場を見ると、カバー(ホロライブ)とANYCOLOR(にじさんじ)という圧倒的な2強が、すでにこの市場を占有しています。

 

しかも、です。

カバー社のFY2025決算(売上高434億円)を見ると、収益の約75%はグッズやライセンスなどのコマース領域。

つまりもう彼らは、「タレントの配信マネジメント業」から、「IPネットワークを活用した巨大なリテール・商社ビジネス」へと移行を果たしつつある。

 

控えめにいって、強すぎます…。

 


■ では、後発はどこで戦うべきか?

 

「アニメルックなアバター×バラエティ配信」という既存の土俵で、この2強のエコシステムに正面からぶつかるのは、資本効率の観点からみても、あまりにも厳しい。

 

じゃあ、どこで戦うか。

最新のトレンドとテクノロジーの動向を踏まえ、3つの仮説を共有します。

 

美少女グループ

 


【仮説①】グローバル音楽市場 × オープンUGCモデル

 

これから世界を狙うなら、主戦場は「音楽(VSinger)」です。

個人的には、これが一番王道のルートだと思っています。

 

韓国のバーチャルボーイズグループ「PLAVE(プレイブ)」の成功が、業界のパラダイムを変えました。

 

デビューミニアルバムで初動20万枚、その後累計100万枚のセールス。Melonのストリーミング総再生数10億回を史上最短で突破。

 

彼らの武器は、K-POPアーティストと同等の「生身のパフォーマンス」——作詞・作曲・振付・生歌唱——です。

 

アバターというガワを被れば、K-POPジャンルでも、演者のリアルなルックスに左右されないポテンシャルで勝負できることが立証されたわけです。

 

そして日本発の戦略としては、ボーカロイド文化と「すとぷり」型の熱狂的エコシステムを統合したアプローチが考えられます。

 

自社の音楽データや3Dモデルをオープンソース化して、世界中のトラックメーカーや翻訳クリッパーに素材を開放する。

 

自社で多言語対応のコストを抱え込むのではなく、現地のコミュニティを「公式の共犯者」に仕立て上げる、という発想です。


【仮説②】AIによる「IPの不眠不休化」と装置産業化

 

VTuberビジネスの最大のアキレス腱は、タレント(中の人)への過度な依存です。

 

2025年7月、米国最大手エージェンシー「VShojo」が、所属タレントの一斉離脱により事実上崩壊しました。

 

タレント側にIP権を帰属させる先進的なモデルでさえ、経営の永続性を担保するには至りませんでした。

 

「中の人」のスキャンダルやバーンアウトによる卒業は、企業にとって数十億円規模の消失インパクトを与える構造——これ、昭和の芸能界と、ほとんど変わっていないんですよね。

 

でも、テクノロジーがこの致命的なリスクを解決しつつあります。

 

2026年1月、Twitchで最も人気のストリーマーとなったのは、AIが稼働させる「Neuro-sama(ニューロ様)」でした。

 

人間の演者が質の高いパフォーマンスを行う裏で、その声と人格を学習したAIが、北米・南米のゴールデンタイムに合わせて多言語で24時間配信を行う。

 

属人的リスクを排除し、労働集約型のビジネスを「資本集約型の装置産業」へと転換する。その革新的な設計です。

 


【仮説③】ボラティリティを嫌うなら「B2B機能提供型」へ

 

エンタメ市場特有のリスクや変動性を嫌うのであれば、もう一つのブルーオーシャンがあります。

「企業向けVTuber(B2B領域)」です。

 

年間120%の成長を見せるこの市場では、銀行窓口の案内、eラーニング講師、社内研修ナビゲーターなど——「機能的な価値(わかりやすさ・親しみやすさ)」がストレートに評価されます。

 

2026年2月には、ヤマハがアイ・ペアーズ社との資本提携を発表。3DCG技術と音響技術を掛け合わせたバーチャルエンターテインメント・B2Bソリューションへの本格参入を表明しました。

 

競合が少ないうちは法人契約のため単価が高い。

何より、属人的な炎上リスクが極めて低い。

 

高度な技術パイプラインを持つ企業にとって、最も手堅く利回りを確保できる事業領域と言えます。

 


■ 結論として、3つの絶対条件

 

これから参入にチャレンジする方への提案です。

 

① KGIを転換する 指標を「YouTube同接数」から、「Spotify月間リスナー数・ARPU」もしくは「B2Bの法人契約数・継続率」へ再設定する。

 

② テクノロジーを初期設計に組み込む 演者の実演と「AIモデルの商用利用権」を明確に分離し、多言語で24時間稼働できるIPインフラを最初から設計する。

 

③ 主戦場を絞る 「オープンUGCによるグローバル音楽市場」か「機能価値を提供するB2B市場」か。どちらかに資本を集中させる。

 


■ おわりに

 

次世代のバーチャルビジネスは、タレントのマネジメント業ではありません。

 

高度にシステム化された「デジタルIPインフラ企業」の構築競争です。

 

2031年の49億ドル市場で生き残るのは、この視点で事業設計できた企業だと、個人的にはみています。

 

自分自身も、具体的にいろいろ検討中の領域でして。

 

また続報があれば、こちらでも共有していきますね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

種田慶郎(セグレト・パートナーズ)