やっぱり映画が好き -4ページ目

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

テレビ出演で有名な天気予報士クラーク(ジェイソン・ベイトマン)は手話通訳者フロイド(デヴィッド・ハーバー)との共演がきっかけで親密になる。クラークはフロイド主催のホームパーティーに参加すると、彼の妻キャロル(リンダ・カーデリーニ)と知り合いやがて不倫関係へと陥る。そんな二人の情事を知ったフロイドは、ある日公営プールの建物内で死体となって発見される。警察の捜査でフロイドの死因は毒殺だと分かって殺人事件となり容疑者として浮上したのがクラークだった…全7話。U-NEXTにて配信中。

 

悩める中年の性にまつわる出来事がほんの些細なすれ違いで不幸な事件へと進展する。自由とは?その代償は?このテーマで推理サスペンスを加味したドラマへと構築する。様々な小道具が視聴者をミスリードしていく、この思い込みによる冤罪の怖さが、真相の儚さへと結実する。私たちが求めるスリル(そして野次馬根性)に代償は伴っている。それが可視化されるか否か、日常生活にサスペンスが潜んでいる。

 

事件は解決に向かうもクラークのパートナーは不倫という裏切りを受け入れなかった。刑法に定めていない行為規範は他者の心を傷つけるか否かのジャッジにスライドしていく。その償いは孤独を背負う。この自由は本当に望んだものなのか。疎外という精神に負を与える副作用が露わになる。

 

それにしてもモダンラブ役のピーター・サースガード(上写真)巧いなぁ。振る舞いでその人の生い立ちが伝わってくる。個人的に今年の助演男優(その性別カテゴリはどうか)賞を贈りたい。

 

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エジプトに海外赴任するジャーナリスト家族の娘が行方不明になってしまう。懸命の捜索も徒労に終わり8年の歳月が流れる。アメリカに帰国した家族にエジプト警察から連絡が入る。娘が発見されたのだ。思わぬ朗報に喜ぶも束の間、変わり果てた娘の姿に動揺する両親、それでも娘を引き取って帰国するも不可解な出来事が家族を苛んでいく。

 

最悪が流転するホラー作品。皮膚感覚が宿る特殊造形は見事だしロケーションを存分に活かした撮影が世界観を増幅させている。ただ各エピソードの詰めが甘い。なぜ娘はモールス信号で父親に伝えようとしたのか、束縛からの解放を "娘のSOS" でなく "悪魔の画策" だったのだという転換がイマイチ表現できてない。でも私の "推し" リー・クローニン監督の過去作「ホール・イン・ザ・グラウンド」と同じ構図にニヤリとする。

 

ラストシーン。事件の主犯であった魔術師への報復という内容に疑義を唱えたい。彼女は加害者かつ被害者なのだ。魔術師の家族も惨禍から逃れることが出来なかった。それをうっすらと知っているのに…とモヤってしまう。ならばその手前の場面、棺越しに父親と娘のモールス交信で終えるべきだろう。8年前に娘を救えなかった父親の雪辱を果たした結果、ふたりは永遠に会えない切なさと人情味が伝わる。さらにもしかして、その棺を隔てる交流も "悪魔のささやき" かもしれない、という怖さに気付いてしまう。これこそホラーの魅力なんだが。

 

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かつて炭坑で栄えた町がシリア難民を受け入れる活動を始める。寂れた町で唯一のバブ「オールド・オーク」店主・バランタインは難民との共生に協力的であり、町の方針に承服出来ない常連客との諍いをもたらす事態になってしまう…。ケン・ローチ監督最新作。

 

弱き人がさらに弱い人を叩く。そんな社会は必ずや退廃して人の繋がりが粗雑になる。自分は悪くない。あいつが悪いんだ。そんな原因追及は現実逃避に陥り、改善への道は自身の変化にあることに気づかない。自身は棚に上げて "まず社会が変わらないとダメでしょ" と問題を直視しないまま社会を良くしようという即席な改革はハリボテに過ぎない。

 

バランタインは過去に問題があって、なんとか変わろうと努力する。そしてシリア難民を受け入れる環境に勤しむことは、それ以外の弱者との共同体を構築する試みであり、孤独の寂しさから抜け出したい渇望は生きる糧となる。クライマックスは強引な幕引きを感じるが、誤解を恐れずに諫言すると、"死はそれほど寂しくないよ、仲間がこれだけ集ってくれるんだから" というメッセージをより鮮明に映し出しても良かったのではないだろうか。ラスト場面のパレードもその意味合いで理解できる。

 

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