やっぱり映画が好き -5ページ目

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

ルカ・グァダニーノ監督の最新作は、日本ではとうとう配信スルーになってしまう。この現実をヒシと受け止めて鑑賞する。そういえば、MGMってAmazonに買収されたもんなぁ…ドラマ「ザ・スタジオ」で言ってたよ。ということで、このMGM作品はAmazonPrimeにて配信中。

 

告白と沈黙。声をあげることは規律を乱すと嫌がるくせに、声をあげないおとなしい若者を指摘する大人は、本心を隠す処世術をこなしていく。目上という身分は万事許されるのか。声をあげることを恐れるのは罪なのか。ハラスメントの苦しみからの解放を望む若者はついに声をあげる。

 

それが復讐心ならば咎められる昔ではなく現代社会では弱者側は守られる環境が育まれている。では守られなかった、糾弾された加害者は排除していいのか。いいわけがない。加害者側にも人権はあり、逃げ道は確保されるべきである。分断ではなく共生こそ社会のあるべき姿。どこかで折衷する現実、抑圧から解放に向けたベクトルの継続こそ望ましい社会ではないだろうか。

 

大学教授アルマ(ジュリア・ロバーツ)と生徒マギー(アヨ・エデビリ)の対比がジェンダー意識におけるジェネレーションギャップと承認欲求という強迫観念をないまぜにしてサスペンス要素に転化している。今ここにいる自分は正しいのか、それとも過ちを犯しているのか、それは局面の脆さ、時と場所によって解釈を反転できてしまう不均衡こそ心理的危機を招く展開を見せている。

 

衣装や美術による隠喩が随所に張り巡らせている今作は様々な考察が駆けめぐる。まるで今作の舞台となる"大学" 同様、ルカ・グァダニーノ監督の講座を拝聴しているようだ。こうなると何度でも観たくなる。

 

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ロンドンの大学で生物学を学ぶ主人公ロナ(シアーシャ・ローナン)は都会の喧騒の中、アルコール依存症となって生活を破綻させる。故郷スコットランドのオークニー諸島へ戻る彼女は断酒を決意して家族と過去を見つめ直していく。

 

依存症は日常生活に破綻をきたす。そこから抜け出そうにも抜け出せない快楽と隣り合わせの恐怖は、時に怒りへと向かい暴力に転じる。周囲から見れば理不尽な言動は、自身を孤立させる窮地へと彷徨い、改善への道を見失ってしまう。

 

希少な鳥ウズラクイナの生息調査に携わるロナは、社会から排除されようとする自身と重ね合わせるように鳥の存在を探し求める。現在と過去をカットバックさせる物語構成は、彼女の悔恨と再起、そして時間の混濁を依存症の疾患ではない普遍的概念のひとつであると提示する。この次元旅行を兼ね備えたロナの足跡に "ここに存在してもいい" と歌ってくれるのは…この終幕に一縷の希望が見えてくる。

 

このノラ・フィングシャイト監督の最新作は、過去作に比べてクライマックスの展開はおとなしい印象だが、相変わらずセンスは良い。それは楽曲や衣装・美術に反映している。おそらく製作を兼任したシアーシャ・ローナンの意向も取り入れているだろう。彼女たちのセンスは生活との親密性がうかがえる。些事であれど、出来事の積み重ねは、劇的ではないが琴線に触れる。私たちが共鳴するドラマはそこにある。

 

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ジェイソン・ステイサム主演のアクション娯楽作品。前作「ビーキーパー」のデヴィッド・エアー監督が演出を続投、脚本はシルヴェスター・スタローンが協力している。

 

物語の展開は凡庸なんだけど、デヴィッド・エアー監督の手練によって安定した仕上がりを見せている。

・回想シーンが一切無い

・人物相関を婉曲な台詞で表現する

この2点に共通するのは、"わかりやすさ" を求めていない。わざわざ人に自分の過去を語るなんてナルシシストじゃない限りしないし、人との繋がりも会う度に "友達だよね etc" 再確認したりしない。あったとしても社交辞令に毛が生えた程度。そんなリアルを知ってか知らずか拙い演出だと、これ見よがしに説明的台詞や回想シーンに突入して物語のリズムを狂わせてしまう。"それ" は現在進行形でも表現できるでしょ、とたしなめたくなる。"わかりやすさ" は作品の質を損わせてしまう。

 

途中、尺が足らないのか、遠回りな捜索へ強いられるプロットはご愛嬌、誘拐された恩人の娘のアクションがグッジョブなので許せてしまう。

恩人役のマイケル・ペーニャはそれほど活躍しないので、おそらく過去作「エンド・オブ・ウォッチ」の縁でデヴィッド・エアー監督に友情出演のオファーを無理強いされた?疑念が浮上する。

 

昨年「ビーキーパー」に続いて、今年もステイサムで映画初めを迎えるとなると来年は?と気になる。どうやら「ビーキーパー」の続編を撮影してる情報があるので、日本の配給会社さん、是非とも正月映画として企画してください。昭和は「寅さん」令和は「ステイサム」を浸透させて、低迷気味な洋画を盛り上げましょうよ。

 

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