「チャレンジャーズ」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

テニス界で脚光浴びた女性プレイヤーは怪我によって一線から退く。彼女の活躍に魅了された2人の男性プレイヤーは親友だが恋愛の土俵で火花を散らす。この奇妙な三角関係は数年間の歳月を経てどう変遷していくのか。

 

恋愛というロマンスとリアリズムの振り幅の中で3人は各々の悩みを抱く。かつてのスター女性選手はもう一度違う形での注目を望んでいる。一方己の実力をうっすら自覚する男性プレイヤーは自身の花道を模索する。恋愛という相手への思いやりよりも自尊心へのこだわりが果たして恋愛として成就するのだろうか。幼い頃から勝ち負けという基準でしか判断できない悲哀が露呈する。

 

そんな台詞による互いの思惑の戦術がクライマックス、言葉でなく視線や所作によって展開する。ここに至ると台詞は一切無い。そしてラスト主導権を握ったのは…この演出に感嘆する。もうヤラレターなのだ。ここで〇〇(ネタバレなので伏字)を描く、うむルカ・グァダニーノなんだもん、そりゃこうするよね、と妙に納得してしまう。

 

ちょっと何言ってるのか分かんない。ってな人も、きちんと分かる結末です。正解はひとつではないし、それぞれのアンサーがあっていい。ただ気付いて欲しいのは、これはテニスというスポーツを仮の姿とした愛憎の危うさを描いたドラマ、ということ。勝負の世界と恋愛模様は一寸先は闇、些細なメンタルや行動の変化で結果は左右する。ルカ・グァダニーノ監督は現在最もセンスが抜きん出た映画監督なのだと私は喧伝する。これは駆け引きがない賛辞、勝負や損得もないところに純粋な情感がある。3人のすれ違う感情や、作中出てくるマッチングアプリの違和感、今作の主題はここにあり、純粋さに嫉妬するラストシーンは必見だよ。

 

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