「サムバディ・サムウェア シーズン2」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

姉を亡くした悲しみから立ち直ろうとする次女サム、職場の相棒が夫と浮気したことを知って別居する三女トリシア、アルコール中毒から抜け出せない母親、そんな家族の奮闘とサムを気遣うジョエルや周囲の人びとの営みが描かれる。全7話。U-NEXTにて配信中。

 

サムの周りには性的少数者の人びとが集う。ここではマジョリティがマイノリティを排他する社会の不条理はなく、普通の生活を(当たり前だが)過ごしている。しかし些細な言動によって平穏は乱れていき、喜怒哀楽の感情を伴いながらもコミュニケーションを維持・善処しようと努めていく。コミュニティを大切にしたい、LGBTQやジェンダーの差異による偏見をなくしていこう、マジョリティ・マイノリティ共に寛容な心を抱くことで、社会的に対等な関係を築くひとつの指針がこのドラマの根底にある。

 

主人公サムは屈折した感情を自覚して改めようと苦心する。自身が変わらなければ何も変わらない。ほんの少しずつでもいい。その過程が日常を豊潤にするのではないか。優しさと裏切りは紙一重であり、角度を変えてみると真相も変わることに気づく。劇的な出来事は起きない物語はこの力強いテーマを織り込んでいく。

 

マイノリティの人権は少しずつ改善へ向かっている。そうでない人びとも少数者を守ろうという意識は芽生えている。一方、"家族が崩壊する" "社会が維持できない" といった旧態依然を "秩序" だと盲信している人々は人権や尊厳の核心に触れることすら拒んでいるようだ。どうしてその偏見は正しいと思うのか、角度を変えてみる勇気がない、そんな気がする。私は誤解をおそれずに言うと、保守とは臆病風に吹かれることすら気づかない、虚勢を張っている状況であろう。そう鑑みるとサムの勇気は、七転八倒の末に振り絞った苦くて爽やかな心情として感嘆する。

 

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