「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

それは "昔々、はるか彼方の銀河で" というテロップから始まる大人気の物語でありますので、ネットでも様々なファンの反応を見聞きします。いわゆる賛否両論であり、ファンの一人であります私もその意見に一つひとつ頷いてしまいます。それはどちらの意見にもこの物語への愛情が伝わってくるからです。それは素晴らしいことです、やはりこの境地に至るまでこの世界観を作り上げたスタッフの皆さんに感服するのです。その作り手側の皆さん、このシリーズを見守り続けるファンの皆さん、どちらも大切にしたいという思いから私はここから先の文章を書くのは難しいことだとこの数日悩みました。決して事なかれという手段ではありません。そしてやはりここは逃げることはいけません。そんな思いで記します。

 

賛否、その後者のファンの皆さんの一番認めたくないことはルーク・スカイウォーカーの "諦め" でしょう。カイロ・レンの枕元に立つルークはルークじゃない、だってあのダース・ベイダーを暗黒面から取り戻そうと "諦め" なかったルークなのです。ベイダー卿は父親でありカイロ・レンは甥っ子です、親族に対してこの違いはどうしたことなのかルークを信奉する私達は納得できるわけがありません。今回脚本も書いたライアン・ジョンソン監督はこのシリーズのスタイルを破壊したかったのだと好評価されています。しかし新しいものを作る上で辻褄が合わないことは受け入れるべきではないと思うのです。演じたマーク・ハミルもかなり悩んだことでしょう。ここです。これが宣伝コピーでもある "衝撃のスター・ウォーズ" なのです。

 

さらに修行の身でありましたレイはそんな事実を知るや否やとっとと旅立つのです。彼女はルークのもとでさほど苦悩しないのです。"フォースの修行" それは以前(エピソード5)にて描いているからいいでしょ、ってな具合なのでしょうか、やはり納得できません、彼女の出自も含めてここで深く掘り下げるべき人物描写が失われたまま物語が進行していくばかりなのです。印象に残る名言や名場面、ここでやるべきことがあったはずなのにやむなくカットしたのでしょうか。ここで "スタイルの破壊" といわれるとぐうの音も出ません。

 

非難ばかりではありません。他では見どころはたくさんあります。冒頭の戦闘シーンは "なんで宇宙空間引力ないのに爆弾落ちるねん" なんてツッコミは野暮ですが宇宙船内の "爆弾珠すだれ" 描写やクライマックスの塩の大地を滑走する "戦闘機のオンボロ感" にグッときます。ルークの住む島の海底に眠るXウイングの全景やR2-D2がルークに見せるレイア姫のホログラムはルーク同様「ずるいよ…」と呟いてしまいます。そう、第一作(エピソード4)でホログラムに映し出されるレイア姫の援助を求める姿を見てルークは冒険の旅に駆り立てられるのでした。悪者からお姫様を救い出す、お話は至極簡潔です。それがこれほどまでに複雑になってきているのは人間描写に際限はない証ですが、今回の新三部作で評価したいのはカイロ・レン←レイ←フィン←ローズという好き好きベクトルが全て一方通行で連なっているという構図です。

 

今回初めて登場したアジア系女性ローズというキャラクターにヘイト傾向がありますが、それは天童よしみ似の容姿ではなくクライマックス場面においてフィンに "キスして意識を失う" そこはかとなく安っぽい演出が "せっかくの危機的状況を台無しにしやがって" というファンの怒りを買ってしまったことにあろうかと痛感します。これは正直お粗末すぎです。しかし良い台詞をローズは直前に言うのです「大事なのは敵を憎むことよりも愛する人を守ること」この言葉が先ほどの登場人物の構図と重なっていくのです。上手いトコもあるのです。しかし演出のムラが激しいとしか言いようがありません。前作「フォースの覚醒」で登場した新たなキャラクターが活きていないんです。これが賛否に分かれる起因となっているのだと推考します。

 

ともあれ次作で完結します。皆さんそれぞれの思いがあるでしょうがそっと暖かく見守りましょう。争ってはいけません。憎悪は暗黒面へ誘います。年老いたルークに "若きスカイウォーカーよ" と語りかけたマスター・ヨーダの言葉に耳傾けましょう。「失敗は最大の師じゃ、その失敗を弟子に伝えよ、ジェダイマスターにとって失敗を伝えることが最大の教えじゃ」この作品の完成度自体にも通じてしまう皮肉な言葉ですが、この教えによりルークはカイロ・レンに謝罪するのです、師が弟子にしっかりと向かい合うこれも名場面です。なんだかんだ言いながらマスター・ヨーダは永遠に私達の師でありましょう。フォースと共にあらんことを。(←今回この名言を大安売りのごとく連発するのは如何なものか)

 

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