「ドント・ブリーズ」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

生活環境に恵まれない若い女性ロッキーは幼い妹を連れて街を出る資金を得るべく恋人のマニーと友人のアレックスと組んで裕福な家庭へ忍び込み強盗を働いていた。盗品を売りさばいてもなかなか利益が上がらないことに苛立つマニー。彼とロッキーは大金を隠し持っていると噂される一人暮らしの盲目の老人宅を次なる標的へと画策する。気が進まないが密かに好意を抱くロッキーのために一肌脱ぐことを決意するアレックス。彼らは周りに住む人がいない寂れた住宅街にある老人宅へ深夜に向かうのだが…

 

王道のネタを巧妙な物語構成に織り込んで特上のスリラー作品に仕上げている。お見事。おススメ。ひとつの関門を乗り越えたら次なる関門が待ち構えている。強盗と老人、お互いの優劣関係も逆転また逆転、まさに観客が息を飲んでスクリーンに釘付けになる。静寂、暗闇という空間の恐怖は異形の怪物や侵略の宇宙人を登場させなくても演出効果として十分通用する。白い体液など不快なモノを映像として演出する技量にも拍手。"鍵ネタ"なんて使い古された鉄板ネタなんだがスリルみなぎっている。地下室の場面で急激に物語は加速してクライマックスまで加速する。

 

ただしあのラストをもう少し変えてほしかった。登場人物全員イイ奴ではないのだから"そして誰もいなくなった"結末を私は推薦する。もしや製作会社から横槍が入って続編作れ!なんてことになってやしないかと危惧してしまう。断言します、続編は要らない。ホラーやスリラーものは製作費がかからない上、ヒットすればかなりの収益が見込めるローリスクハイリターン。しかしそれでは劇中のアレックスがかわいそうではないか、と巻き込まれキャラに同情してしまう。

 

この作品の最高潮となる地下室の場面、逃げ惑う登場人物とそれを見入る観客が音を立てぬ事を強いられるくだりで隣に座るヨメのお腹がキュルルルルルル〜〜〜〜〜〜となってしまい私は笑いをこらえるのに一苦労、まさに枝雀師匠が云う"笑いは緊張と緩和から生まれる"ことに身を挺してくれる。周りにいた観客の皆さん申し訳ありません。しかしそんなユーモアもあっていいのではなかろうか、新鋭フェデ・アルバレス監督の"恐怖"をさらに表現する課題の一つである、と家内の過失から密かに確信する。

 

---------------------------

ここまで読んで下さってありがとうございます。
ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、
↓下をクリックしてください。よろしくお願いします。




にほんブログ村