「永遠の僕たち」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

永遠の僕たち


京都みなみ会館にてガス・ヴァン・サント監督特集企画のラインナップで鑑賞。2011年製作作品。車で移動中の事故により両親と死に別れた主人公イーノックと不治の病で余命少ない少女アナベルの恋物語。

事故による昏睡状態から意識を取り戻したイーノックは、他界した両親の代わりに同居する叔母にも心を閉ざす日々。高校も中退した彼には第2次世界大戦で戦死した日本の特攻隊員ヒロシの幽霊が唯一の友人。趣味として赤の他人の葬式に参列する彼は、式場関係者に咎められたところをアナベルに救われたことで知り合う。お互いに心を開くことで恋に落ちるが、少女の人生はしだいに終息へ向かっていく…

冒頭、主人公しか見えぬ幽霊ヒロシが唐突に現れるので私は戸惑ったが、彼の存在(幽霊に存在という表現は正しいか否か疑問)がクライマックス見事に昇華される。ダニー・エルフマンの音楽もイイ。ティム・バートン作品の印象が拭えない彼の今作での仕事に拍手。サントラ欲しくなる。

生と死。両親の不在による孤独から逃避すべく死に憑りつかれた男。対して、生への執着故、死を軽んじる態度をみせる彼が許せない女。お互いに惹かれ合う二人の確執を、幽霊が諭す局面に感動する。重苦しくなりがちな主題を爽やかさまで漂わせるのは圧巻。

カミカゼ、ハラキリ、といった武士道精神を美化することなく、茶化すことなく、生きることの大切さを、特攻隊員が恋人に宛てるはずだった手紙を通して心情豊かに描いていく。国家の為でなく、愛する者の為に何ができるのか、その答えがこの作品のテーマでもある。それを台詞でなく主人公の表情で描くラストシーンの演出が上手い。「そうくるよね~映画のツボを分かってはるわ~」と一映画ファンとして納得のおススメ作品。ロードショーではないので、週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!


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