「仁義なき戦い」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

仁義なき戦い2


深作欣二監督による1973年製作の実録ヤクザ映画。
午前十時の映画祭で鑑賞。

現在観ても驚きのテンポで幕を開ける不朽の名作。冒頭、原爆投下のシーンに始まり、舞台は広島・呉の街。戦後のドヤ街で暴力が支配する社会を巧みなる撮影と編集で観客を惹き込む群像活劇。容赦なくブレまくるカメラは実録モノとして限りないリアリティを与える。途中、何を撮ってるのか分からなくても納得できるのは不思議。決して美化されないヤクザの抗争は登場人物を次々と無惨に殺していく。そしてその度に繰り返されるテーマ音楽は破滅感を否応なく植え付けさせる。


劇中殺される面々そして主演の菅原文太が皆カッコいい。詰め寄るカメラアングルの中で彼らは広島弁を使った名台詞と共に観客を仁義なき世界に引きずり込む。親分の金子信雄は特異なるユーモアでその世界に豊穣さを加味させる。このバランスは脚本、演出の妙技。

繰り返すがこれが本当に40年前の作品なのか、と疑う程のリズム感。娯楽の神髄を理解している作り手側の結集が伝わる。午前十時の映画祭でも大盛況。定期的に上映して欲しいと一映画ファンとして願う。思えば20年程前に京都にあった京劇という映画館がサヨナラ興行として「仁義なき戦い」シリーズを全5作、朝から晩までぶっ通しで上映した。製作当時たった2年で5作も製作する勢いもすごいが、回を重ねると舞台が広島にも関わらず、ロケーションが京都の歓楽街だと分かってしまう場面がある。さすがに広島まで撮影する時間がなかったのだろう。しかしそれは無粋なコメント、映画館を出た京都の夜の街が無条件に広島に変貌、否、錯覚するのだから映画の持つ力は恐ろしい。


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