「オーメン」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

オーメン


1976年に製作されたリチャード・ドナー監督のホラー名作。

米外交官のソーンはローマ滞在中に教会病院で妻が死産する。その事を妻に告げることが出来ないソーンは同時刻に生まれた孤児を養子として引き取ることになる。ほどなくイギリスに大使として迎えられて幸せな生活を過ごす一家。しかし、6月6日6時に生まれた養子ダミアンの周囲に陰惨な出来事が続発する…

ホラー映画の古典ともいえるこの作品を久しぶりにDVD鑑賞。これが改めて観ると、すごくイイ。現在では「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以降フェイクドキュメント演出が主流となり、芸の無さが露呈する作品が多いのだが、恐怖という本質をしっかりと捉えた演出が見事。なんといっても序盤の乳母の悲劇がインパクト強すぎる。「暗闇で孤独」というこのジャンルの常套演出を逆手に取った「白昼に公衆の面前」でそれは起きる。

しだいに仲睦まじい家族に亀裂が入る。それをこだわり見せるカメラアングルで演出される。小学生だった当時気付くわけないが、めちゃ丁寧にワンカットずつ撮っている。これがまた恐怖を増幅させる監督の職人芸に感嘆。音楽も恐い。私は続編の方がこれ以上に憶えている。あの賛美歌がトラウマになった。

この作品では決して悪魔や異形のものは出て来ない。効果音で観客にハッタリかます事もない。
少年となったダミアンの周りに近づいてくる神父やカメラマン、「666」意味や「死を予兆させる写真」の謎に迫ると、奇怪な出来事が襲ってくる。それは単なる偶然か、それとも陰謀か、自ら明確な答えは出さないが、家族の崩壊の後に見せるダミアンの表情は不気味で心に残る。

午前十時の映画祭という企画が始まって数年が経つが、いまだにホラー作品をラインナップに1本も入れてくれない。モノ申す。ホラーを迫害するな、敬遠するな。「オーメン」「エクソシスト」「ローズマリーの赤ちゃん」低質な作品とは雲泥の差がある名作をもう一度スクリーンで観たい、と夏の終わりに我思う。


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