「キャリー」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

キャリー


スティーブンキング原作、デ・パルマ監督の名作を
スクリーンで20数年ぶりに観る。

これってジャンルはなんだろう?
ホラー…オカルト…学園青春もの…
様々なとらえ方が出来る。

この作品、構成が上手い。

上げて、落とす。

冒頭、体育授業を終えた女子高生達のシャワーシーンから始まる。
成熟した身体が観客を心なごませる。
少しHな場面なので男性はスクリーンから目が離せない。
これが「上げ」

すると、いじめられっ子のキャリーが同級生から辱めをうける。
「落とす」

キャリーは自らの超常能力に戸惑いながら
その後クライマックスに至る
高校最後のダンスパーティーに招待されて
至福の喜びをかみしめる。
これまた「上げ」

そのパーティーの中でベストカップルに選ばれて壇上に上がるも
その過程はキャリーを逆恨みする悪ガキカップル
(若きナンシーアレンとジョントラボルタ)の策略であり
天井から豚の血を浴びる罠で
一転、会場の嘲笑の的になったキャリーは、
逆上するとともに制御できなくなった超常能力で
パーティーの参加者を皆殺しにする。
見事に「落とす」

皆殺しである。

なにもそこまでしなくても、といっても通用しない。

救われないキャリーは家にたどり着き母親にすがる。
「上げ」るが最後。
宗教偏執病の肉親は娘を悪魔と思い込んだ結果、
差し違える悲劇となり、母娘の人生は幕を閉じる。
とどめに「落とす」

話はシンプルだが、女性のイヤな部分を如実に表している。
これが時代を越えた普遍性となり
同性からも支持されているのだろう。

恐怖と笑いは紙一重。
これが様々な描写として楽しませる。

どうしてあの端役のゲラ笑い女はパーティーでも
ドレスに「赤キャップ」をかぶるんだ?
それが、キャラクターとして必要不可欠であり、
作り手側の熱意が伝わるからこそ、
画力(えぢから)として成功する。
中途半端だと安っぽく見えて失敗に終わるであろう。

これが今年リメイクされる。
熱意があれば成功する…なんだか福○工務店のCMみたい。