○○ロス… | メンズビギ マルイシティ横浜店 GM(ゼネラルマネージャー)の極私的ブログ

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いよいよ1ヶ月に1回ペースの
投稿となりつつあるこのブログ…
果たして必要性があるのかないのか
もはや自分でもよう分からんが、
(たぶん、ない…)
誰にも迷惑はかけてないので、
よし!としよう。


さて…
今回久しぶりに更新するに至った理由は、
現在の私が極度のロス状態に
勝手に陥っているからだ。
これはブログでも書いて
気持ちの整理でもしないかぎりは…
と思ったからである。

ロス…

もちろん“ロス疑惑”のことではないし、
“ロス・インディオス&シルヴィア”の
あの人は今!でも、
(あ、昭和の人しか知らないか…)
最近社会問題となっている
“食品ロス”のことでもない。

意味合いにおいては
巷で話題の“鬼滅ロス”に近い。
そう。
“ロス”とは喪失感のことである。

私の今回の“ロス”の対象は、
先週最終回を迎えた
NHK朝の連続テレビ小説
「エール」である。


全国の多くの家庭がそうだったように
NHK朝の連続テレビ小説は、
子供の頃から我が家のお茶の間で
毎朝当たり前のよう流れていた。

当時から老成していた子供の私は、
朝食後に渋めの緑茶をすすりながら
登場人物の心の機微を読み取るのが好きで…
というのはウソで、
真剣に視ているフリをしながら
慌ただしい朝の身仕度の進行具合を
画面に表示される正確な時刻で
確認していただけだったのである。
所詮朝ドラなんて
熟年層や年寄りが視るものだ。

ところが不思議なもので、
そんな私も10年ほど前から
朝ドラが少し面白く感じてきたのだ。
なんのことはない。
自分が熟年層になったからである。

決定的だったのは「あまちゃん」だ。



これは文句なく面白かった。
震災復興を裏テーマにしながら
敢えて重苦しい物語にはせず、
宮藤官九郎 脚本ならではの
明るくテンポの良い笑いと会話に加え、
それまでのホームドラマにはない
アイドルやサブカルチャーを絡め、
全世代の人が楽しめる要素が
散りばめられていたからだ。


~エピソード 1~
「あまちゃん」が放映されていた頃、
知人と渋谷で飲む約束をしたことがある。
その待ち合わせまで時間があった私は、
わざわざNHKのスタジオパークに出向き、
あの天野アキの額に燦然と輝く
「北の海女」手ぬぐいをゲットしたのだ。

自慢気にその手ぬぐいを知人に見せると、
『じぇ、じぇ、じぇ!』
と期待通り驚いてくれたことを覚えている。
おそらく日本広しといえども、
この手ぬぐいを持っているのは
アパレル業界で私だけであろう…。


その後も朝ドラは見続けてはいたが、
「あまちゃん」を凌ぐ作品には
とうとう出会えなかった。
(「ひよっこ」はいい線いっていたが…)

ところが…
大して期待もしていなかった
今回の「エール」は、
かる~く「天城越え~♬」…
ではなく、
「あまちゃん越え」を果たしたのだ。


それは忘れもしない
日本中をコロナ禍が襲った
緊急事態宣言が発出される直前の
3月30日…

その日遅番で時間に余裕があった私は、
たまたま「エール」の初回を
ジックリ視てしまったのだ。

どうもドラマというものは
初回を視てしまうと次も視たくなる。
ましてや僅か15分とはいえ
毎朝決まった時間に流れる朝ドラは、
非常に中毒性が高い。


「エール」は昭和という激動の時代に、
人々の心に寄り添う曲を数々生み出した
作曲家・小山裕一と裕一の妻で
自らも歌手になる夢を追い続ける音の、
音楽と共に生きる夫婦の物語である。

そしてこの物語の根底には、

“時に音楽は、人の喜びを
大きく楽しく盛り上げてくれます”

“時に音楽は、人の悲しみに
寄り添ってくれます”

“時に音楽は、折れかけた心に
力を与えてくれます”

というテーマが通奏低音のようにあり、
初回に流れたこのナレーションが
私をこの物語の中に引きずり込んだのだ。


「エール」は朝ドラ史上稀に見る
数々の困難に見舞われた作品だ。
全ては新型コロナに起因する。

重要な役柄であった志村けんが
命を落としただけでなく、
撮影の長期延期や
物語の中核を成すはずだった
東京オリンピックの中止…。

そんな困難に見舞われ続けながらも、
むしろその逆境をバネにしながら
この作品は一層磨きがかかっていった。

主役の裕一を演じる窪田正孝と
その妻役の二階堂ふみをはじめ、
その脇を固める俳優陣の
卓越した演技力もさることながら、
何度も練り直したであろう
脚本や演出、構成にも
最後まで破綻がなかった。

ギャグのような狙った笑いではなく、
自然に湧き上がる笑いのシーンの数々…
朝ドラとはとても思えない
シリアスで凄惨な戦争シーン…


私の約2ヶ月に及ぶステイホーム中は
ささやかな心の拠りどころとなり…
撮影中断による初回からの再放送では
新たな発見に驚かされたり…
放送が再開された9月後半からは
神回の連続であり、
録画した「エール」を視ながら
涙を流して晩ゴハンを食べたり…
物語の終わりが近づくにつれ
どんどん淋しさが募ってきたり…

私も含め誰しもが不安に苛まれていた時、
「エール」は皆にエールを送り続けた。

エール…
いい言葉だ。

このままずっと続いて欲しいと思った
「エール」も遂に最終回…
主人公のモデルとなった古関裕而の名曲を
各出演者がコンサート形式で歌うという
奇想天外な演出で幕を閉じた。
最初から最後まで一貫して
音楽と共にあった物語であった。


~エピソード 2~
最終回を見終わった後、
呆然とするアタマをスッキリさせようと
入れたはずの風呂の蓋を開けた私は、
空っぽの湯船を見て
全裸のままその場に立ちつくした。
どうやら栓をし忘れたらしい…。


「エール」は終わったのだ。
いつまでも“エールロス”などと
感傷に浸ってばかりいられない。

前を向いて新たなスタートを切るために、
私は今週からスタートした朝ドラ
「おちょやん」を治療薬代わりに視始めた。


しかし…
初回、第2回ともつまらなかった。
どうしても「エール」と比べてしまう
自分がいる…。
無理して視てもしょうがない。
第3回もつまらなかったら
他の治療法を考えよう…
と思いながらさっき視てみた。

すると…
トータス松本と子役の演技に
泣けた…。

なんのことはない。
自分が熟年層になったからだけでなく、
より始末の悪いセンチメンタルオヤジに
なっただけなのかもしれない…。


嗚呼、少し気持ちの整理がついたかな…。

最後まで読んでくれた皆さんに
エールを!

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私が生まれた2ヶ月後の1964年10月10日…
秋晴れの国立競技場にこの曲が響き渡った

             「 東京オリンピック行進曲」
                       作曲:古関裕而

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メンズビギ横浜店  GMより


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