年末だし、
今年最後に何か書こうかと思ったが、
久しぶりにブログ書こうとすると
ナニ書いていいか
分からなくなるもんですな…。
ん?
もんですな… だと?
こんな古い言い回しが自然に出てくるとは
我ながら歳を取った証拠かもしれない。
(あ、こんな感じで書いてけばいいのか…)
そういえば…
毎晩飲み歩いていた20代の頃、
会話の中でわざと古い言い回しを使うのが
仲間内で流行ったことがあった。
当たり前だのクラッカー…
見上げたもんだぜ屋根屋のフンドシ…
その手は桑名の焼きハマグリ…
恐れ入谷の鬼子母神…
そうはイカのキンタマ…
お茶の子さいさい河童の屁…
しまったしまった島倉千代子…
日光、結構、もう結構…
(それぞれの意味は省略ネ)
バカだった…。
しかし…
当時すでに死語となりつつあった
こうした言い回しを
会話の中で上手く使いこなすと、
なんだか粋でスノッブなヤツだと
周囲から畏敬の念を集めた…
というのはウソで、
単純にウケて盛り上がっただけだ。
でもなぜだろう?
それは一種のコトバ遊びであったと同時に、
当時「新人類」と呼ばれた我々の世代よりも
一回り上の世代への憧れやリスペクトが
少なからずあったのかもしれない。
特にヤングカルチャーが開花した
60年代から70年代にかけて
激動の青春期を迎えた全共闘世代…。
思想云々以前に
あの若者が熱かった時代の空気を
自分も体験したかったのである。
変かもしれないが、
それは現在のように
若者が発信する新しいコトバを
ムリして使う大人がいる時代より
よっぽどマシかもしれない。
そういえば先日、
心底驚いたことがある。
それはウチの店の店長仁田が
「GM、最近ボク本を読んでるんです」
という爆弾発言をしたのだ。
ん?
本を読んでる… だと?
もちろん世間一般の感覚からすれば、
本を読むことぐらいは
“当たり前だのクラッカー”で
爆弾発言とは言わないだろうが、
活字とは無縁の仁田がそう言ったのだ。
これはもう、
“驚き桃の木山椒の木”である。
しかもその本のタイトルは
「二十歳の原点」
というではないか!
ちなみに「二十歳の原点」とは、
全共闘の時代に二十歳と6か月で
その生涯を自ら閉じた高野悦子さんが
最後に過ごした半年間を克明に綴った
日記である。
どうせYouTube好きの仁田のことだから、
てっきり「ナオキマンショー」のような
都市伝説系の本かと思ったのだが、
そんな内省的な本だっとは…
これは“恐れ入谷の鬼子母神”である。
しかも内容はともかく私の好きな時代…
私は何だか嬉しくなり、
“見上げたもんだぜ屋根屋のフンドシ”
と言ったかどうか…。
さて…
私が好きな言い回しの一つに
なかなかどうして…
というものがある。
“なかなかどうして…” とは、
『それほどでもないと思っていたものが、
実際はその通りではなく、それどころか
むしろ思っていた以上であるサマ…』
のことだ。
私が20代の頃、
取引先にO氏という方がいた。
私よりも一回りちょっと上の世代で
とても出世するようなタイプではないが、
とにかく物知りで話がオモシロイ。
私の釣りの師匠でもあり、
何度も泊まりがけで釣行したり、
もちろん歳の離れた飲み仲間でもあった。
1971年のレッドツェッペリン初来日公演を
観に行ったというから、
それだけでもリスペクトの対象だった。
そんなO氏の口癖が
“なかなかどうして…” だったのである。
彼が “なかなかどうして…” と言う時は、
その対象への最大級の賛辞であり
事実ほぼハズレがなかった。
ところで…
私が最近この言い回しを
久しぶりに思い出す出来事があった。
それは先月からお店のBGMが
リニューアルされ、
その中の数曲が妙に耳に引っ掛かるのだ。
誰かは知らないが女性歌手である。
ハスキーでぶっきらぼうにも聴こえるが、
粗野な感じが全くないしセクシーとも違う。
何度も聴いてるとクセになる声だ。
曲もクラシック・フォーク・ロック調で
私のツボにハマる。
誰だろう?
いつものように
音楽検索アプリ「Shazam」で調べてみた。
すると…
「マヤ・ホーク」というアーティスト
であることが判明した。
マヤ・ホーク…
誰それ?
今度はWikipediaで調べてみた。
すると…
マヤ・ホークの本職は
女優とモデルであることが判明した。
『イーサン・ホークを父に、ユマ・サーマンを母に持つサラブレッド。ヴォーグのモデルを経て、カルバンクラインのCMキャンペーンに出演し、タランティーノ監督の最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にも登場している…』
若冠22歳…
しかも初々しく可愛い…
きっと数年後には
若い彼女の音楽的嗜好は
なんと!60年代から70年代にかけての
オールドロックらしい…。
そんな彼女が今年8月にリリースした
ファーストアルバム「Blush」は、
「恥ずかしくて顔を赤らめる」
という意味だ。
確かに私が彼女の声に最初に感じた印象を
的確に表しているかもしれない。
『私にとって音楽はアート・プロジェクトみたいな感じで、シンガーソングライターとして堂々とデビューしようとするものではないの。音楽と詞が好きで、曲作りはその二つを実現する素晴らしい方法だからやってみる…』
いやいや、
“何をおっしゃるウサギさん”
本職でもないのに
こんなに才能溢れる魅力的な歌声…
なかなかどうして!
私は当分マヤ・ホークに
“お熱を上げそう” である…。
……………………………………………………………………………
ミディアムテンポでガツン!とくる一曲
「Maya Hawke」
“Animal Enough”
オーガニックでフォークロックな一曲
“By Myself”
…………………………………………………………………………
ちょっと早いけど…
今年も一年ありがとうございました!