オンライン飲み会… | メンズビギ マルイシティ横浜店 GM(ゼネラルマネージャー)の極私的ブログ

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『オンライン飲み会やろうよ!』

 
と最初に言い出したのは妻だった。

私は端から否定的だった。
巷で流行っているのは知っている。
 
しかし…
人一倍自尊心の強い私には、
安易にトレンドに乗っかるのは
いかにも尻軽行為でいかがなものか?
と同時に、
こういうことを平気でやる輩は
きっと孤独に耐えられない弱い人間だ!
と思ったからだ…
というのは真っ赤なウソで、
“オンライン”というコトバ自体に
得体の知れない不安と抵抗があったからだ。
 

日頃から“オンライン”とは無縁の
生活を送ってきたこともあるが、
そもそも私は初物…
特にIT関係?には滅法弱い性格であり、
スマホデビューもLINEデビューも
仕方なく必要に迫られたからであって、
世間一般からすればかなりの後発組である。
 
人には相性というものがある。
たまに私がパソコンに向かうと
かなりの確率でフリーズするから、
機械にだって意志があることは
昔から薄々気づいていた。
こっちが苦手意識を持てば、
向こうだって対抗してくる。
 
そういう意味では、
典型的なアナログ人間の私にとって、
こんなブログを書いてること自体が
ちょっとした奇跡である。
 
さらに言えば、
お店の休業中に始めたYouTubeの
“GMのエア接客動画”に至っては、
前人未到の偉業と言っても過言ではない!
(100%妻のバックアップだが…)
 
 
さて…
私の気持ちに変化が訪れたのは、
もはや緊急事態宣言の延長が
避けられないことが分かってきた
今月に入ってからだった。
 
それまでもSTAY HOME中は
毎日の独り晩酌は欠かさなかったが、
そろそろ気心の知れた仲間と
バカ話をしながら飲みたい衝動が
日に日に増していったのである。
 
早速私がアタマの中で
招集メンバー候補を挙げていくと
あっという間に10人近くになってしまい、
これはダメだと思った。
 
なぜなら…
そんなに人数がいたら、
私の喋る時間が減るからだ。
 
 
いや、ちょっと待てよ…
私は考え直した。
 
よくよく考えると、
経験豊富な妻が傍にいるとはいえ
慣れない初オンライン飲み会だし、
そもそも私にはその仕組み自体が
よく分かっていないのだ。
 
私には理想の大人像がある。
 
それは知見と洞察力を兼ね備えながら
少年のような瑞々しい感性を持ち、
何でも知ってて若者から憧れの的となる
カッコ良くて頼りがいのある大人だ。
“ZOOM”と聞いて“ズームイン朝”を
すぐに連想してしまう今の自分は、
理想像にはほど遠い…。
 
さらに私には過去に苦い経験がある。
 
もうずいぶん経つだろうか…。
元スタッフで現在プロ漫画家のYが
家に遊びに来た時だった。
 
自宅という自分が最も慣れ親しんだ
安全圏で飲む緊張感の無さと、
時間無制限で終電も気にせず
家に帰らなくてもいい気持ちの弛みが
私をアルコール無限地獄へと導き、
翌日まんまと仕事を
ズル休みする羽目になったのだ。
 
それ以来私は、
複数での家飲みを警戒するようになった。
醜態を晒さないために…。
 
 
これはやはり
一度練習した方がいいのではないか…。
 
練習相手には最適な男がいる。
仁田だ…。
 
仁田とは店の臨時休業中も
LINEで連絡を取り合ってはいるが、
実際に顔を見て話すのは1ヶ月ぶりだ。
 
『仕事の話もあるからさ…』
とウソをつくと、
仁田はすぐにノッてきた。
 
 
初オンライン飲み会の当日…
私は妻から簡単なレクチャーを受け、
何となく分かったフリをしながら
お酒と簡単なツマミを用意した。
 
相手が仁田と隣にいる妻だというのに
スタート時間の5時が近づくと、
なぜか私はソワソワし始めた。
 
“初めての時…”というのは、
大抵そういうものだ。
急に歯を磨いてみたり、
鏡を見て急に着替えてみたり…
まるでこれから初デートに行くみたいだ。
 
手持ち無沙汰で空のグラスを手に持ち、
10分前からパソコンの前に陣取った私は
自分の無知はさておき、
 
『仁田はちゃんと入室できるかな?』
 
と心配げに妻に言うと、
 
『こんなの誰でもできるよ』
 
と事も無げに言われた。
どうやら誰でもできるらしい…。
 
ところが5時ピッタリになっても
仁田はなかなか入室してこない。
 
『アイツ、まさか寝坊じゃねーの!
 アイツなら夕方でも十分あり得る!』
 
と私が色めきだった直後に
仁田はヌーっと入室してきた。
どうやらちゃんと起きてたらしい…。
 
 

デジタル画面に映る3人の顔に
最初は違和感があったが、
乾杯後はテンションがうなぎ登り…。

『オマエ、しばらく見ない間に
 ずいぶん髪が伸びたじゃないか!』

『いや、これは原宿オン・ザ・ヘアの
 新作春夏用のヅラですよ!』

『オマエ、外出しちゃダメじゃないか!』

『いやGM、今回はネット通販です!』

爆!爆!爆!

軽いジャブの応酬で
互いの調子を確認し合う。
 
『そうだ仁田! 
 得意の安倍総理のモノマネしろ!』
 
『ええ…国民の…皆様に…おかれましては…』
 
爆!爆!爆!
 
声は聞こえるが、
通信速度のせいか仁田の顔が
次第にコマ送りになる。
 
『これじゃオマエ、
 ボラギノールのCMじゃないか!』
 
爆!爆!爆!
 
途中からは完全に静止画となる。
 
『これじゃオマエの遺影を前に
  恐山のイタコを通して
  死者の声を聴いてるみたいじゃないか!』
 
爆!爆!爆!
 
意味もなく画面に前のめりになり、
近所から110番通報されるほどの
居酒屋級の大声を出し始めた私は、
何度も妻に諌められた。
 

あ、あの時と同じだ…
と感じ始めたのは、
5、6回目かのトイレに
立ち上がった時だった。
不覚にも足がフラついたのである。

私のリミッターはすでに外れ、
3時間ノンストップで
まるで親の仇を討つかのように
ハイペースで飲み続けていたからだ。


まだ大丈夫…
安心しろ…
ここは自宅だ…
それに明日も明後日も
店は臨時休業じゃないか…

私は自分に暗示をかけて席に戻ったが、
徐々に人の話をほとんど聞かず、
一方的に喋る時間が増えていった。

こうなった時の私が
危険な兆候であることを知っている妻は
次第に私と距離を置きはじめ、
横に置いてあるマッサージチェアに座り
なぜか肩や背中を揉みほぐしはじめた。
それはまるで、
いつでもリングにタオルを投げ入れる
準備をしているかのように…。


その後…
それは他人が聞いたらどうでもいい
私の小学校時代のトラウマについて
身振り手振りを交えツバを飛ばしながら
熱く語っている時だった。

あ、ヤバい…

自分の電池が切れたのが
ハッキリ分かった…。

誰に断りもいれず
そそくさとトイレへ駆け込んだ
私を待ち受けていたのは、
底無しのゲロッパ!地獄である。


スローモーションのように
宙を舞うタオルこそ見えなかったが、
私がそのまま強制退室させられたのは
言うまでもない…。

理想の大人像への道は険しい。


【結論】
一部の人間にとって、
オンライン飲み会は危険だ!


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                   「James Brown」
               ゲロッパ!
       (I Feel Like Being a)Sex Machine

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メンズビギ横浜店  GMより


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