ほぼ無職…
いや、STAY HOMEの生活になり、
はや2ヶ月近くが経とうとしている。
私はこの間、
雨の日以外は毎朝散歩をしている。
最初は走るつもりで
河原や土手や大きな公園など、
広々とした解放感のある場所を
何となく選んでいたが、
慣れないジョギングに
口から心臓が飛び出る身の危険を感じ、
カラダに優しい散歩に変更してからは、
もっぱら住宅街を歩いている。
以前も書いたことがあるが、
そもそも私は昔から
何の変哲もない住宅街の路地を
歩くのが大好きだ。
もはや趣味といってもいい。
それはそれぞれの路地が醸し出す
雰囲気や景色の違いや表情とともに、
そこに住む人々の生活や文化の歴史を
垣間見ることができるからだ…
というのは半分ウソで、
他人の家や庭を見ながら
勝手に審査するのが大好きだからだ。
もはや悪趣味といってもいい。
建築デザインや建材、屋根や壁の配色、
庭の造作や植栽、クルマの車種や色まで、
私の審査項目は多岐にわたる。
新しい古い、大きい小さいは関係ない。
悪趣味で豪華な新築よりも、
風情のある古い空き家の方が
古民家カフェでもできそうで、
上位にランクされることもある。
もちろん玄関周りや庭先の
整理整頓が行き届いてない家は
即減点対象となり、
そんな時私は表札の名前を見て、
『○○さん、ここ掃除しとくように!』
と、心の中で叱咤の言葉を呟く…。
逆に手入れの行き届いた庭の生垣から
バラの香りが漂ってくると
いきなりポイントアップとなり、
『○○さん、いつもご苦労様!』
と、心の中で労いの言葉を呟く…。
『一体オマエは何様?』ともいえる
私のこの厳しい抜き打ち審査に、
今では近所の住民たちは
すっかり戦々恐々としている。
んなわけないか…。
さて…
こんなことを毎朝していたら、
自宅から半径3km以内の住宅街は
ほぼ歩き尽くしてしまい、
このままでは審査対象の家も
二次審査に入ってしまう。
さらに早朝から私のようなオッサンが
他人の家をジロジロ覗いている様は、
実に怪しく犯罪の匂いすらする。
ただでさえSTAY HOME中の方も
多い時期だけに、
いつ通報されてもおかしくない。
そこで私は、
散歩中の遊び?を変えることにした。
それは路地そのものを楽しむことだ。
路地をロジロジ…
いや、ジロジロ見てるだけなら、
仮に職質されても
『自分は子供の頃からの夢で
第二の人生に測量士を目指してまして…』
とか、
『ここは私がまだ駆け出しの頃、
初めて舗装した道路で懐かしくて…』
などと誤魔化せるはずだ。
(ナイナイ…)
ところで…
最近ハマっているその遊びとは、
Y字路を探せ!
である。Y字路…
それは都市計画によって
効率的に区画整理された
現代の街並みの中にあって、
時代に取り残されたエアポケットであり、
そこには得も言われぬ哀愁を感じるのだ。
さらに表現を変えれば、
見てはいけないものを
見てしまったような
居心地の悪さを感じてしまうのだ。
そして無数の二者選択を繰り返す、
人生そのものをも感じてしまうのだ。
あ、Y字路にこんなことを感じるのは、
感受性豊かな私だけだろうか?…
と思って調べたら、
世界に誇る日本の美術家
「横尾忠則」の方が先だった、、
ま、このクラスの人ならしょうがないか…
はあ?
さて…
Y字路ならなんでもいいかというと、
決してそうではない。
私が考える清く正しいY字路の条件とは、
①道幅が狭いこと…
②左右の道幅が同等であること…
③角度が鋭角であること…
などが挙げられる。
よく考えたらこれは、
今絶対してはならない
3密 である。
現在3密が許されるのは、
Y路地界だけではなかろうか。
しかし…
この3密Y字路はなかなかない。
ソーシャルディスタンスY字路なら、
幹線道路から脇道に逸れる場合や、
二車線以上の道路にありがちだが、
これらにはチッとも魅力がない。
私が自宅から半径3km以内に発見した
理想的3密Y字路がこちらだ。
題して、
《Y字路フォトギャラリー》
( photo by GM)
なかなかのYっぷりではないだろうか。
これはもうセクシーとさえ言える!
ところで…
実は都内にも全国有数の
Y字路スポットがあるのをご存知だろうか?
それは私が90年代のほとんどを
毎晩飲み歩いて過ごした
若者文化の街「渋谷」である。
すり鉢状の谷底にある渋谷駅を中心に
地下に潜った川筋に沿って
四方に坂がある独特の地形は、
Y字路の宝庫である。
道玄坂と文化村通りに別れる
109前のY字路は特に有名だ。
さらに公園通りと神宮通りに別れる
マルイモディ前のY字路…
またセンター街を抜け
その先の井の頭通りに現れる
宇田川町交番前のY字路…
渋谷界隈にはこれ以外にも
まだまだたくさんのY字路があるが、
全国300万人(ウソ…)の
Y字路ファンの間で
最も熱い視線が送られているのが、
渋谷駅方面から道玄坂を上がり、
渋谷プライムビルを過ぎて角を右折し
文化村通りへ抜ける狭い路地…
そう…。
ここは歴史を感じさせるレンガ造りと
窓ごしから見えるカウンターから
たくさんのぶら下がった腸詰めが目を引く、
台湾料理の老舗「麗郷」前のY字路である。
このY字路は左右路地に高低差がある
伝説の“立体Y字路”として、
全国300万人(しつこい!)の
Y字路フリークの間で、
神格化された存在なのだ。
左側の坂を登った先には
妖しい魔界の世界が広がり、
右側の路地はいつも人でごった返している。
私がここを初めて訪れたのは、
高校の修学旅行での自由行動だった。
当時(38年前)左側の坂の手前には、
セレクトショップの草分け
「SHIPS」の前身である
「ミウラ&サンズ」があったからだ。
大学生の頃も足繁く通ったが、
私がビギに入社する頃には
ファッションヘルスになっていた…
というのはどうでもいい話だが、
この個性的なY字路は、
当時から強く印象に残っていたのだ…。
ということで、
Y字路の話はここまで…。
次回は『この先に何があるのか?』
気になって気になってしょうがない、
“曲がり路地”についての考察である…
というのはウソだ。
今回も文中にウソが多くて
誠にかたじけない…。
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全国Y字路愛好会名誉会長(ウソ…)
横尾忠則氏に敬意を表し、
氏の独創的アートワークで有名な
サンタナのアルバム「アミーゴ」より…
“Dance Sister Dance”
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メンズビギ横浜店 GMより
コチラも見てネ❗️

