新年度の4月に入ってから
連日電車の遅延が頻発している。
あちこちでダイヤが乱れて大変だった。
私の最寄り駅も入場規制が行われ、
改札どころか構内の外まで大行列が…
その日早番の私は、
お店のオープンに間に合わないのでは?
と少々焦った。
個人のお店ならいいが、
ショッピングビルやモールに
テナントとして入ってる店の場合、
オープン事故が発生すると罰則がある。
私は自分より店に近い遅番の仁田に
オープンに間に合わないかどうか
LINEをしてみたのだが…
あ、そうだ!
この男に送ってもムダだ…
と私は気づいた。
睡眠に貪欲なあの仁田が、
この時点で起きているはずがないのだ。
まさに奇跡だ…。
結果的に私は、
逐一最適な迂回ルートを見つけながら、
開店20分前には間に合ったので、
仁田にはゆっくり来るようにしてもらった。
私は後から出勤してきた仁田に聞いた。
「おまえ、あの時間によく起きてたな?」
あの時間と言っても朝の8時過ぎだ。
こんな質問を他の人にしたことなどない。
「いや、たまたまなんですけど…」
そりゃそうだろう。
たかだか8時過ぎに起きてたからといって、
英雄気取りされても困る。
ちなみに…
前日休みだった仁田が起きた時間は、
23時だという…。
念のため書いておくが、
寝た時間は0時頃らしい…。
ほぼ丸一日寝ていた計算になる。
どこも体調が悪くないクセに…。
これで8時に目覚めてなければ、
私は睡眠外来を勧めているはずだ。
さて…
その日の私は仕事中にもかかわらず
何度も眠気が襲ってきた。
大きな欠伸が何度も出る。
朝から混雑した電車で
モミクチャにされたからなのか、
ヒマだったからなのか分からないないが…。
「GM、今日は眠そうですね」
と言ってくる仁田に、
「あのな、春というのは眠いんだよ」
と私は答えた。
キョトンとする仁田に、
「昔から“春眠 暁を覚えず”と言うではないか」
と鷹揚に言った後、
あ、そうだ!
この男に言ってもムダだ…
と私は気づいた。
案の定、仁田は、
「何ですか、それは?」
と聞いてきた。
「これはな、昔からある故事だよ」
「あ、それって万葉集ですよね」
「ちが~う! それは“令和”のことだろ!
これはな、中国の孟浩然の漢詩だ。
“春眠 暁を覚えず”というのはな、
春の夜は眠り心地がいいから、
朝が来たのも気づかず、
寝過ごしてしまうという意味なんだよ」
「あ、ボクもそうなんです!」
「ちが~う!
おまえのは一年中だろ!」
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「The Rolling Stones」
“Sleep Tonight”
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メンズビギ 横浜店 GMより
コチラも見てネ❗️

