まだ日が浅いというのに、
クリック
また同じ場所に舞い戻ってくるとは
自分でも思ってもみなかった。
神保町…
いつの間にかこの街は、
私を虜にしていたのである…』
陳腐だな…この書き出し。
いっそのこと、
『このあいだ行った神保町がさ、
これが意外にも面白かったんで
ついついまた来ちゃったよ。エヘヘ…』
でいいのかもしれない…って、
そんなことどうでもいいか…
さて今回は厳密にいえば東京散歩ではない。
なぜなら全然散歩しないからだ。
しかも目的や場所もすでに決めてある。
それは、前回発見した
数件のレトロカフェをハシゴして
コーヒーを飲みながら好きな本を読んだり、
静かに流れるレコードをBGMに
自分の半生を振り返ってみたり…
というのは半分ウソで、
もう半分は、
そんな自分に酔いしれるのが目的である。
いつもの散歩のように、
トイレや喫煙場所に右往左往する心配はゼロ。
なんだったら酒だって飲める。
しかも全く疲れないのだ。
私はこの行為を、
“本音でハシゴカフェ”
と呼んでいる。
さて、その日私は
神保町駅A7出口の階段を上がると、
すぐ左横の路地に入った…と同時に、
最初の目的地はもう目の前にある。
出口から僅か10メートルだ。
自宅マンションのゴミ捨て場より近い…
これはとても散歩とは呼べない。
ここは神保町界隈…というよりも、
全国に名を知られるレトロカフェの名店
「さぼうる」である。
入り口の両脇には、
ナゼかトーテムポールが鎮座している。
ちなみに、その手前の店は「さぼうる2」。
そこは食事がメインの店だが、
すでに行列ができている。
私は迷わず「さぼうる」に入った。
半2階の一番奥の席に通された私は、
コーヒーと灰皿を頼み店内を見渡す。
『違いの分かる男、GM54歳…』
ダバダ~♪ダバダ~♪
と心の中でナレーションを入れてみた。
耳を澄ませるとストーンズの
“Jampimg Jack Flash”が聴こえる。
私はタバコの煙を燻らせる。
ウーン、いい時間だ…。
さて、私が入った時は空席もあった店内は
次から次へと入ってくる客で埋まり、
ほぼ満席状態に…
私の周りのテーブルも埋まり、
そこで初めて私は気づいたのである。
ここ、狭い!と…
テーブルとイス自体も狭いが、
テーブルとテーブルの間も狭い。
冬のアウターと荷物を置くとさらに狭い。
隣のテーブルの客の荷物と私の荷物が
完全にくっついている。
天井も低いのに気づいた私は、
急に息苦しさを覚え尿意を併発した。
トイレらしき暖簾が掛かった場所は、
直線距離で僅か4メートルほどだが、
そこまで辿り着くにはコの字に迂回しながら
客の荷物がはみ出した狭いテーブルの間を
綱渡りのようにバランスを取りながら…
あ、メンドクサイから次の話に移ろう。
次に向かったカフェも
散歩とは呼べない近さだ。
その名は「ラドリオ」
「さぼうる」に匹敵する歴史を誇る名店だ。
ちょうど前の客が帰ったばかりらしい
窓際のテーブルを片付けてもらった。
他のテーブルと隔離された窓際は特等席だ。
さっきの店よりゆったりしている。
オーダーを済ませた私は、
結局「さぼうる」で行きそびれたトイレへ…。
席に戻りやっと落ち着いてタバコを吸った。
さっきの「さぼうる」では、
後から隣に座ったカップルが
喫煙者ではなかったので、
遠慮していたのである。
ここの店内も仄暗い。
レトロカフェの共通点かもしれない。
私のテーブルは窓際だったから良かったが、
こんな暗いところで本を読んでると、
『目が悪くなるわよ!』
とお母さんに怒られそうだ。
店内には低くシャンソンが流れている。
ウーン、いい時間だ…。
私は持ってきた文庫本を読み始めた。
ナゼか吉村昭の「戦艦武蔵」である。
全く雰囲気に合わないことに気づくのに、
そう時間はかからなかった…。
でも読んだ。
窓際に立て掛けられた
「HELLO PANDA」よりも
マシだと思ったからだ。
どれくらい時間が経っただろうか。
なんだかさっきから足元が寒い。
どうやら窓側の壁から
冷気がどんどん侵入しているらしい。
そう…
本物のレトロカフェは建物も古いのである。
寒さのせいで急に尿意をもよおした私は、
これが潮時だと思い店を出ることにした。
同じ店で何度もトイレに行きたくはない。
次のカフェでしよう。
さっきから問題先送り…
いや、トイレ先送りばかりである。
さて、次に向かったカフェも近い…
というか、
野党の牛歩戦術でも
ラドリオから10秒以内で着いてしまう。
狭い路地を挟んで斜め向かいにあるからだ。
陸上選手なら走り幅跳びで行ける距離だ。
私はスキップで…あ、ウソ。
このカフェは今日の本命と睨んでいた
「ミロンガ」である。
なぜなら、世界のビールが飲めるからだ。
ところが…
あっ !?
あろうことか定休日だった…。
こればかりは仕方がない。
私は早急の課題を解決する為、
近くにある三省堂のトイレに駆け込んだ。
すると、
私を待ち受けていたのは…
(長くなるから内容は省略…)
あのおぞましい光景は
一体なんだったのだろうか?(書けよ!)
衝撃と興奮が冷めやらぬ私は、
次に行くカフェを思案した。
その日は「ミロンガ」で
アルゼンチンタンゴを聴きながら
世界のビールを飲み比べして
締め括ろうと思っていただけに、
予定が狂ってしまったのだ。
気持ちが萎えた私は、
なんだか今日はもう、
狭かったり寒かったりするカフェは
ゴメンな気分…。
ということで次に向かったカフェは、
神保町ブックセンター。
四方が本棚に囲まれたブックカフェである。
シンプルで落ち着いた店内は、
本を読むには最適の照度と室温だ。
ソファーの背凭れにはクッションまである。
期待していなかったビールもあった。
しかもサッポロ黒ラベルの瓶である。
ハッキリ言おう。
レトロカフェより快適だと…
困難を極めた建造後の進水式のシーンで
感極まった私は、
不覚にもこんな場所で泣いてしまった。
店内にはアンビエント音楽が流れている。
ウーン、いい時間だ…。
さて、トイレにでも行ってこよう。
きっとここのトイレはキレイそうだ。
すると、
私を待ち受けていたのは…
(長くなるから内容は省略…)
なんと!さっきと同じ光景だったのだ!
(だから書けよ!)
私はJampimgして後ろに下がった。
こんなことが一日に何度も起こるだろうか…
一体どうなってるんだ?
恐るべし、神保町…
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「The Rolling Stones」
“Jampimg Jack Flash”
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
コチラも見てネ❗️

