誰も読みたくないかも知れないが、
今回の【PART2】は、
題して「私とラコステ」である。
一部不適切な表現はあるが、
当時の個人的な感想なので
そのまま使用するものとする…
ま、暇潰しにでも読んでみてネ。
中学から高校と
北海道の地方都市で過ごしながら
ファッション大好き少年だった私にとって、
その情報源といえば雑誌ぐらいしかなかった。しかもその種類も当時はごく僅か…
同じぐらい大好きだった洋楽やロックなら、
雑誌だけでなくラジオという手もあったが、
なんといってもレコード屋がある。
しかし、ファッションの場合、
当時の地方都市では
雑誌で紹介されたインポート服など
売ってる店がない。
だから、数少ないファッション雑誌を
隅から隅まで何度も読み漁るしかないのだ。
実物はアタマの中で想像する他なく、
その憧れは増す一方。
この渇望感…
都会の子には決して分かるまい。
その分、私の若い脳は貪欲に吸収した。
実際、当時身に付けた知識が
現在の仕事にもスゴく役立っているのだ。
そんな憧れのアイテムの一つに、
フランス製ラコステのポロシャツがあった。
俗に言う“フレラコ”である。
ラコステ自体は地元でも売っていたが、
それは日本のライセンスモノだったのだ。
フランス製の良さを洗脳された私にとって、
それはマガイモノと言ってもいい。
確か日本のラコステには、
ワンポイントの緑のワニの中に
LACOSTEの文字が刺繍されていたが、
雑誌で見た本場フランス製には、
ギザギザの刺繍が施されていた。
IZOT(アイゾット)の刺繍だった。
小さなプライドにこだわる私は、
“フレラコ”以外は着るまいと誓ったのだ。
その後、買い物目的の進学で上京した私は
バイトに明け暮れ
その稼いだお金をすべて服に注ぎ込み、
まるで親の敵をとるかのように
それまで憧れだったアイテムの数々を
買い集めていったのである。
“フレラコ”を見つけたのは
下北沢の小さなインポートショップだった。
当時でも稀少だった“フレラコ”は
いくら都内とはいえ、
どこででも手に入るわけではない。
記念すべき1枚目は迷わず白にした。
9800円という値段は
当時の若者にとって決して安くはなく、
奥の手である“丸井の赤いカード”も
インポートショップでは使えないが、
とにかく稀少である。
その後もサイズが残っている色を
買い足したり、
白があればもう1枚といった具合である。
80年代後半以降になると、
空前のアメカジブームが起こり
巷にはポロシャツを着る人が一気に増えた。
ラルフローレンを筆頭に、マンシング、
フレッド・ペリー、フィラなどの
海外勢が占めていたが、
やはりラコステは別格だ。
しかし、ラコステの中にも
厳然たるヒエラルキーが存在し、
その頂点が“フレラコ”だったのだ。
私は街でポロシャツを着た人とすれ違う度に
胸元のワンポイントマークをチラ見し、
それがワニだったら
『この人、なかなか分かってるぞ!』
となり、
さらにそのワニをガン見し、
それが“フレラコ”だったら
『この人、ただ者ではないぞ!』
となるのだ。
ちなみに同じワニでも
強面で左向きのクロコダイルなら無視…
興味のない方から見れば
甚だバカバカしい話ではあるが、
ファッション道を追求する者にとって、
それは小さな自己満足を得る行為であった。
すでにその頃、
ファッション業界に身を置いていた
私の定番休日スタイルは、
フレラコにコットンパンツ、
足元は同じくフランスのテニスシューズ
“スプリングコート”だ。
あのビートルズの実質的ラストアルバム
「アビーロード」のジャケットで、
ジョン・レノンが履いていたヤツである。
しかし…
当時フランスかぶれの
“ピエール・GM”を気取っていた私は、
日頃の暴飲暴食が祟り
ブクブクと太り始めていた。
ある日、その毒舌ぶりで私と気が合った
同期の男Hと呑んでいた時だった。
Hは私が着ていたフレラコを見るなり、
「お前、麻ヒモで縛られた
高級ハムみたいだな」
と痛烈な一言を浴びせたのである。
「え!? マジで?」
ふと、自分の胸元を見たら、
あろうことかワニが横に引っ張られて
笑っているように見えた。
確かに…
その場で私とHは
ワニと一緒にゲラゲラ笑ったものの、
ファッション道を追求する者は、
周りの他愛ない一言に
意外と敏感で打たれ弱い…
それ以来私は、
徐々にポロシャツから
遠ざかっていくのであった。
奇しくもその後、
当のフレラコ自体も90年代に入ると
コスト削減で休止に追い込まれ、
日本から姿を消すことになる。
果たしてその後、
フランス製ラコステの運命はいかに…
~PART3に続く~
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《 懐かしのフレンチポップス 第2弾》
今回も子供の頃よく聴いた
「ミッシェル・ポルナレフ」
“シェリーに口づけ”
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あ、突然ですが…
運命の出会いを求めているあなたへ
朗報です!
当店のPR担当兼心理セラピストである
あ、決して怪しい誘導ではありません…
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
コチラも見てネ❗

