毎年3月に入ると
春の全国火災予防運動がある。
“ヨコハマ スカイビル”でも
大規模な消防訓練があった。
スカイビルは1996年に完成した
複合商業ビルで29階建てである。
一日の就労者数が平均2000名を超える
大きなビルだ。
ちなみに私は、
このビルが完成した時から働いている、
文字通りここの牢名主なのである。
この20年以上の間には全国各地で、
火災だけではなく大規模な自然災害もあった。
異常気象も頻発する現在では
自然に抗えないこともあるが、
その被害を最小限に止める努力を
日頃から怠ってはいけないのである。
昨年私は、防火・防災管理者の資格を
取得したこともあり、
以前よりもその意識は高まっている。
さて、その日の訓練はお店の開店前に行われ、約500名が参加する大掛かりなものだった。
私はお客様役だったので
係員の誘導に従い、
お店のある7階から地上へ避難した。
続々と集まる各フロアの人達も、
昔と違い真剣な顔つきである。
このスカイビルは
安全・安心をモットーに掲げており、
各種訓練が頻繁に行われているせいか、
今回の訓練もとてもスムーズに進行した。
途中、消防はしご車による
7階からの救出訓練もあった。
しかし、私は前夜就寝前に読んだ、
吉村昭「高熱隋道」に出てくるトンネル工事
大惨事事故のシーンを急に思い出し、
救助される役でもないのに
目の前で繰り広げられる救出劇に
思わず目を逸らしてしまった。
その後、スカイビル社長の挨拶があり、
最後は管轄の消防署長の総評である。
司会者から、
“署長に就任されてから6年間、
スカイビルの消防訓練に毎回ご出席され、
今月末で退官されることに…”
と紹介されたその署長は壇上に上がり、
「本日は、早朝から消防訓練にご参加頂き
ご苦労様です!」
と、ここまでは定石通りの挨拶だった。
しかし…
「今、ご紹介にあったように、
私は今月末をもって強制退職させられることになりました。しかし、この後の仕事が全く決まっていません…」
???
てっきり堅いスピーチと思い込んでいた私は、意外な展開に虚を突かれた。
「本日の私の目的は、
訓練の視察と再就職先の確保であります。
スカイビルの社長をはじめ、
各事業所の皆様、
どうぞよろしくお願いいたします!」
集まった約500名の人の輪のあちこちで、
笑いが起きたのは言うまでもない。
私は この人スゴい❗と思った。
消防署長といえば警察署長とならび、
市民の命や安全を守る崇高な仕事を指揮する
要職である。
その重い責任や使命感から、
公の面前では絶対に隙を見せない
方が多いはずだ。
そんな重圧をものともしない、
ウィットとユーモアのある話しぶりに、
私は引き込まれた。
その日の朝は久し振りに寒かった。
しかも、訓練中だから参加者は全員薄着。
もしかしたら、冷えきった我々の体を
笑いで温めようとしたのかもしれない。
もちろんその後は
消防署長らしいスピーチが続いたが、
私は一言一句聞き逃さないよう
耳をダンボ👂にした。
本当に大事なことを伝えたいときは
事前に聴衆を惹き付けておくことが
大切なのかもしれない。
まるで 落語のマクラ や
漫才のツカミ である。
そして、最後の締め括りがまた 粋 であった。
「…ということで、
皆さま方におかれましては、
この時季くれぐれも体調にご留意され、
各事業所の売上げアップにつなげるとともに、たくさん税金を納め、私の退職金が少しでも上乗せされるよう御協力お願いいたします!」
ブラボー❗
お見事❗
カッコいい❗
お洒落❗
惨事 はイヤだけど、
この署長に 賛辞 を贈りたい…
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私は素敵な消防署長にこの曲も贈りたい…
「Free」
“Fire And Water”
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
コチラも見てね❗

