いつかこんな日がやって来るのではないか…
ここ最近、私はずっと危惧していたのだが…
あ、何の話かと言うと、
ペアルックのことである。
ペアルック…
もはや死語だ。
オシャレの対極と言ってもいい。
ことの発端は二ヶ月前に遡る。
たまたま私と仁田は、
相次いで同じニットの色違いを購入した。
我々の店では、誰が何を着ようが制約はない。メンズビギの服なら何を着てもいいのだ。好きな服なら尚更である。
同じアイテムでも、
それぞれが違ったコーディネートをすれば
それはそれでお客様への提案にもつながる。
別にトップスが色違いになるぐらい、
どうってことない。
私は仁田とカブることを気にも留めず、
着たい時に着ていた。
ところが…
服の買いっぷりのよさから
“サプール”と呼ばれている仁田は、
その後私が持っている他のアイテムの色違いまで手を染めていったのである。
私は徐々に脅威を覚えるようになってきた。
このままではいつか全身色違いで
ショップに立つことになりかねない…
そんなの恥ずかしくてイヤだ!
私は牽制の意味も込めながら冗談で
「二人でさぁ、全身色違いコーディネートでスタバとかに入ったら周りの人気づくかな?
いやそれとも、わざと他人を装って時間差で入って隣の席に座った方がウケるよな?
しかも、若い女子達の目の前で…」
と言うと、仁田は
「それ、絶対注目されますよ。
もしかしたら写真撮られまくりますね。
間違いないっす!
“インスタ映え”しますから!」
などと表向き笑い合っていたが、
私には考えただけでも恐ろしいことだった。
私はそれ以降、仁田と一緒の出勤日には
そのニットを着ないようにしてきた。
ウケることなら何でもしそうな
アイツのことだから、
わざと狙ってくる可能性大なのだ。
しかし…
その日に限って私は、
ローテーション表をよく確認せず、
てっきり仁田が休みだと思い込んで
そのニットを着てきたのである。
すると、後から出勤してきた仁田を見て
私は凍りついた。
ニットだけでなくパンツも色違い。
さらにニットのインナーは、
白のオックスフォードBDシャツ。
シューズはアドミラル別注の白スニーカー…
全く同じじゃないか!
「ハハハ… GM、遂にカブりましたね!」
とウレシそうに言う仁田は
おもむろにパンツの裾をたくし上げ、
「ソックスの色も合わせました!」
と、ゾッ!とすることまで言ったのである。
「オマエ、こんなペアルックしてたら
誤解を招くじゃないか!
しかも、よりによって今日は
年に一度のバレンタインデーだぞ!
オレは今日一日、カウンターの中から一歩も外に出ないからな!」
とは言ったものの、
それでは仕事にならない。
できるだけ平静を装いながら仕事をしてたら、お隣の「サマンサ・キングス」のスタッフが近寄ってきた。
ちなみに「サマンサ・キングス」とは、「サマンサ・タバサ」のメンズ版である。
もちろんスタッフ全員が若い女性だ。
「あのぉ…
今日は二人で服を合わせたんですか?」
さすがに若い女性は敏感である。
早速、今日最初のリアクションだ。
「ああ、これっ? マサかぁ~
たまたまだからね、たまたま!
変な誤解されては困るなあ…」
「でもぉ、可愛いいじゃないですかぁ…」
「あ、ホントに?
じゃあさ、オレ達の写真撮らせてあげるから
インスタに使っていいよ!」
「アハハ…。全~然大丈夫で~す!」
「・・・」
さすが、普段から多くの男性客を
接客しているだけのことはある。
まるで新聞の勧誘を断るように
軽くあしらわれた…
「おい、仁田! オマエが言ってたのとは
だいぶ様子が違うじゃなか!」
などと言いながらも、
せっかくだからブログ用にと
鏡越しに写真を一枚撮った。
どう見ても、
売れない漫才コンビにしか見えない。
しかも親子漫才…
しかしよく考えたら、
この年齢差で同じ服が着れること自体が
スゴくないだろうか?
Now look!(ほら、見て❗)
このナウなルックを❗
ほら、メンズビギの服なら
年代を問わず着れるのだ❗
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【ロック名ドラマー列伝vol.13】
スライ&ザ・ファミリーストーンでのプレイで一躍注目された
“アンディ・ニューマーク”
ソウルフルで半端ないグルーヴを叩き出す、
稀有な白人ドラマーである。
その後セッションしたビッグアーティストは数知れず。そのままロック紳士録ができるほどであった。
「Ron Wood」
“I Got Lost When I Found You”
名盤 Now look より
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
コチラも見てね❗

