新たな執筆陣が加わった
に負けないよう、
今回は社会派ファッション記事である。
さて…
アフリカ中西部のコンゴに、
サップ(SAPE)というファッションがあるのをご存知だろうか?
SAPEとは、「お洒落で優雅な紳士協会」という意味のフランス語の頭文字を取ったもの。そんなサップを楽しむ人々を、
“サプール”と呼んでいる。
コンゴは1880年から1960年まで
フランスの植民地であった。
フランスのエレガントで洗練された着こなしに憧れたコンゴの人々が、サップを始めたと云われている。
私は数年前にNHKの番組でその存在を知り、衝撃を受けたのである。
以下の写真は引用である。
さすがにコンゴには行ったことないので…
一見、ポールスミスを彷彿させるが、
実はポールスミスの方が影響を受けているぐらいだ。
奇抜な色使いが目を引くが、
3色以内でコーディネートするのが
原則である。
彼らは週末になると
全身を高級ブランドのスーツで固め、
自宅から教会やバーやナイトクラブまでの間、街中を気取ったポーズをしながら歩く。
これは彼らを一目見ようと集まった街の人々を楽しませる為の、サプール達が考えるエレガントな紳士の作法なのだ。
彼らは人から見られることを意識して、
洋服だけでなく、目線、歩き方、全ての所作や仕草に全神経を使うのである。
ところで…
コンゴ共和国は1960年にフランスから独立後も度重なる内戦が続き、
国内は荒れ果て戦乱の傷痕が残る
世界の最貧国の一つとも云われる。
それでは高級服で着飾ったサプールは、
一部の特権階級のお遊びかと思われがちだが、決してそうではないどころか、むしろその逆だ。
彼らの大半は、サトウキビやパーム油、木材、家畜などの農畜産物を育てながら生活をしていている一般庶民である。
月給は平均僅か300ドル程度。
つまり彼らは、何ヵ月分の給料を費やし
ハイブランドの服を身につけているのだ。
彼らはただの服道楽ではなく、
真の紳士を目指している。
サプールであるためには教養を身につけ、
フランス語を流暢に話し、
何よりも強い倫理観を
持たなければならないと考えている。
スマートで高級な服の内側には、
真摯かつ高貴な人間性が
備わっていなければならないのだ。
外見に気を配ること以上に、
紳士としてのルールと教養を身につけ、
精神的に豊かであることが大切なことなのだ。
日々貧しい生活を送り、
パリの石畳の道の上を歩いていなくても、
彼らはエレガントであることに誇りを持っている。
そして、その先にあるものは
平和への強い願い である。
戦禍の絶えなかったコンゴでは、
その度にサップ文化が途切れそうになるが、
着飾ってステップを踏むことが、
平和につながるという固い信念が
彼らにはある。
ファッションを通して、
“服が汚れるから争わない”
“お洒落にしてると社会が平和になる”
“武器を捨てエレガントを装う”
というシンプルな平和メッセージを
発信しているのだ。
これはまるで、
ジョン・レノンとオノ・ヨーコの
「ベッド・イン」のようではないか。
そんな彼らは市民の英雄であり、
子供達の憧れの対象となっているそうだ。
さて…
最近話題の“アルマーニ制服問題”
“服育”という言葉を耳にし、
私は最初肯定的に受け止めたのだが…
校長の話を聞いてガッカリした。
残念ながらそこには
サプールのような強い信念が
感じられないからだ…。
~後編へ続く~
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「Roy Harper& Jimmy Page」
“Hope”
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより