ルーヴル美術館の別館がフランスのランス(Lens)と云う街にあると云う事で、行って来ました。


Louvre-Lens(ルーヴル・ランス)



「ランス」と聞いて、「シャガールのステンドグラス」を思い浮かべた方はご注意を!


シャンパンやシャガールのステンドグラスで有名なランス大聖堂があるのはフランスの北東部シャンパーニュ=アルデンヌ地方の「Reims(ランス)」。

そして、今回のルーヴル美術館別館があるのは、フランス北部ノール=パ・デュ・カレー地方にある「Lens(ランス)」。


「R」の「ランス」と「L」の「ランス」。。。
フランス語で発音したら明らかに違う地名に聴こえるのでしょうけどね。。。
日本語の限界を感じますが・・・、今回は「L」の「Lens(ランス)」の街のお話です!




ランス(Lens)と云う街は炭鉱で栄えた街で、炭鉱が衰退してしまった現在は残念ながらかなり寂れてしまったのだそうで、「ルーヴル・ランス」は廃坑になった炭鉱の跡地に建てられています。

ルーヴル美術館の「美術品が多過ぎる為に分散したい」と云うところから別館の構想ははじまったとの事ですが、そもそもなぜこのランス(Lens)にルーヴル美術館の別館が出来たかと云うと、寂れてしまった炭鉱の街ランスの街おこしの為だと云う事もある様です。


街で見掛けた掘削機跡。

ルーヴル・ランス駐車場脇にある炭鉱住宅街
(「ノール=パ・デュ・カレー地方の炭田地帯」と云う地域全体が世界遺産となってます。)




先ずは、車を降り、駐車場から美術館まで遊歩道を歩きます。



結構長い距離がありますが、道端に植えられている草木を楽しみながら歩くことが出来たり、




池に水鳥かと思いきや、アルミ色のビニール袋が浮いている・・・と云うアートなどがあります。
(アートなのですよね!?笑)

「ルーヴル・ランス」を設計したのは、日本人建築家の妹島和世さんと西沢立衛さんによる「SANAA」と云うユニット。

とてもステキな建物ですが、晴れていればアルミの壁面(写真左)ももっと美しかっただろうな。。。



館内は現代的な造り。

地下に行ってみると


収蔵されている美術品を見る事が出来ます。


そして、常設展へ。
常設展は現在、無料で入れます。


常設展が開催されているメイン会場の「La Galerie du Temps(時の回廊)」。
ここが素晴らしかったです!

「時の回廊」には、世界の美術品が年代別に飾られていて、入口から順番に鑑賞していく事により、美術の変遷を感じる事が出来ます。
(展示物はずっと同じモノてはなく、時期を見て少しずつ入れ替えられているそうです。)










「時代の移り変わり」が内装によって表現されている「時の回廊」を歩を進めながら美術品を鑑賞していると、まるでワープしている様な不思議な感覚を覚えます。

「時間(とき)」を見事に表現している「一つの大きな芸術作品」である「時の回廊」の中に、「時代・時代の芸術作品」が飾られていると云う、「時間」と「芸術」の幾重もの連動がなによりも魅力的と感じる空間です!!
しかし・・・、素晴らしいアートスペースですが、パリのルーヴル美術館の収蔵数を考えると、ここルーヴル・ランスの美術品はかなり少ないかな・・・。


また、円柱のブースの中に美術品が飾られているスペースがあったり、




私が訪れた時は残念ながらやっていませんでしたが、他にも、時期によってルーヴル・ランスが企画する「特設展」(こちらは有料だそう)が開催している時もあるみたいです。



そして、ロビーでは炭鉱があった時代の映像や、炭鉱のあった時代の街の模型がありました。

私は見忘れてしまったのですが・・・、他にも庭園には、所々炭鉱時代の線路などをそのまま活かした箇所などがある様です。







ルーヴル・ランスで私が一番好きだったのは、やはり「時の回廊」です。
本当に素晴らしく、そこで美術を鑑賞出来るのはとても贅沢な時間でした。

今後、飾られる美術品の数がもっと増え、更に、ルーヴル・ランスでしか観れない、何度も足を運びたくなる様な作品が増えていけばいいな・・・と思いました。



ランス(Lens)の象徴である双子のボタ山

かつて「炭鉱の街」として栄えた街が、新たに「ルーヴル・ランス」と共に再び栄える事を願い、ランス(Lens)の街を後にしました。


(つづく)