↑セイコーセカンドダイバー復刻モデルSBDX031とエクⅡS番
植村直己さんが北極点を目指す途中、雑誌記者さんのセカンドダイバーと自分のロレックスを交換したのは有名な話ですが、そのロレックスがエクスプローラーⅡだったということを最近になって、やっと知りました。
で、なんとなく手持ちのエクⅡと並べてみました。
そして、もしも一本だけ選べと言われたとき、自分だったらどっちを選ぶだろうかと考えました。
植村さんがエクⅡではなくセカンドダイバーを選んだのは、エクⅡが寒さで動かなくなってしまったためではありました。でも、そもそも私は危険な場所に行きません。
相棒として見るとき、時計として頼りがいを感じる点では両者一歩も譲りません。普通なら、エクスプローラーⅡになるでしょうか。
ただ、その表情を見比べると、昔の日本のダイバーズウォッチには、より安心感を覚えます。武骨で、それでいて優しい感じ。
実は、セカンドダイバーのことを、最初は良いとは思いませんでした。興味を持ったのも植村直己さんへの憧れからです。
でもね、こうして眺めてみると、いい顔しているんですよ。例えると、職人さん向けに作られた、無駄ところが一切ない道具とでもいうか。
Cラインケースはでっぷりしていて、ベゼルからはみ出した部分は無くてもいいように思えます。でも、角がなく、どこから衝撃が加わっても中の機械を守ってくれそうな気がします。造形に、自分の手を傷つけそうな部分は一つもありません。
裏の部分は滑らかにカットされていて、手首を反らしても邪魔にならないようになっています。リューズは4時位置にケースに埋め込まれる形になっています。徹底して冒険時計としての機能を追求した形と言えるでしょう。
極限状況に置かれた場合、意外に自分もセカンドダイバーを選んでしまうかもと思いました。
なじみの時計屋さんも言っていましたが、昔のセイコーは本当によく考えられて作られていて、しかも人の手でしっかり仕上げられているのだそうです。
このSBDX031は最新式ですけど、天下の雫石工場で、人の手に確かめられながら大切に作られた、機械式時計の逸品になります。
ロレックスとセイコー、どっちを選ぶかなんて結論はでませんでしたが、「古いデザインの良さ」、とか、「ものづくり」について、時計を題材に考えることができました。