まさか正規店でこの時計に出会えるとは思っていなかったので、正直、驚いております。植村ダイバーの復刻モデル、SBDX031です。
私の年代にとって、冒険家植村直己氏は、ヒーローの一人でありまして、人の群れに埋もれ、夢のない生活を過ごしていた若い頃、その人柄や生き方に憧れを抱いた記憶があります。
彼には北極点まで一緒に旅した時計がありました。それがセイコーダイバーズ・セカンド、通称、植村ダイバーRef.6105-8110です。この50年前の古い時計には今でも根強い人気があって、マッキンリーの冬季初登頂に成功しながらも、帰路で行方が分からなくなった故人を偲ぶ人がいまだに多いことが分かります。
一昨年だったでしょうか。セイコーは2ndに先立ち、復刻盤セイコーダイバーズ1st(SBDX019)を発売しました。この時計は世界2000本限定と希少なもので、予約先行販売で完売してしまい、店頭に並ぶことはなかったそうです。
私は植村氏に対するリスペクトから、1stの次は2ndが出るかもしれないから、「その時は…」、と、思っていたものの、実際に手に入れるのは難しそうだと感じていました。
そして、先日、ついにセイコーヒストリカルコレクションのラインナップに、2ndの復刻モデルであるSBDX031が並びました。定価が1stより高かったことと、あまり宣伝されなかったことが幸いしたのか、よくいくタカラ堂に一本だけ置いてあったものが、私の目の前に差し出されました。
ボーナスを吹き飛ばすくらいに高かったから、買うか買わないか悩んだけれど、この時計なら損をすることはないかなという判断で購入を決めました。おそらく値下がりすることはないでしょうから貯金の代わりになるかもしれません(甘い?)。
文字盤に往年の諏訪のマークこそありませんが、セイコー雫石工場で丹精込めて作られた世界限定2500本のうちの一本です。
ヒストリカルコレクションの良いところは、往年の名機のデザインを最新の性能をもった時計で楽しむことができるところです。もちろん本物が良いという人の気持ちも分かりますけど、私はこっちのほうがいいな。
SBDX031は2ndのデザインを再現しながらも、風防はサファイアガラス製でベゼルはセラミックです。中にはcal.8L35という50時間パワーリザーブの最新の機械が載っています。Cラインケースと呼ばれる丸みを帯びたステンレスケースにはダイヤモンドシールドが施されていて、贅を尽くした仕上がりになっています。
ベルトは強化シリコン製で耐久性に優れており、1stと同様にピラミッド型の模様があります。
波のマークは…、ありませんね。あれは3rdからだったかな。(よく知らない)
買えて良かったのか、どうなのか。昨日買ったばかりだから何とも言えないけれど、所有したいという気持ちは満たされました。
しばらく使ってみて、次は使用感などを書きたいと思います。