細胞の大きさと形 ーミクロとナノを使いこなそうー | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 「生物基礎」の冒頭で、いたいけな子供達を戸惑わせる悪いやつ、ミクロメートル(μm)とナノメートル(nm)を仲間にしましょう。よく知ってしまえばとても力になってくれる良いやつなのです。

 

 

 生物学は細胞を生物の基本単位と位置づけています。一般に細胞は目に見えないほど小さいので、大きさを表現するのに日常では使わない長さのスケールを使います。ミクロメートル(μm)とナノメートル(nm)です。

 

 便利なので理科の業界では普及しているのですが、これが舶来からの輸入物で、普通の日本人の感覚に合いません。

 

 

 だから、特に文系の生徒が生物を学ぶときには、とても大きなハードルになってしまう恐れがあります。

 

 

 こうだと説明するのは簡単なんですが、それだと教えたことになりません。学問の知識は、理解が備わって初めて教養として使いこなせるようになるものばかりです。

 

 ここで求められるのは、「メートル法」への理解です。もともとフランスで考案された長さの基準で明治時代に日本に世界基準と言うことで入ってきました。

 

 

 

 西洋では、1,000を大切にする文化的背景があります。日本にはそんなものはないですね。ここが理解を妨げる最大の障害になります。

 

 

 

 今の日本人なら、1,000mが1km、1,000mLが1Lであることは誰でも知っているし、日常の感覚で備わっています。そもそも、なぜ、1,000倍ごとになっているかといえば、西洋では1,000倍ごとに単位を作って大きな数も小さな数も理解する文化があるからです。

 

 10,000を日本人は一万といいますが、英語だとテン、サウザンドですね。3桁ごとにカンマがあるのは、日本の文化ではありません。

 

 

 なぜ、西洋人が1,000倍が好きかとごという説明は他の科目に譲ります。一つだけいうなら宗教的背景があります。ぜひ英語や世界史で教わってください。

 

 

 つまりは、1mを基準にして、1,000分の1がmm(ミリメートル)、1,000,000分の1が1μm(ミクロメートル)、1,000,000,000分の1が1nm(ナノメートル)ということになります。一つ単位が小さくなるとき、1kmと1mの関係で小さくなります。

 

 あの定規の一番細かな目盛りである1mm(ミリメートル)を1,000分の1にすることを想像すると、もう何が何だか分かりませんね。細胞はそんなスケールです。

 

 肉眼で見える限界は0.1mmとされています。これを頭の中でμm(ミクロメートル)に直すときは1kmと1mの関係を思い出せばよいです。0.1kmは100mですね。だから0.1mmは100μm(ミクロメートル)とイメージできます。

 

 生物学の進歩は顕微鏡の性能によるところが大きくて、光学顕微鏡を使ってμm(ミクロメートル)の世界に、電子顕微鏡ができてからはnm(ナノメートル)の世界を見ることが出来るようになりました。

 

 ナノメートルになると、だんだん、物質を構成する原子や分子のスケールになって、細胞じゃなくなります。

 

 ではなぜ、ナノメートル(nm)まで生物学で扱うかと言ったら、それはウイルスという、生物なのか物質なのかよく分からないナノサイズのヤツらがいるからです。

 

 このウイルスというヤツ、1,000円札の顔になってる野口英世を、黄熱病研究の道半ばで死に至らしめた・・・。

 

 話が変わってきそうなので、今日はこの辺で。