さて、タイトル大きく違いますが、どっちにしようか迷いました。

 

 市議会が止まってしまってからも、なんだか不満があちこちから聞こえてきます。

 

 数日前のブログ、理念なき行財政改革(左をクリックしてください。)と、

 

 紙資料問題(9)(左をクリックしてください。)

 

 に掲載の議案第36号と第37号についてです。

 

 市民負担を様々な形で増やすという議案が目白押しの今回の定例会ですが、その手順、手法に批判が集中しているようなのです。

 

 しかも、その各種使用料の値上げ条例の担当課では、財政だか企画だかからの「指令」通りの係数をかけての算出が故に、「答弁詰まり」がしばしばだったようです。

 

 だったら、本会議の議案質疑でガンガンやればよかったものが、所詮は付け焼き刃の質問ですから、深掘りもできなきゃ、抵抗もできない感じだったようです。それでも「頑張っている感」はありましたよ。っていう論評もありますが、まあ所詮は知れたもんでしょう。

 

 まあ後日じっくり録画を見てみようかと思いますが(笑)。

 

 さて、さは然に非らずですが、ある一定の意識はあるようです。それは、市民負担を増加させる。という議案を提出している。それなのに、職員の待遇ならびに特別職の待遇をあげるという議案を提出するという、二律背反と取られてもおかしくない議案を提出するということが行われていることに、意識の高い職員諸氏や議員諸氏が「?」としていることです。

 

 残念なのはそれが表に出ない。ということです。

 

 いくつか事象を分けて考えてみましょう。

 

 議案を提出するということは、ベストな選択をしたものを執行責任者である市長が提出をするものです。ここまでの段階で、「練りに練って」最高のものに仕上げるのはいうまでもありません。それも、基本的には地方自治法の趣旨に則って、そのことを十分に鑑みた結果に導くものであります。

 

 何度も何度もここで引用していてくどくて申し訳ございませんが、地方自治法です。

 

 第一条 この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。

 

 第一条の二 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。

 

 ○2 国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。

~後略~

 

 第二条 地方公共団体は、法人とする。

~中略~

 

 ○14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。

 

 今回の一連の議案は、この原点中の原点ともいうべき部分に立ち返って提出を決めるべきものだと思います。そして、当然でありますが、松戸市長、山﨑副市長、辻副市長を始めとする執行機関幹部職員が熟議に熟議を重ねて提出をしたものであると思料致します。

 

 まず、議案提出の起点(基点)は、2条14項の「その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」ということです。

 

 しかし、待てよ?と、ここで考えなければならないのは、「最少の経費で最大の効果を挙げ」てこなかったよね。というのが、行財政改革推進会議の議論であり結論であったわけであります。

 

 再びこのリンクでお読みください。

 理念なき行財政改革(左をクリックしてください。)と、

 

 誰の行政経営でそんな状態に陥ったか?それは議会の議員諸氏はわかっていない議員が数多くいますが、賢明な職員諸氏は十分にわかっているんですよね。

 

 そこがまずはポイントの1点目。この部分を書き始めたら怒りで止まらなくなりますから(笑)。

 

 で、次のポイントが厚顔無恥とも言える、今回の待遇改善議案の提出です。多くの職員諸氏が「厚顔無恥」と感じているにも関わらず、執行機関幹部は無痛症というか、市民の痛みを感じもせず、自分たちの待遇改善だけは「熟議の結果」として議案にしてきたということです。

 

 これまた意識のある、優秀な職員諸氏が心を痛めていることだけは記しておきましょう。

 

 さて、その厚顔無恥ですが、一般職の職員の待遇改善は、将来にわたって影響が出るかも知れない人事採用、人材育成、流出食い止めの意味合いで致し方ないと思いますし、働き方改革を始め様々な側面があるなか、苦渋の選択として、熟議の結果として、まあ~ねっって感じでしょうか。

 

 これが2点目のポイントですが、実は、本来行財政改革を行うにあたっては、総人件費の抑制を中長期にわたって考えなければなりません。それを、付け焼き刃的に初任給引き上げ議論だけをしてお茶を濁すような結論は、総務担当副市長を経験した松戸市長の振る舞いとしてはある意味失格です。

 

 しかも、提案理由の説明は、

 

 36号

 理由 

  一般職の職員の給与改定にならい、市長等の特別職の職員及び議長等の期末手当の額の

 改定を行う必要がある。これが、この条例案を提出する理由である。

 

 37号

 理由 

 官民較差の是正並びに国、県及び近隣市等との均衡を図るため、国家公務員に対する人事院勧告等にならい、一般職の職員の給与について改定等を行う必要がある。これが、この条例案を提出する理由である。 

 

 さて、3つ目のポイントですが、地方分権改革が進んでいることは再三再四このブログでも述べさせていただきました。

 

 今や、地方の時代なのです。ですから、地方自治法も1条の中ほどに「住民に身近な行政は」「できる限り地方公共団体にゆだねる」ことを「基本として、」「地方公共団体に関する」「制度の策定」及び「施策の実施」に当たつて、地方公共団体の「自主性」及び「自立性」が「十分に発揮されるようにしなければならない。」のです。

 

 一方、議案の提案理由をみてください。

 

 37号「官民較差の是正並びに国、県及び近隣市等との均衡を図るため」「国家公務員に対する人事院勧告等にならい」とあります。

 

 アホですね。横並び主義そのもの。赤信号、みんなで渡れば怖くない。そういう時代ではないのです。

 

 ここの部分だけ捉えて、「均衡を図るため」???あ~?ふざけんなと。近隣市、国、県は行財政改革をしっかりやってきている結果としての待遇改善である。としたら、船橋市は、少なくとも、その責任を感じているならば、特別職は「値上げなし」が基本になるはずです。

 

 だから、さきほど厚顔無恥と書かせていただいたのです。我田引水というか、ひどいもんです。

 

 そもそも人事院勧告とはなんでしょうか?

 

 令和元年人事院勧告(左をクリックしてください。)

 

 こういう話を書き始めますとある議員の顔が思い浮かびます。全く知識がないくせに偉そうに偉そうなことを宣うのですが、「公務員には、国家公務員約58.5万人と、地方公務員約274.2万人がいます。このうち、人事院の給与勧告の対象となるのは、「一般職の職員の給与に関する法律(給与法)」の適用を受ける一般職の国家公務員約27.7万人です。」ということで、外形的にみた場合、何も関係ないのです。船橋市には。

 

 しかし、公務員の給与というのは、深いものがあって、まずは「給与条例主義」ですから、条例の最終議決権は誰ですか?えっ石川先生。誰?そうですね、議会の議員個々です。ですから、知ったかぶりをするのではなく、まずは給与条例主義を勉強すること。そして地方公務員法を熟読すること。そして、この人事院のホームページは今よくできていますから、よく読むこと。ついでに一般職の職員の給与に関する法律もね、よく読んでおいて。

 

 従って、組合交渉なんて関係ないから。職員は、現業職員が「労働組合」を作ればいいし、「公務員の労働争議権」を勉強すること。おもしろいから、「調整手当」を徹底的に調べてみること。から始めると良いでしょう。公務員の待遇に関する「手前勝手な」理屈が見えてきます。

 

 もっと面白いのは、今、職員組合の所属職員数を調べてみたら?団体交渉の対象にあらずかもよ。あんな立派な部屋まで与えて。ついでに労働基準法もよく読んでおくことですね。

 

 さて、議員個人へのアドバイスはこの辺にして、地方は地方で考える力を持つ。のが基本ですから、今回は、この議案第36号は議会として否決をすることが「良心」であり、議会の権威を保つギリギリの線でしょう。

 

 市民に痛みを伴う議案を「可決」するのだとしたら、36号は否決。

 

 長くなりましたので、また書きます。