『養生訓』 医書と医道(巻五44) | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

「歌を詠むのに、「ひろく歌書をよんで、歌学ありても、歌の下手はあるものなり。歌学なくして、上手は有まじきなり」と、心敬法師はいう。医術もまたこれと同様である。医書を多く読んだとしても、下手な医者はいるものだ。それは、医道に心をくだくことがなく、精緻でないからである。まして医書を読まずにいて、上手であろうはずはない。 中国や日本に、博学・多識でありながら、道を知らない儒者は多い。とはいえ、博く学ばずにいて、道を知っている人がいるはずもないのと同じである。」


知識だけが豊富でも歌の下手な人は下手。といって、基本的な知識なしに上手になるかというと、そんなはずもない。医者も儒者も同様に、書物の勉強だけじゃダメだけど、書物の知識がなければ、その道を知りようもない。


正論ですねぇ。基礎がなければ、応用のしようもありませんから。迷ったときに戻るのもまた基礎ですからね。始めに基礎ありき。基礎固めのためにも、ひろく知識を学ぶ。そして、道の何たるかを考えて、臨床に応用していくということでしょうか。


心敬法師(1406-1475)は、室町時代中期の僧侶であり、歌人。連歌論『ささめごと』や『ひとりごと』、『所々返答』、『老のくりごと』などを著し、和歌、連歌、仏道の本質は同じであるという一如観を説いています。


「良医と俗医」「医道に精進する」「医道に専一に」「良医には医学十年の労」「俗医の学問嫌い」 などで、同じようなことを繰り返しおっしゃっています。そして、医者たるものの志について、「医者を志す人」 に述べていらっしゃいます。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』

春月の『ちょこっと健康術』-100114_123943.jpg