『養生訓』 医者を志す人(巻六40) | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

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医となる人は、まづ、志を立て、ひろく人をすくひ助くるに、まことの心をむねとし、病人の貴賎によらず、治をほどこすべし。是医となる人の本意也。其道明らかに、術くはしくなれば、われより、しゐて人にてらひ、世に求めざれども、おのづから人にかしづき用られて、さいはいを得る事、かぎりなかるべし。もし只、わが利養を求るがためのみにて、人をすくふ志なくば、仁術の本意をうしなひて、天道、神明の冥加あるべからず。


医者になろうとする人は、まず志を立てて、広く人を救済するのに、誠心誠意を旨として、病人の貴賎にかかわりなく、治療を施すべきである。これこそ医者となる人の本意である。医道を明らかにし、医術に通じると、自ら無理に人にへつらったり、世間に求めたりしなくても、おのずから人にに敬愛重用されて、幸福を得ることに限りはないだろ。もし、ただ自分の利益を求めることを目的とし、人を救う志がなかったら、医は仁術の本意を失って、天道・神明のご加護も受けられないだろう。


これを読んで真っ先に浮かんだのが「赤ひげ先生」、現代でいうなら「国境なき医師団」かしら。庶民のために、医師として仁術を本として活動する方々。収入は後からついてくるものであって、先に求めるものではない。お医者さんに限ったことではありませんね。まずは額に汗して一生懸命仕事をすること、ですね。


「医は仁術」、日本では昔から言われていることですが、これがどこから来ているのか、実はよくわからない。おそらく中国の古事だろうとは思いますが。「医は仁術」、益軒先生はこれまで「医の世襲は才次第」「君子医と小人医」 に登場しています。


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