人は、自分に「同意、共感、理解、賛同」をしてくれる他者を味方だと感じ、好意を抱きます。

 

だれかと会話をしていて、

「あ、この人は私の話を聴いてくれている」

と感じる人と

「あ、この人に話してもむだだな」

と感じてしまう人がいます。

 

 

それでは、「話を聴いてくれている」と思わせる人は、どんな聴き方をしているのでしょうか?

 

 

 

相手の話を聴くとき、私はとくに次の「4つ」を心がけています。

 

 

●相手の目を見る

 

 

話し手と目が合ったら「4秒間」は目を合わせましょう。

 

 

すぐに視線をそらすと、「話を聴いていない」と思わせてしまいます。

 

 

「目が合わない」=「自分に関心がない」と思われてしまう危険があるのです。

 

 

セミナー中に、受講者全員に手を上げていただき「私と目が合って、心が通じた感覚があったら、手を下ろしてもらう」ように取り組むと、たいていの人が「3〜4秒」で手を下ろします。

 

 

このことからも、「あなたの話を聴いています」というサインを話し手に送るには、「4秒間、目を合わせること」が必要なのです。

 

 

 

●相手に体を向ける

 

 

首だけを向けるのではなく、「体の正面」をきちんと話し手に向けましょう。

 

 

ビジネスでは、パソコンの画面を見たままで、「声だけで生返事をする人」もいますが、これでは「聴いている」とは言えません。

 

 

メモを取る

 

 

販売員時代は、「メモ魔」で、施策の情報、先輩からの叱責、お客様のご要望など、いろいろなことを書き留めました。

 

 

メモを取るのは、「内容を忘れない」ためであると同時に、「あなたの話をきちんと聴いています」という意思表示にもなります。

 

 

つまり、「メモを取る」という行為は、相手に安心感を与え、相手の「承認欲求」を満たすのです。

 

 

●相手のプライベートに、むやみに踏み込まない

 

 

セミナー講師と数人が、ある経営者を囲んで「食事会」を開いたことがあります。

 

 

食事中、経営者は、集まった講師たちに、次々と質問をしていきました。

 

 

 

「年収は?」「歳はいくつ?」

「結婚しているの?」「お子さんは?」

 

 

 

彼の質問は、講師の「プライベートの話」に終始していました。

 

 

そして、講師の答えを聞いては、横やりを入れます。

 

 

 

「目尻にしわがあるから、もっと歳上かと思った」

「早く結婚したほうがいいよ」「早く子どもを作ったほうがいいよ」

 

 

 

その会に参加した講師のなかには、流産をした先輩がいました。

 

 

結婚よりも、いまは仕事が優先だと思っている人もいます。

 

 

 

私は、経営者が続ける「自分の興味を満たすためだけの質問」に違和感を覚えました。

 

 

 

おそらく経営者に、悪気はなかったと思います。

 

 

 

ですが、「質問をされる側の気持ち」を、まったく考えていないように感じました。

 

 

 

相手がどこにコンプレックスを持っているのか、私たちにはわからないので、不用意にプライベートに踏み込むと、その「地雷」を踏んでしまうことがあります。

 

 

 

 

人は、「自分の話したいことを聴いてくれる人」に信頼を寄せます。

 

 

ですから、「自分の聴きたいこと」以上に、「相手が話したいこと」を引き出すためのコミュニケーションが大事です。