STRATEGIC ENCHANTMENT -10ページ目

デジタルは、生活者の執事にすぎない

言うまでもなく、
デジタルが引き起こした広告ビジネス地殻変動によって
メディアの意味論が変質しつつある。

トリプルメディア、統合マーケティングプラットフォーム、
データインテリジェンス、データエクスチェンジャー、
アドネットワーク、ネットTVなど、
これらデジタル一族が、
時代の寵児のごとく、水を得た魚のごとく、
わがまま顔に代理店の人間を困らせている。


得意先のメディア知識が増え、しかも、
生活者はランダムに動くもんだから
議論は支離滅裂、もしくは、中程度の”中ほど”に
全てのキャンペーンが落ち着くことになる。
最高につまらない仕事が増えてくる。


過去の殻を破って、にょきっと突き出たアイデアや
コミュニケーションスクリプトを得意先に提案しても
刺さりにくい。


なぜか?


よく思うのだが、
どこまでいっても、結局、
「デジタルは、生活者の執事」
にすぎない。

その主従が逆転することもあるだろうが、
やたらめったにデジタルからモノを判断する
人が多くなった気がする。

ちょっとデジタルに偏り過ぎてないか…?
表層的なことに、過剰に反応し過ぎてやしないか?
*自戒の意味もこめて。



僕らの仕事は、言ってしまえば、
広告を通じて生活空間にワンダーランドを届けること。
あるいは、ワンダーランドを一緒につくること。


動物園、博物館、なんでもいい。
生活者とそういう共鳴できる瞬間・空間をつくること。


そのためには、やはり
N=1の、生活者の顔を起点としてプラニングすべき。

1万人の調査は、平均値しか教えてくれないが、
それでも、その平均値に潜む、
人のココロの躍動感を解釈すること。
これが起点になるべき。

人のココロを相手にするビジネスの基軸だ。


個人的には、その基軸を軽視して、
デジタルの時代には乗るべきでないと
思っている。

iPadは、生活の執事にしか過ぎない。



スタート地点は、
シャープにえぐり取った
インサイトだ。


生活者の素性が見えにくく、かつ、
日々変化しつつある環境にあって、
その基軸を見失うべきでない。


人のココロ・身体性を
デジタルの文脈に組み込んで、
企画を練る発想力。

いや、デジタルと身体性とを
行き来することを前提として、
プラニングしないといけない。

ここが従来と決定的に違う。


スタッフ観、組織体制含めて、
欧米のエージェンシーでは、
この辺りをよく考えていると
ふと思う今日この頃。


先日読んだ本は、
そんな軸を呼戻してくれた本。


ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業/ヤンミ・ムン

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スマートデバイスを利用した新しいカタチのクリエイティブ

日常生活の中で、

新しいクリエイティブの体験をつくると、

こうなるのか、という事例。


■Making Future Magic: iPad light painting


http://www.dentsulondon.com/blog/2010/09/14/light-painting/



暗闇の中で、

光の残像を巧に操り、

”空中に新しいメディア空間”を

誕生させることに成功している。

テクノロジーの文脈の中に、

クリエイティブを挿入すると、

かくも新しく映えるのかと、

感動した。

人間の認識のあいまいさ

久々のブログ更新。

かくも人間の認識は曖昧なのか、と思わせる一本の有名な動画。

⇒スタンフォード大学のティナ・シーリグ氏の著書にも出てくる事例。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義/ティナ・シーリグ

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まずは、問題。
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①黒と白のグループが、バスケットボールをパスして回していく動画が流れます。
 ここで問題です。
 「白い服のチームが、何回、ボールをパスしたかを数えてください」
 まずは、それだけです。それでは、どうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=oSQJP40PcGI






②次に、動画の中に、ゴリラがいたのを覚えていますか?
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個人的にやってみたのだが、まんまとひっかかった。。
ゴリラなんて見えなかった。。

ちょっと頭を傾けるだけで、見方を変えるだけで、
新しいものが見えてくる。(見えてくるはずなのだ)

しかし、人間の認識・知性には限界があり、
心理学でいう”カクテルパーティー効果”ではないが、
人はおおよそ、常道の、通常の、慣れ親しんだモノやコトにしか
ポジティブになれない。

逆にいうと、日常の見方を120度ぐらい”異質な疑念”でもって捉えると、
ほんとに新しい景色が目の前に拡がる可能性を秘めているということ。

無理に”飛び抜けた現実離れ”な案を出すよりも、
日常の中での気づきを、強烈に印象付けた方が
人は驚き・喜ぶのでは?と思っている。

とはいえ、この手の発想が、本当に難しい。。
それを打ち破るには、自らの心身を4次元にでも投下して、
外人、外国、宇宙人的な幾何学的思想をものにしなければならない。

しかし、同時に、世の中の真理・摂理を突き詰めておかないと、
思考の軸がブレまくる。

そういうわけで、高橋昌一郎氏の「知性の限界」他を読んでみる。


知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)/高橋 昌一郎

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理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)/高橋 昌一郎

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異常とは何か (講談社現代新書)/小俣 和一郎

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意図的な情報格差

ラジオ、雑誌に続いて、新聞の売上がネットに抜かれた。
さらに、日本の広告費総額が6兆円を割った。

さて、これを見て、どう思うか?

実際、個人的にはさほど驚かなかった。
これは市場に存在する顧客の意見を受けた結果の総論であって、
得意先の意識が変わったとか、業界の構造問題だ!とする方が、極めておかしい。

なぜなら、その全ての需要の源泉は、顧客にあるからだ。
それに伴い、メディアの役割も変化していくのも当然。

マーケティングの世界には、顧客起点の発想は常にある。
しかし、メディア側に目を向けると、「これは誰目線なの?」
という会議や発言が多々見受けられる。

その論に初めて出会ったのが、岡本一郎氏の「グーグルに勝つ広告モデル」という本。
この本は、今でも感動を覚える程、自身のメディアバイブルになっている。

グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書)/岡本一郎

¥756
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そもそも、日本の広告会社では、メディアの仕入と売りが別々になっていたり、
あるいは、その障壁を超えられなかったりするのが大元の温床。


しかし、メディアの役割は確実に変化している。
メディアプランにもっと顧客志向を塗りこむべきではないか。

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例えば、TV。
「もはやマスでない」とする論者もいるが、やっぱりマス。
但し、そのROIの位置づけや意味性が異なってくる。

●従来 : 誰もが接するマスメディア
●今後 : 特定の人を対象としたセグメントメディア

例えば、交通広告。

●従来 : 生活動線上の接点メディア
●今後 : スポットに近い「起爆」メディア

例えば、雑誌。

●従来 : ターゲットセグメント型メディア
●今後 : 「セレクトショップ型」メディア(欲しい情報&コンテンツをコンパクトに入手)

とくに、雑誌や新聞については、個人的にはまだまだ使い方次第で伸びると思っている。

・モデルの極秘情報
・ワンテーマで掘り下げ
・地方、都市対決
・(既成概念にとらわれない)幅広い情報
・編集力、読み応え など
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こうした論と同時に、以下のような昨年のカンヌ入賞作を眺めてみると、
ある一つの有益な仕組みに出会える。

W&K「Love Distance」
T-Mobile「DANCE」
豪クイーンズランド州観光公社「The Best Job in the World」


それは、”意図的な情報格差”という仕組み。

広告を見てもらえる確度を最大限に高めるというか、戦略PRの発想に似ているというか、
とにかく”意図的に情報格差”を創り出すことが重要ということ。

事実、上記のカンヌ作品は、
PRやweb上で話題を盛り上げておき、最終的にTVで爆発させる
というプラニングフレームが適用されている。


別にこれが万能論ではないが、海外や昨今の日本の状況を見ていると、
この種の法則がある気がしてきた。なぜなら、みんな広告なんて見ないからだ。
そこに、”わざわざ見てもらう”理由や動機をつくる必然性が生まれてくる。

事前に盛り上がる場の空気を盛り上げておき、
そこに実弾(需要を刈り取る広告など)を投下する仕組み。
一見、面倒で、かつ、コストもかかりそうだが、やり方次第で大化けする可能性も秘めている。

しかも、この仕組みを念頭に置いていれば、全てのことがニュートラルにプラニングできる。
別にTVなどマスありきでなくてもいいからだ。


でも、「WEBはバカと暇人のもの」という本にも書いてあるが、
やはり”バズはマスからしか生まれていない”という事実も考慮すべき。

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)/中川淳一郎

¥798
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結果、やっぱり手口がニュートラルになってくる。

「TVをプラニングの最後に使うなんて…」と思われるかもしれないが、
顧客目線に立った時、こうした”逆転の発想”ともいえるマーケティング視点が、
媒体にも必要なのだ。



※なお、3~4年前に、以下のような記事に触れたことで確信した記憶もある。

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クチコミの法則を研究しているという電通の森岡慎司氏。「口コミ発信者と受信者の間には最適な情報格差がある」という。そのほかにも、マスメディアによるクチコミの促進効果、為替の予測を応用したクチコミの予測について、興味深い言及がある。
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▼クチコミの発信者と受信者の適切な情報格差
成蹊大学の山本晶准教授との共同研究で見えてきた成果ですが、「口コミ発信者と受信者の間には最適な情報格差がある」というものがあります。(中略)会話が起きやすい要因としては、適切な情報格差が存在することがわかりました。つまり、人は自分より少し詳しい人から話を聞きたいし、自分より少し下の人に話をしたいのです。しかし、情報レベルの格差があり過ぎる人に説明するのは面倒くさいから嫌なんです。
▼マスメディアによるクチコミの促進効果
マスメディアは口コミにどのくらい効いているかという研究もしています。その結果見えてきたのは、まず、口コミを発信する人と受信する人の間でマスメディアの情報は共通言語になるということです。また、先ほどあまり情報格差があると口コミは起こらないと言いましたが、マスメディアには、情報格差を是正し、適切な情報格差をつくる働きがあることも推定できました。そうすると会話が起きやすくなるんですね。
▼クチコミの発生の予測
東京工業大学の高安美佐子准教授との共同研究ですが、経済物理学、エコノフィジックスの理論を応用したものです。(中略)10日から20日前には口コミのピークがどこまで行くのか、それがどう終焉するかがほぼ予測できるところまで来ています。
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この後に続く「クロスメディアの話で一番出てこないのは「タイミング」の問題です」という指摘も鋭い。

『FREE』の次は、『ENGAGE!』

3月8日、PRやソーシャルマーケティングで有名なブライアン・ソリス氏の新刊が出た。

「Engage: The Complete Guide for Brands and Businesses to Build, Cultivate, and Measure Success in the New Web」


Engage: The Complete Guide for Brands and Busin.../Brian Solis

¥2,329
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トリプルメディア論が出てきて、
とくにコカコーラパークのようなOwned Media礼賛論がマーケティングエコシステムと相俟って何かと盛り上がっているが、実際に、「どうやって使うのか?」「どのタイミングで使うのか?」「どのような案件には有効か?」といった活用論、あるいは、「どんな成功事例があるのか?」などの実績論まで広く網羅できているものはないと思う。

Twitter, YouTube, Facebookのようなソーシャルメディアを利用して成功した事例は数えられるほどか、と。
とくに、Twitterを通じた成功事例は、まだ記憶にない。
※即時性という特徴上、ニュースとかTV番組連動とかの成功事例はあると思うが…

そんな中、発売された『ENGAGE!』。

英語版で読む時間が欲しいところだが、
下記概要を見ると、どうやら活用論・実績論にまで踏み込んだ書らしい。

ポイントは:

①顧客ロイヤルティーを構築・維持するエコシステムを生成すること
②顧客を巻き込むためのユニークなwebカルチャーを創ること
③こうしたメディア施策を後押しする組織体制を整備すること
④”online champions”を巻き込み、新しいインフルエンサーを開拓すること
⑤マーケットニーズとトレンドを常に把握し、戦略を適合させること

が挙げられている。

個人的に興味があるのが、①。

データベース・アライアンスなど、単独で実行できなくても、複数寄り集まればなんとやら、である。

エコシステムの形成は非常に大事だと思うし、その分、扱い方も重要。


その昔、ネイルバフ&ブランデンバーガーによる「コーペティション経営」というのが流行った。


「ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 」

ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫/B・J・ネイルパフ

¥950
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見方によっては、敵は味方にもなる。
こうした柔軟な発想・視点が、広告ビジネスを行う上でも、
踏み込むべきテーマとして再注目されるのは望ましいことだ。



From the Inside Flap--------------------------------
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However, use of the tools does not guarantee that people will listen. Engagement is shaped by the interpretation of its intentions. In order for social media to mutually benefit you and your customers, you must engage them in meaningful and advantageous conversations, empowering them as true participants in your marketing and service efforts.

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