管理組合からみた Airbnb -5 「規約優先」の確認 | はるぶーのマンションヲタクな日々

はるぶーのマンションヲタクな日々

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。

 杭の問題で傾いたマンションが連日トップニュースになっているせいか、RJC48(マンション管理組合理事長勉強会)でも頻繁に取材の要望などを受けています。先週末は、5人ほどの理事長(経験者)さんを集めて、某経済誌の座談会をしてきました。今月中には特集になりそうですのでお楽しみに。
 
 さて、そこで話題になっていたのが、大阪府・大田区などの民泊条例を理事会側からどう思うか?という話。割と経済誌記者といった方でも 「国のインバウンド政策と逆行?するような禁止する管理規約を制定可能なのか」なんて質問をされる方もいました。 
 
 この手の問題の議論をするときに、”大元”に直接確認する人が少ないのは不思議に思っています。今回の大阪府の条例案でも、最短1週間とは長すぎる!という意見がネット上でも散見されます。
 
 国家戦略特別区域法 に関する現行の施行令第12条【下記参照】では、 
      http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H26/H26SE099.html
第13条(旅館業法の特例)に関しては、最短期間を7日~10日とする範囲で条例で指定してよいとなっていて、この外には地方自治体の裁量では設定はできません。大阪府の条例も、大田区の案もその最短期間には合わせているわけです。文句をいうなら、大阪府にいっても仕方がなくて、相手は国ってことになります。

 

 
では、
 「特区の指定地区であり」
 「かつ該当する自治体が旅館業法の特例に関する条例を制定している場合に」
 「マンションで不特定多数への短期貸し出しを禁じる規約も存在」
した場合には、規約が優先されるのか??

 

 RJC48の加盟マンション中で、Airbnbの禁止規約を制定しようとしているとあるマンションが、実際に監督省庁の担当者に電話をかけて確認してみました。本気で確認したいなら”大元”にあたるのは当然ですね。
 
 以下、そのマンションの報告のままに転載します:
 
ーーーーーーーーー引用はじめーーーーーーーーーーーーー
 
 http://thepage.jp/detail/20151006-00000004-wordleaf
大田区の民泊緩和など、規制緩和の方向が進んでいるので、Airbnbについて今後どのような動きがあるのか、省庁に電話をかけて聞いてみました。
 
■ 内閣府地方創生推進室:
 
・「特区法第13条・旅館業法の特例」についてはマンションの空室を貸し出すことを推進するためにやっているわけではない。
・そもそも誰が泊まりに来ているかわからないことは治安、テロ等の危険がある。
・具体的には各自治体で条例を作ることになっている。名簿の整備や立ち入り権限などを定めてもらう。
・そもそもAirbnbは法律のグレーゾーンであり自民党の部会で、法改正の動きも出ている。この法改正とはAirbnbを規制の網にかけるという動きである
 
■ 厚生労働省生活衛生課:
 
・Airbnbは「仲介」しかしておらず、旅館業法上の規制にはかかってない
・しかしホストは当然旅館業法上の規制対象である。都道府県などに営業許可をとってほしい。とれないのであればやめるべき
・規制緩和の方向になったとしても、営業許可を取ってもらう方向には変わりがない。市区で審査が必要である。
・最近、管理規約で排除している事例も聞いている。そこでは当然営業許可を出せない
・規制緩和したとしても、管理規約を上書きするものではないので安心して欲しい

 
ーーーーーー引用終わりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 私はもともと答えは自明だと思いますが、Airbnbの信奉者の人は、黒をグレーという傾向が強いですからきちんと裏はとっておいたほうがよいでしょう。
【取締りが困難であるから、違法でないということにはなりません。違法な行為をできなかったからといって、私権の侵害だと組合を訴えても勝てる可能性は極めて小さい】
 
 管理規約であらかじめ排除されていれば、正攻法では営業許可は出ません。
 
 許認可は旅館業法の場合と同じく、保健所のある自治体単位ですので、東京23区では区ごとになり、条例が存在しない区においては、旅館業法の許可を得ていない開業は違法行為であるのが現状ですが、条例が可決されたとしても規約があれば安心して違法ですと指摘できそうです。
 (ここは案外勘違いしている人は多そうに思えます)
 
 RJC48でも、Airbnbなどの問題については、規約による規制に消極派(放置)のマンションも積極派のマンションもあります。 これはマンションごとに事情を考えて決めればよいことですから、マンションによる自治範囲として、「規約優先」であることだけ確認できれば、他のマンションのことを気にしても仕方がない。
 
#これは、「ペットの飼育が不可」のマンションがあっても構わないのと全く同じだと思います。それによる損得をマンション全体で判断していずれかを選べばよい。

 
 うちの場合は、部屋毎に1人あるいはそれ以上を泊めるというシェアハウス的な利用方法とカップルさせない限り Airbnbにはうまみがないですから、2段ベッドでもどかどかいれてシェアハウスにしてしまうのを効果的に防止するために、1週間未満などの短期貸し出しを禁じる規約を制定予定です。一方で理事会の役員としての私ではなく「個人としての」私は、規約による規制には中立的です。私自身賃貸部屋のオーナーでもありますから、過半数のオーナーが非居住なワンルームマンションなんかは、儲かりそうなら大歓迎でも全くかまわない。
 
 管理組合にとって大事なことは、もし制限・禁止していく方向性であるなら
①「規約で規制すれば、その規約規定が優先されること」 の確認と
②「民泊の条例が出た後に管理規約で縛ろうとしても、私権の侵害だと抗議が出る可能性」への対応
かなと思います。1点目は明らかになったので2点目はそのうちもう少し深堀りしてみようかなと思います。
 
#なお、上の部分の”確認しました”ネタは、RJC48のサイボウズliveの掲示板に書き込みがあったものです。当該書きこみをされた方に、きちんと、マンション名は明かさない条件でのブログへの転載許可をとったものです。無許可で copy & paste したりはしません。

 
 
【付録; 私のブログでのAirbnb問題の過去のとりあげ】
 
〇 管理組合からみた Airbnb -1 最近の動きから
    http://ameblo.jp/haruboo0/entry-12054807664.html
 
〇 管理組合からみた Airbnb -2 管理規約による制限
    http://ameblo.jp/haruboo0/entry-12055869931.html
 
〇 管理組合からみた Airbnb -3 禁止規約の実装例の公開
    http://ameblo.jp/haruboo0/entry-12057278184.html
 
〇 管理組合からみた Airbnb -4 いきなりまとめ
    http://ameblo.jp/haruboo0/entry-12068597308.html
 
 
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、
勤務先、その他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません

 
理事長同士の情報交換に関心のある方は、こちらから。
まず入らないと勉強会には参加できません。
 → 
http://rjc48.com (RJC48への参加から)

よかったら、ぽちってください。別にやばいことは何もおこらなくって
マンション管理の人気ブログリストです
 
↓ ↓ ↓ ↓