1つは普段のトレーニングや練習からアンサンブル、もっと大きな合奏、コンサート全てに共通して使える楽器の演奏そのものへアプローチする意味で。
何かの音を出す時、若しくは何かのフレーズを吹く時にどれだけの人がどれだけのイメージを持って準備し音にしているだろう。
レッスンをしていると最初の音だけを考えて、時には最初の音すらも頭の中に無く行き当たりばったりって事も少なくない。考えてる人もこの音はこれ位の身体の使い方でこのアンブシュアの力の入れ具合と判断してる人も少なく無いように思う。
まず頭の中でこれから演奏する音やフレーズを思い描き、出来るだけ時間も端折らずに、一度頭の中で、さも自身が吹いているように脳内で吹いてみてからそれに合わせて身体や呼吸を準備してみると効果的。ここまで出来るとアンブシュアは身体が選ぶ。自然にその音を発する状態に動く。
大切なのは延ばしの音も端折らずに時間も吹く時と全く同じ様にそのままシュミレーションする事。頭の中では二回吹く事になり二回目に実際に音にする事になる。
これでかなりの不具合が自然に改善される。
また、改善される人はそれだけそれまで準備がおろそかになっていると言う事でもある。
2つ目のシュミレーション。
ステージの上での事。
これは基本的に2つに分けると良いと思う。先ずはシュミレーションと言うより、ステージでは何が起こりうるか考えてそれに対して対処を用意しておく事。
あがり(緊張)、ピッチが高い、低い、テンポのズレ、演奏環境(暑い、寒い)、音量のバランスetc.
ピッチならどの気温なら何処までコントロールが効き暑くなったらどれ位上がるのか?寒い時は何処まで上げられるか?を確認しておく。
テンポは様々なテンポで練習して自分の限界を超える時にどうするかも作戦を練る 笑
演奏環境を変えて練習する。
大きな音や小さな音、周りとのアンサンブルにおいて自分がどうなってるか(どう影響を受けて、どう対処するか)を普段から感じ取っておく。
しかし、緊張に関しては悪い事をシュミレーション〜想像しない方が良い。何故ならそれは実際のステージで緊張をより強く起こりやすくする可能性が有るからだ。想像して対処方を考えても殆ど効果は無いだろう。
緊張は自らが作り出すものであり、そこに確かに存在するものでは無い。自らの心の中にある。それをつくる努力を普段から故意にしてしまうとその場面でそちらが優先される。シュミレーションするなら、ひたすら人前で心地良く音楽を奏でている自分を思い描く方が遥かに効果的だと思う。
緊張そのものに対処する方法は無いと思う。そのまま受け入れて何時もの様に演奏する事が一番早く緊張を収めたり、緊張を更なる力に変えてくれる。
普段の練習の中で求める精度を上げて集中する事。此処はステージの上だとシュミレーションすれば良い意味での緊張感が生まれるし、それ以上のシュミレーションは必要無い〜ただし、この場合は個人での練習の意味で、アンサンブルで行う場合は進行やホールでやる事、現実に近いシュミレーションで自然に緊張感を味わえる。要は緊張してもちゃんと身体は動くと判れば「余計な事」をしなくなり、普段通りに身体は動く。もし、ミスが出たとしよう。そのミスは普段は絶対に起こりえないか?音が揺れたとしよう。準備を慌てたり、息が整わないうちに楽器を吹いて同じ様なことは無かったか?緊張するあまり、いや、緊張に対処しようとするあまりにごく当たり前な手順を端折って無いだろうか?心当たりがあるなら緊張により敏感になり(これは感覚を研ぎ澄ませた状態でプラスに働くし、そこの感覚の鋭敏さに負けない心の強さは必要かも知れない)自身の意識がそれを加速させている。対処法として普段と違う事をする事で益々深みにはまる。
その時に最初に書いた、これから吹くフレーズをシュミレーションする事が普段から出来ていて、ステージ上でも出来れば身体は覚えており緊張とはほとんど関係無く身体のシステム動く。正確には脳の「意識がアクセス出来ない部位」が仕事をしてくれる。この部位に楽器を演奏する行為が記憶されないと楽器は上手くコントロール出来ない。いちいち分析すると全てはぎこちなくなる。考えれば考えるほど上手くいなくなる。
(ただし、自分の弱点を克服する時に出来ればアドバイザーから全体を観察してもらいバランスを修正する事は有効だと思う。しかし、この場合も全体を感じ取りながら全てが同時に動く事は大切で一ヶ所を分析してそれらを総合するようなアプローチは実戦では役に立たないと思う)