レッスンで大事なのはどうやったら出来るを教える事よりどうやったらやり方を見つけられるか?を会得してもらう事だと思うこの頃。
しかし、毎日吹けなくて、しかも大変な楽譜を吹かなくてはならず調子がブレやすい社会人の愛好家の方のレッスンなどはそのバランスを戻してあげるようなインストラクター、トレーナーの一面と自分で紐解いてもらう様にさらに先に進めるようにレッスンをする二面が必要だと考えてる。
今日は少し手早く調子の調整と曲のアプローチと思って2時間経ち終わったと思った所で「もう一曲あるのですが…」とピアノとフォルテのソナタのパート譜が登場(笑)
そこから一時間やりましたとも。
その中で「このフレーズの感じ方を会得できる練習方法は有りませんか?」と訊かれたのだけど、「有りません」と正直に答えて、そのフレーズを出来るだけ簡単にした状態を吹いてもらいどうやったらフレーズの一番コア部分が感じ取りやすくなるかを伝えた。幸いそれで感じ取って貰えてその瞬間にタンギングや技術も改善された。
身体がどう動くか?どんな奏法をしてるか?に留まらずにその人が何を聴いて何を見て何を考えているか?に辿り着くことが教える時には外せない。根本が変わらないとまた違う道程を辿って同じ迷路にはまると思う。身体に現れてることは結果だから。僕は身体だけを見るのは浅いと考えてる。
今日の質問からは、やはりその方の何処かにマニュアルを求めているのだなってのが判る。これは悪口で無くて誰でもある事で自分自身にも有る。こうやったら全て上手くいくのでは無いかって… でも、そんな便利な物があったら誰でも直ぐに上手になるし、それを唱えている人が居たらその人は天才級に演奏出来る筈。やっぱり出来るまで、違いを感じ取れるまで練習したり求めるのが第一に有って、教える側はその本人が気がついてない事、表に出てない深い部分を見抜いてヒントを渡す事がとても重要だと思う。
先日は活動の中で無理をした事により、倍音の変わり目でどうしても唇を強く閉じ音を口で掴む感じに陥って唇の振動が止まる様に陥ってしまった方に、口はそのままにしながら(唇に余分な力が働かない様に動きたいように自由にさせる様に)もっと歌う事、喉を使いましょうと日頃の一番かけるアドバイスをして「唇が開きますよね〜?」て声をかけたら「はい、それが怖くて(音が出なくなるのではないかと)閉じるようにしてます」と返事が……
本人が無意識のうちにかなり意識して行動してる事が本人の口から語られた瞬間。気が付いた途端に音はかすれが消えた。僕としては口を閉じるのは何か他の意識が原因?って考えまくってたのだけど、答えは一番単純だった。もちろん、そこに陥る様になった原因が有って本当に意識する部分はそちらなのだけど、先ずは音が消える事への不安を取り除かないと先へ進めない。
難しいのは本人が気がつかないうちにただ指摘だけをしても意識の深い所に届かないか、分かって貰えないと誤解を受けるか、やっぱりダメなのか…ってなりやすい事。本人の口から語ってもらうのが一番早い。本人も「え⁈」てなる。本人が大切だとか常識だと思ってる事にその1番の大元が隠されてる事が多い。
そのお二人に音の出だしで効果的に働いた言葉。
「音程を歌う喉、タンギング、唇の3つが同時に動く様に意識して下さい」(最初はタンギングと唇だけでも良い)
本当は呼吸や様々な事全てが同時に動く事が必要だけどその3つだけでも、一つ一つに注目する事によりバラバラになった事が同時に動き始めるだけで全体として動き出す。僕の感覚とは違うのだけど本来あるべきバランスに繋げるにはとても効果的。