あがり症 | HARUのブログ

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ラッパの事、普段の事、色々。

あがると言うのは緊張の強いものですよね。

極端に緊張してしまう人。

僕自身がそうだったのでよ〜くわかります。


で、どうやって克服したか?
最近、色々なところでこう言うマニュアルを見ますが、僕自身は克服はしてないと思います。正確には緊張は殆ど毎回します。共存してます。

以前にも書いてるので同じ事を何故もう一度書くかというと、先日福岡でメサイアを演奏した時に最初のソロ合わせで久々に喉まで乾く緊張を経験したからです。その日は朝から体調も優れず… と思っていたのですが、ただ単に緊張してただけでした(大笑)

で、その久々の緊張で演奏が駄目だったかと言うとそれは殆ど関係有りませんでした。緊張して無くても失敗する事は有るし、ガチガチに緊張していてもいつもより集中して高い完成度になる事もある。逆に緊張は集中を高める武器にもなります。

因みにその本番は今まで中で1番バスのソリストと会話が出来て、装飾もお互いに競い合うようなスリリングなコンサートになりました。これはアドレナリンが出てないとああはならなかったと思います。冷めーた演奏になる。

要は緊張した時に慌てず自らの足でしっかりと立ち冷静にいつものように行動して、もしミスが出てもそれが「デフォルメされて聞こえて来る事」に気が付き、しかも起きた事は音楽の時間の流れの上では取り消せない事がちゃんと理解できていれば先の事に集中出来る。自ら緊張感に立ち向かえる事が必要になります。厳しい様ですが、これが出来ないならステージに立つのは難しい… でも、普段からの練習でかなりメンタルは鍛えられるはずです。根性論では有りません(笑)でも、1回のレッスンで判ったようになる事でも有りません。ゆっくりと自分の内面を育てるトレーニングが必要だと思います。

普段から自分の出す音に対して音楽的なことも含めて精度を高く集中する練習にする事。オススメは曲を1日に1回だけ全部を通す練習。ミスしてもやり直したり止めたりはしません。最初は簡単な曲で良いと思います。音色、音程、音楽的な事をクリア出来るように。録音や録画してプレイバックするとよくわかります。その日はそこまで、取り出しての練習もしません。翌日同じ様に1回だけ通す時に前日の修正が出来る様に吹く前に頭の中で組み立てます。そして前日と同じ様に1度だけ通す。それを1週間〜1ヶ月位続けてみて、どうしてもテクニック的に上手くいかない所は取り出す。でも、ガムシャラに何十、何百とやるので無くてかならず出来るテンポから(頭の中が慌てずに済むテンポ)じっくりとやる事。それが例え四分音符40の速さであっても。1つのテンポで3回続けてノーミスで行けたらテンポを上げる。
そして、それがある程度出来たらまた1日1回の練習に戻します。その繰り返し。半年、一年、曲を変えながら続けます。それが出来た人にはここに書いた意味が解ると思います。

これをやるとその曲を演奏する時や、経験が増えて来るとその曲だけで無くて人前で演奏する時にどう集中すれば良いか見えてきます。要は普段の練習の精度を上げて緊張していてもそのままやれば身体は動いてくれます。もし、ミスが出ても普段と違う場所なだけで普段から何処かミスが出たりしていませんか?緊張してる時にはそれを大袈裟に感じるんです。そこから慌て始めて普段やらない事をやる。そして負のスパイラルにハマる→緊張したからダメだったと緊張のせいにする。
これがあるうちはけっして上手くいかないと思います。
世の中には緊張を緩和する様々なアイディアも有りますが、経験上、たまたま一回は上手くいってもその次からも有効とは限りませんし、有効期限つきのお守りみたいなもので本当の意味での克服にはならないと思います。師匠のレッスンで毎回の震えてた僕が言うのですから間違いない。今では内側の緊張は楽しみつつ、それを外には見せません。

もう一つ、緊張とは違いますが人前で演奏するのが好きでない。仕方なく演るって方もいらっしゃいますが、どうなのでしょうか?
僕は人前で演奏するのに緊張が伴いますが、人前で音楽を奏でて共感してもらえる事に何よりも喜びを感じますし、とても幸せです。仕方なくなんてことは思いつきもしない。逆に言えばそれは聴きに来てくださる方に失礼だとすら思います。

現実の世界から少し離れたコンサートに脚を運んでくださる方々に少しでもその望む世界に音でもって案内して差し上げられるか?それは決してあざとくもわざとらしくも無く、自らの内から自然と湧き出る音楽を源泉として自らも喜びを持って行われるべきもの。

行き着く所、その境地に完全に辿り着いていれば緊張なんて言葉とは無縁でしょう。

緊張は自分を良く見せたいって言うところから始まり(失敗して醜態を晒したくないも同じだし、人に迷惑をかけたくない、プロだからちゃんとしないとってのも同じだと思います)、自分で膨らませてしまうものなのです。

緊張に対してのみの対応を準備する事は実は音楽そのものに集中する事から離れてしまうし、もし、その中の対応の中の一つを忘れてしまい焦ったら何も手につかなくなるでしょう。その方法を探していたり、提案する人はまだ答えに辿り着く途中、それも未だ先が長い所にいるのだと思います。
何故なら上に書いた様に普段やらない事をやるから負のスパイラルに落ちる。緊張するから本番だから普段と違う事をすれば、普段やってること離れてしまい普通が分からなくなり、ますます自らを見失います。

実はそんなに複雑では無い。複雑にする事は危険だと思います。

先ず自分で自分自身が作り出す緊張に立ち向かう勇気を持てる事と普段の取り組み方が精度高く積み上げられていればその緊張は武器になります。