アドバイスをする事。 | HARUのブログ

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ラッパの事、普段の事、色々。

某所に書いた事が反響が有ったのでこちらにも転載の形で載せます。

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ちょっと上手く書けるかどうか自信は無い。
でも、ここ最近ずっと思って来た事、そしてドイツ旅行の中での事を踏まえて一つ。

よく「歌いなさいとか、技術的に出来てから表現を、完璧に出来るようになってから音楽的に、ちゃんと吹けないのに余計な事をするな、こうすると高い音が出るよ、高い音には息のスピードが必要だからその訓練を、幾つかのパターンを出来るようになるまで訓練して、」などなど、未だたくさんアドバイスの表現は有るのだけど、そのどれもが具体的な音楽を前提にしないと成り立たないと思う。

その音楽を前提にした事から外れたアドバイスを目にしたり聞いたりすると、ものすごく違和感を覚えるし、自分自身も短く無い人生の中でそこに縛られて来てるのを感じる。

ブレーメンのレッスン(日本ではあまり知られてない方にアドバイスを求めました。国内で彼女のような音楽的なアプローチをされるトランペット奏者は皆無だと思います)ではそこを鋭く見抜かれた。貴方は全てを持ってるのに何故もっと表現者にならないのか?って。(それは、何処までそこに入り込みどこまで自由になって良いかって事を実際にヨーロッパで演奏している演奏家に聞きたかったポイントそのものでした)
意識的に知識や経験があればある程度のセオリー通りになる曲を避けて、自分の中で迷いを持つ曲を選んでレッスンを受けました。
師 インマー氏のおかげやこれまでの経験の中でセオリー通りで自然に進むものはある程度見えて来たというのは有ったのですが、本質的に何を見るべきか?に迷いが有ったのです。

迷いに対しての答えでもあるのだけど「ああ、そういうことか!」って自分にかけられて居た(自らもかけて居た)意識への鍵を一度に簡単に開けてくれた。何を見てどう自らの扉を開くかが鮮明になりました。

ただ、彼女はそこを単に指摘するので無くて、何がそうさせているのか探りながら言葉を選んで、問いかけを混ぜながら進めて行く。意識の鍵が開いたもののなかなか音に現せない私に何曲かデュエットをして下さった。そこで、やっとスムーズに彼女の音楽の会話のテンポに乗っかる事が出来た。(これは今までの中でちょっとない位に楽しい時間だった)

自分の中の常識や受けて来た教育のある面がそれを素直に音にする事やもっと想像力を働かせる事に鍵をかけてた。会話をする事、指摘をする事、デュエットで彼女は見事にそのいくつかの鍵を外してくれたと思う。

僕の演奏を言葉豊かだと言ってくれる人もいます。でも、レッスンの最初に彼女の問いに音で応えられなかった。(普段よりずっと言葉に近い表現を求められた中で〜たぶん、普通に自分の仕事の中でやったらやり過ぎって言われる… でも、とてもファンタスティックで好き勝手とは違うもの)音楽家にとって音で応える、現わせるってことはどんな言葉より大切。


さて、気がついた事は、今巷にある奏法のアドバイスって、結局、その音楽を言葉のように話したり相手に伝えたり、感じた事を素直に音にする事から離れて行くようなアプローチがとっても多いと思う事。
とても良い方法でも、そこに直接的に音楽との結びつきを伴わないアドバイスは、気がつかないうちにそのアドバイスによって受け手にある種のロックをかける。(例えば自分はこのタイプだからこう、ハイノートはこう、全ての音を均一に、真っ直ぐ…等)
もちろん、技術としてやそのコツとしては大切な事もあるし、その場では効果を生む事も有る。しかし、それが反面、音楽の制約を生む言葉になりうるし、長い目で見ると音楽を奏でる技術の発展を邪魔する事になりかねないと思う。
そして、歌いなさいとか、もっと表現を抑揚をつけてってのも同じで、本人がそのメロディから本当の意味を感じ取れれば自然に音になるもの。自然に音になる様な吹き方を目指していれば、音楽の表現と奏法の双方が自然とバランス良く育つもの。平坦だから抑揚をこう付けるって方法論はとっても危険だと思う。それらに教師は気がつくべきではないだろうか。ここが自分の感じて居た違和感なんだなと今ならハッキリと判る。違和感が有れど言葉に出来なかった。
付け加えると楽器を演奏したり歌ったり目の前でする事が必ず必要と言っているわけでは無いんです。『音楽を感じさせるなにか』を伴わないアドバイスは非常に危険だと思うという事。
メールや実際にその場での空気を感じないやり取りはとっても危険だとも思う。特に未だ未熟である質問者に対しては危ないでしょうね。僕はここのコメントに質問されても答えません。実際に目の前で聴かないと判るわけないですから。

素晴らしい音楽家に出逢えた事に感謝。

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