最初、悪くないのだけど少し唇~バジングで掴む意識が有ると感じたので、「楽器を口元で構えた時に楽に演奏している時のイメージが持てるかどうか」質問。
「出来無い」との答え。
そこで、突っ込むのが私(笑)
「ほんの少しでも無い?
少しでもあったらそこに集中してそのイメージの通りに身体が自然に動くように(吹く準備が出来るように)してみて。」
少しエネルギー不足だけど自然に音が出る。
次に、「吹いてから次に吹く間に今吹いていたイメージや身体の感触をキープして」
わざとつばも抜いてもらいその瞬間にも途切れないように意識を持ってもらう。
繰り返すうちに15分程で完全に復調。
これは先日、違う方にも使ったアプローチ。
その時は、たぶん、"準備する事を感覚で感じる"って事を初めて実感してもらえたと思う。バラバラに一つずつ意識しようとしても怖くなったり、探り探りになったり、力が入ってぎこちなくなり最後には訳が分からなくなる。
以前は最初の段階でもう少し息をどうとか、身体をどうとか、何かを意識的に動かす声がけをして、良い状態を体感してもらう事から取り戻してもらっていたのだけど、この数年は止めてしまった。先ずは吹き手の内側を動かすことが先だと思うようになったから。その為に身体を使うアプローチも使うけど、何度かレッスンにいらっしゃって経験のある人には自分の中からどう良い状態を引き出すかを優先する様にして居る。初めてや経験が浅い場合は良い状態を作り出して体験してもらう事から始める。
方法を言葉にするとその手順しか残らないことが多い。肝心なのは心地良く良い音が出てるその事実と感触そのものなのに。
ここまでの間は私は楽器を吹かない。
呼吸法を含めアンブシュアやバジングはもちろん、あらゆる具体的な方法を話さない。
ペースが掴めたところで自分も吹く。
この方が気がついてもらえる。
リップスラーでは声で歌って貰った。
それで全て解決。
この時は声の出し方に対してアドバイスをする。舌の使い方は私のレッスンの中では御法度。舌はリラックスしていて勝手に動けば良い。
もし、アドバイスをしてもハイトーンではより広くと言う意識(意識だけで具体的には動かさない)を持ってもらい喉をリラックスしてと伝える。
タンギングも声で TA を話したり歌ってもらう。この時も声や話し方(舌の使い方では無い)にアドバイスする。
その後に楽器を吹けばクリアー。
今日では無いが最近こんな話もした。(よくする話)
「もし↑の方向に力を使い過ぎてそちらに筋肉が動いてたとする。でも、↓の方向に力をかけて筋肉を動かし、見た目がバランス良く見えても実は余分な力がダブル(↑+↓)でかかってしまうので返って結果は悪くなる。」
楽器を吹くという動作は生活の中には無い。でも、たとえば人が歩く事を覚える様にその人のペースの中で自然に出来ることを増やして行けばマニュアル~メソードなんて要らないのでは無いかってのは言い過ぎかな?
どちらかと言うと自然な動きを構えない様に伝えるメソードの方が大切な気がする。
イメージが有って聴きながら歌うって感覚が基本。
話変わって、コルネットの相談を受けた。
アメリカの作品をやるのでコルネット使うそう。
楽譜と楽器を見せてもらう。
まず楽器がショートスタイルのコルネット。これに深いマウスピースで演奏効果を期待すると奏者への負担は大きい。
アメリカンスタイルのコルネットでマウスピースも普通のカップならもっと楽に行けるだろう。何故だかは少し調べれば分かるので割愛。
アイディアは素敵だが、もう少し掘り下げて見ないと返って結果は悪くなる。表面だけ捉えると悪い方向を向く例だと思う。
ちなみに借りてらっしゃった楽器についてきたマウスピースはとても使用に耐えられる状態では無かった~そりゃどう吹いて良いか不安になるのが当たり前ってくらい、久しぶりに全く駄目な感じだった。
後、一~二週間そのまま自分のせいにして吹いていたら完全に大きなスランプになっていただろう。
「楽器の特性も説明して周りや指揮者に理解を求める事も大切な事だよ」とも伝えた。