周りの人達は、2年がかりでやっと通訳ガイド試験に合格していました。
英語のガイド試験は英検1級よりも難しい、という噂を聞いていたので、言語は違えど、自分にそんな難しい試験を一発で突破する力があるとは思えませんでした。
2年もあればなんとかなるんじゃないか、と当初は2年計画でゆっくりやろうと思っていました。
ところが、やっているうちに、こんな生活を2年も続けるのはイヤだなと思い始め、「絶対に一発合格してやる!」と思うようになりました。
その後は、大学受験の時にも発揮したことが無いような集中力を持続させ、念願かなって一発合格できたのです。
それは私の能力が高かったからではなく、大学を卒業後に勤めていた予備校での受験指導の経験と、勤めをやめてから1年ほど通っていた都立大大学院などでの聴講経験が、役に立ったと思います。
予備校では講師をしていたワケではなく、職員として校舎の運営をしたり、教科の担当を持って講師との連携を図ったりして教科の仕事をしたり、地区担当になったときには地区全体の運営をするという業務を担当しながら、自分でもクラスを担当して生徒の受験指導に当たっていました。
面談した生徒はのべで2000人を超えます。どちらかというと、優秀な生徒より、模試成績があまり芳しくなく、自分の志望する大学に合格するのはちょっと困難を要する…ような生徒が多かったように思います。
彼らの模試成績や話(勉強方法や日常生活、志望動機など)から、弱点や問題点を洗い出し、志望校の合格ラインに到達するためには何が必要なのか、勉強方法はどういう風にしていくか、などを話し合っていました。
この経験を活かして、自分自身に行っていた“セルフカウンセリング”は、かなり頼りになりました^^ なんせ、この分野では百戦錬磨ですから、「自分自身」という手ごわい相手にも、冷静に客観的に分析し、ガイダンスができたと思います(笑)
担当したクラスの中には、早慶や東大に合格するような生徒もいて、模試成績上位の人たちと模試で苦戦するような生徒達とのあきらかな違い…みたいなモノも肌で直接感じていました。
つまり、彼らは「どうして、この大学(あるいは、学部・学科)に行きたいのか?」ということをかなり明確に持っていました。
彼らに共通していえることは、「この大学」といっても、早稲田じゃなきゃ、とか慶応じゃなきゃ、ということではなく、自分が行けるところでいい、のです。
ただ、行った先で何をしたいのか、どういう人達に囲まれて、どういう生活をしたいのか、何を学びたいのか、ということが明確だったように思います。
それができるのであれば、早稲田でも慶応でも、明治でも、いいし、法学部でも経済学部でも良いのです。
価値観が自分自身に基づいているので、自己分析も客観的で冷静で、的確にできていたと思います。なので、こちらが何もいわなくても自分自身で弱点の洗い出しができるし、不得意分野もどうやって攻略していくか、などがスムーズにできているので、余計な不安がなく、面談でも「確認」して終わることが多かったです。
ところが、模試成績がなかなか上がっていかない人達の特徴としては、「どうしても早稲田か慶応に行きたい」あるいは、「とりあえず大学に行きたい」というこだわりが強く、そのこだわりは、「自分自身の価値観」に基づいたものではなく、「他人から見た自分の姿」に基づいたものが多かったように感じました。
だから、そこに行って何をするのか、どんな生活がしたいのか、ということについてはイメージが希薄で、「とりあえず行けば…」なんとかなる、と思っているのです。
そういう人達、「他人から見た自分」を意識しているので、自己分析がきちんとできていません。
他人から何かいわれると、批判や否定と受け取りがちなので、アドバイスを素直に受け取ることができないのです。こうなると、自分の殻に閉じこもりがちになり、がんばっているのに、思うような結果が出せず、自分自身を信じることもできなくなり、ますますつらくなって行く…というネガティブなスパイラルにハマりこみがちです。
もちろん、中には「勉強自体が嫌いで、本当は大学にも予備校にも行きたくないんだけど、親が行けというから仕方なく…」という人や、「働くのもイヤなので、とりあえず予備校に通っている」という人もいました。
そういう人達は、また別の問題として、今は、「目標を達成したいと考えている人」のことだけを話そうと思います。
<続く>