『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』を観ました。どこからネタバレになるかよく分からないので、ネタバレ嫌な方は読まない方がいいかも。
Under the skin. しかも「種の捕食」だって。黒髪に毛皮のコートを着た無表情なスカーレット・ヨハンソンもなんだか怪しげ。
ぶつぶつと奇妙な声が聞こえ、女性のシルエットが横たわった誰かの服を脱がせているという不穏な場面から始まります。その女性、名前すらない彼女は車でスコットランドの街を回り、男たちに声をかけていくのですが……。
よく分からないまま進む不穏な映画。なにせハンドカメラで撮ったような粗い映像と、「一般人」然とした他の登場人物の中で、主演のスカーレット・ヨハンソンが浮いています。ハリウッド女優がそのままのいで立ちで街に出てきたらこのくらい目立つのかな。
対照的に、彼女が男たちを「捕食」する場面はスタイリッシュ。捕食といっても食べるわけではないですが。何と呼んだらいいのか分からないのでタイトルに倣いました。きりきりとした音楽も、真っ黒な床へ沈んでいく男も怖い。
彼女は明らかに人を殺しているのですが、だから彼女だけが「悪い」かというと、そうでもないのが面白いところ。彼女の乗っている車の窓ガラスを叩く男やからかう男、ラストに出てくる人など、彼女に暴力を振るっているか、嫌がらせをしている人も出てきます。彼らに直接復讐するわけではないけれど、そういう男性への批判なのかなと思いました。彼女に声をかけられてあっさり車に乗る男性もいるけれど、これが男女逆だったら恐らく乗らないのではないだろうか……。女性が怪しげな男性の運転する車に乗る場面があれば、観客は少なくとも「危ない」と身構えるはず。
……と性暴力批判的な部分がある映画なのかなと思って観ていたのですが、ラストがショッキングでした。
肌すらも記号だというかのような。あれは誰の肌だったんですかね。『僕のエリ』(ヴァンパイア映画)もそうですが、ホラーやミステリーを雪の中で展開されると二重に辛い、気分が重い。育った場所が雪国なので余計嫌ですね。
私は2回は観なくて良いと思いました。
大学の授業のため観たのですが、今回のテーマが「セレブリティ」なので、スカーレット・ヨハンソンが主演していることが関係あるのかもしれません。最初に書いた通り、「スター」スカーレット・ヨハンソンと他の人のちぐはぐな感じが強く出ていました。こんな地味そうな映画に、マーベル作品や大作ものに出ているスカーレット・ヨハンソンが主演というのもびっくりでした。
授業が終わったらまた書きます。
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』
監督:ジョナサン・クレイザー
主演:スカーレット・ヨハンソン
製作年:213年
日本公開年:2014年
上映時間:108分
言語:英語