皆さんおはようございますニコ

 

 

東京ディズニーシーアメリカンウォーターフロントニューヨークエリアでひときわ目立つ建物と言えば、タワー・オブ・テラーのアトラクションの舞台となっているホテルハイタワーですよね。

 

 

 

 

19世紀末のニューヨークで一、二を争う富豪だったハリソン・ハイタワー3世が財力を誇示するために建てた高層建築…という設定になっています。

 

 

1892年に完成し、ハイタワー3世が謎の失踪を遂げた後、1899年に閉鎖されたこのホテル、高さは59メートルだそうです。

 

 

 

ところで、ニューヨーク・デリのマイルハイ・デリ・サンドをレポートした以下のリブログ記事の中で、現実世界のニューヨークで高層ビルの建築競争が始まったのは19世紀末という話をご紹介しました。

 

 

 

ホテルハイタワーが完成した1892年当時、現実世界のニューヨークで一番の高層ビルの高さはどれぐらいだったのか、気になりませんかはてなマーク

 

 

当時のニューヨークで一番高かったビルは、1890年完成のニューヨーク・ワールド・ビルディングWorld Building)です。

 

 

(写真はブルックリン公共図書館のデジタルコレクションより引用)

 

 

ニューヨーク・ワールド新聞社の本社ビルとして建てられ、同社の所有者であったジョセフ・ピューリッツァー(Joseph Pulitzer, 1847-1911)に因んで「ピューリッツァー・ビル」とも呼ばれていました。

 

 

建物部分の高さは94メートルあり、アンテナ塔を入れると110メートルに達していたそうです。

 

 

東京ディズニーシーのホテルハイタワーの59mを遥かに凌ぐ高さですねびっくり

 

 

 

もちろん、ディズニーパークの建物の「設定上の高さ」と「実際の高さ」は必ずしも一致しません。

 

 

パークの建物には、強制遠近法(forced perspective)という方法を使って実際よりも大きく見せているものが多いからです。

 

 

建物ではありませんが、ディズニーランドで強制遠近法を駆使して、七人の小人と同じ大きさで造られてしまった白雪姫の像を大きく見せる工夫がされていることを過去記事でご紹介しています。

 

 

 

 

建物に関して言えば、上層階に向かうほどフロアや窓の縦幅を狭くしていくと、下から見上げた時に上層階がずいぶん高く見えます。

 

 

パークの建物でこのような手法が多用されていることを考えると、実際の高さが59メートルでもホテルハイタワーの設定上の高さはそれ以上となっているのかも知れません。

 

 

 

とはいえ、見た感じホテルハイタワーの建物はそこまで極端な強制遠近法が使われているようには見えません。

 

 

また、建物内のエレベーターの階数表示やフロア案内を見ると、どうもこの建物は地階(ロビーフロア)+12階の13階構造となっているようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

余談ながら、階数の数え方が地階を1階とするアメリカ式ではなく、地階=0階のイギリス式のようなんですが、これが19世紀末のアメリカで一般的だったのかどうかも興味ある点です。

 

 

 

翻って、高さ94メートルのニューヨーク・ワールド・ビルディングのフロア数がどうだったかと言うと、20階建てだった模様。

 

 

各フロアの天井の高さが同じくらいだと仮定すると、高さ94メートルで20階建てのニューヨーク・ワールド・ビルディングと、高さ59メートルで13階建てのホテルハイタワーはほぼ比例関係にあります。

 

 

こうしたことを考えると、各フロアの天井が普通よりもずっと高いという設定でもない限りホテルハイタワーの設定上の高さは、概ね実際の高さと同じ59メートル程度と考えるのが妥当かと思います。

 

 

 

タワー・オブ・テラーのゲストは、業務用エレベーターに乗って、ロビーフロアから数えて13番目にあるペントハウスへと向かうわけですが、この「13」という数字は凶事の予兆として重要な意味を持っており、アトラクションのストーリー上、外すことができない要素だと思います。

 

 

この点は、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドやディズニーランドパリにあるタワー・オブ・テラーでも同様で、「事件」はロビーから13番目のフロアへと向かうエレベーターの中で発生します。

 

 

ところが、フロリダやパリのタワー・オブ・テラーの舞台は1930年代のハリウッド。

 

 

また記事を改めてご紹介したいと思いますが、実は1930年代のハリウッドで地上13階建ての建物というのは、極めて良く練られた設定なんです。

 

 

 

東京ディズニーシーのタワー・オブ・テラーは、1930年代のハリウッドから1910年代初頭のニューヨークへと舞台を移すことで、新たなバックストーリーを考える必要が生じ、ハイタワー3世の物語が生まれました。

 

 

ところが、1910年代どころか、ホテルハイタワーが開業した1890年代においても、既に現実世界のニューヨークでは高層建築の流行が訪れてしまっています。

 

 

個人的には、13階建ての建物というアトラクションの基本構造を維持したまま、財力を誇示するために高みを目指したというハイタワー3世の物語を組み合わせるのは少し無理があるように感じています。

 

 

敢えて整合的に解釈しようとするならば、やはり各フロアの天井が高いという理解をする必要があると思います。

 

 

94メートルのニューヨーク・ワールド・ビルディングが20階建てということは、単純計算で各フロアは4.7メートルほど。

 

 

実際には59メートルの高さのホテルハイタワーがニューヨーク・ワールド・ビルディングを超える高さ、例えば100メートル程度あるとして、地上13階建てであるとすれば、各フロアの高さは7.7メートルあることになります。

 

 

ずいぶん高い天井ですが、この設定が妥当なのかどうかは、ロビー階の様子だけからはちょっと判断しづらいところですあせる