吉川隆弘ピアノリサイタルに行ってきました! 〜思いもよらない「窯変(ようへん)」の進化〜 | 西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

西宮・門戸厄神 はりねずみのハリー鍼灸院 本木晋平

鍼灸師、保育士、JAPAN MENSA(メンサ)会員/IQ149(WAIS-Ⅲ)、日本抗加齢医学会指導士、実用イタリア語検定3級。趣味は読書、芸術鑑賞、小説執筆(2019年神戸新聞文芸年間賞受賞)、スイーツめぐり、香水づくり。

兵庫県立芸術文化センター

神戸女学院小ホールリサイタルへ

 

吉川隆弘ピアノリサイタル

バッハからケージに至るピアノ音楽の系譜

主催: イプシロン・インターナショナル株式会社

後援: 公社 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン / 世界の子供服マ・メール / RADIO BERRY FM栃木 / 公財 日伊協会

プログラム

 

を聴きに行ってきました。

 

 

 

プログラム

 

バッハ: パルティータ第3番イ短調 BWV827

ベートーヴェン: ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-1「月光」

 

(休憩 15分間)

 

ケージ: ある風景の中で

サティ: ジムノペディ第1番、グノシエンヌ第4番

ストラヴィンスキー: ペトルーシュカからの3楽章

 

 

アンコール

 

ショパン: バラード第1番 ト短調 Op.23


★アンコールの曲名は、2021年 12月3日(金) に浜離宮朝日ホールで行われる吉川隆弘ピアノリサイタル

 

 


の終了後、公開します。

 

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端的に言って

 

驚嘆しました。

「大人の遊び心」が加わっていることに。

 

実を言うと、以前ーー前回聴いた2021年5月時点でーー

吉川さんのピアニズム(ピアノ奏法、ピアノ音楽への解釈・アプローチ)はすでに完成されていて、

これからは円熟・熟練の域に進んでいくのだろうと予想していました。

 

とんでもなかった。

後生(ごしょう)(おそ)るべし。

 

生まれ変わったかのような、再び目覚めたかのような、

新しい境地を見た思いがしました。

拝みたくなるような。本当。

 

大人のゆとりというのか、

けれん味のない誠実なひとでないと出せない巧まざるユーモアが感じられて、とてもよかった。

 

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バッハのパルティータ第3番からして、いい意味でバロック音楽らしくない。

 

1曲目「アルマンド」ではロマン派の音楽を演奏するときのような精妙なペダリングが印象的で、

肉声のようなレガートな響きのおかげで、声部(メロディーライン)をクリアに聞き分けられました。

 

最後の2曲ーー6曲目の「スケルツォ」と7曲目の「ジーグ」など、痛快な爽やかでした。

一刀彫りのような野性味が心地よかった。

 

ーーー

 

ベートーヴェンの「月光」ソナタは、以前にも一度、演奏を聴いたことがあるのですが、

そのときの記憶と比べてしまうほど、充実した曲作りになっていて、やはり驚きました。

全体的にベースの音がよりはっきりして、その分落ち着いて聴けました。

吉川さんにとってベートーヴェンはとても大切な存在なんだということが分かる演奏でした。

 

ーーー

 

後半のケージ「ある風景の中で」は初めて聴きましたが、静かなのに「いつ終わるの?」と不安になってくる「常動曲(ペルペトゥウム・モビレ Perpetuum mobile)」の感のあるピアノ曲で、

やはり静かで不穏なサティのジムノペディ第1番、グノシェンヌ第4番と続けて演奏することで、

3楽章からなるソナタのように聞こえる(ただしソナタ形式の楽章はない)ーーなかなかモダンで心憎い趣向でした。

 

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そしてトリの、

ストラヴィンスキー: ペトルーシュカからの3楽章・・・

 

もう、皆さんにぜひ聴いてもらいたかったなあ❤️

説明が感動の邪魔にしかならない熱演❤️

 

【参考】こんな音楽です。

 

 

何より驚かされたのは、最高難度の「ペトルーシュカからの3楽章」を弾いた後、アンコールでショパンのバラード第1番を弾いたこと。

まさかの選択です。

完全に油断していました。サーヴィス精神にも程がある。

 

神戸牛のシャトーブリアンのステーキの後、デザートに最高級のジンベエザメのフカヒレ「天頂翅」の姿煮を出してきた、みたいな。

 

演奏終了後、思わず立ち上がって拍手してしまいました。

新型コロナ感染症対策の関係で「ブラヴォー!」って叫べないんで。

 

すごすぎて、マスクの下で笑ってしまいました

すごすぎて。

 

思いもよらない進化の「今」を見せていただき、ありがとうございました。

バッハのパルティータ第3番、また聴いてみよう。