あべのハルカス美術館「カラヴァッジョ展」に行ってきました。
自らの天才を持て余した画家カラヴァッジョーーミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571-1610)ーーの傑作を前にしていると、動物のようにうめきながら、意味不明なことばをつぶやきながら描く画家の背中が見える気します。
カラヴァッジョの作品は、カラヴァッジェスキ(カラヴァッジョの影響を受けて似たような作風の作品を作った画家)たちの作品とは違うんです。
「当たり前だろう」と言われればそれまでですが、みんなかなり似せている。
でも、似ているんだけれど、違う。
「いかに表現するか、いかに当世風にするか」だけでは、
一流になれても天才にはなれないことを教えてくれます。
「本当は表現できないことを理性では分かっているけれど、それでも表現を試みずにはにいられないエネルギー」がないと、ダメなんでしょうね。
竹から茶杓を作るのと同じ。作り上げたものに自分の魂を移しこむ切実さがないといけない。
ただ竹を削って茶杓をこさえました、というものに芸術のすごみは宿りません。
そのすごみは、おそらく、本当の苦しみや悲しみ、人間として存在することの罪を知り抜いているひとにしか分からないのでしょう。
親鸞の「悪人正機」や、聖書の「放蕩息子」の物語を思い出しました。
おすすめします!
2019年12月26日(木)~2020年2月16日(日)
あと2週間ほど。お早めに!