
2021年の夏のfishbowl、tip Toe.とのスリーマンが初現場だった。当時は、何となくタイトル未定とfishbowlが気になっていたのだが、ローカルアイドルを推すのは敷居が高い気がして躊躇していた。当然、そうなるときのホ。は良しあし抜きにして除外される。ライブを何度か見た結果、tip Toe.を推した。
当初、tip Toe.はライブはいいのだが、推すメンバーを考えあぐねていた。何度か見ていくうちに「未波あいり」が気になり推すことにした。
tip Toe.は、当初から決まっていた活動期間3年の決まり通り(実際は若干越えているのだが)、2024年7月にその活動を終えた。
きのホ。は何度か見ていたが、当初はライブだけ、で特典会には行ってなかった。tip Toe.の推しは「未波あいり」だったが、「柚月りん」の特典会もたまに行っていた。りんちゃんがくるちゃんと仲が良い事はtip Toe.を推していくうちに知った。何度かtip Toe.主催のりんちゃんイベントにゲストで来ていたが、丁度繁忙期だった事、またりんちゃん推しではなかった事から、自分は行かなかった。
ある時りんちゃんがくるちゃんパパが特典会に並んだ話をしたことがあった。冗談で「じゃあ、俺りんちゃんパパってくるちゃん所に並ぶわ」と言うとりんちゃんは大爆笑して「やってやって」と言ってきた。初めて行ったくるちゃんにその事を言うとケタケタ笑いながら「りんちゃんパパ」と書いてくれた。それがくるちゃんとの初接触だった。
それ以降、きのホ。がtip Toe.と被ると決まってくるちゃんに並んだ。ヲタクは推しグループの解散が決まると決まって「次どこ行くんすか?」と進路の話をする。僕の周りは「へんちゃんはきのホ。ですよね?」と言ってきた。特に考えてなかったが、2024年に入った頃には正直、きのホ。にドはまりしていた。もうきのホ。に通う事はもはや必然的だった。
tip Toe.二期のメンバーの現在は、というと、小宵めみがソロを一年間やった後、現在Drawly.で活動中。宮園ゆうかは、LUCYに加入後、2025/6で卒業、引退。その2人には、tip Toe.後会う事はあったが、2人以外、表舞台で活動をしていないりんちゃん、あらんちゃん、そして「未波あいり」とは会えていない。ふとした時に「未波あいり」に最後に言われた「またどこかで会おうね」という言葉が頭をよぎり寂しくなる。もう流石に一般人となった元推しを考えても仕方がないのでそろそろ忘れようとしているのに。
くるちゃん生誕が12/7に決定した。ゲストはギタリストの同道公祐と、柚月りん。りんちゃんは、tip活動終了後、表舞台に出てないため、約1年半ぶりにファンの前に現れる事になる。まぁそれが、りんちゃんだろうが、掟ポルシェだろうが、くるちゃん生誕に行かない理由はないのだが、やはり自分がくるちゃんを推すきっかけとなった、りんちゃんと再会出来る事は、格別だった。注意書きとして「りんちゃんの特典会はありません」との事。現在一般人となっている今、報酬が発生する事が問題なのか、りんちゃん自体が余り特典会をしたくないのか、はわからなかった。

場内にはくるちゃんが選曲したBGMが流れている。エビ中の「禁断のカルマ」やZOCなどに混じってtip Toe.の「さくら草の咲く頃に」が流れていたのが印象的だった。心なしかいつも以上に、くるみ推しが楽しそうにしている。何がどう、とは上手く表現出来ないのだが、なんとなく、そういうオーラをフロアから感じられた。
時間をちょっと過ぎると場内は暗くなり、白いロリータ衣装のくるちゃんが一人現れた。
一曲目はきのホ。の「晴天」だった。当たり前だけど、違和感が無い。
二曲目は同じくきのホ。の「シャインセンゲン」。元々きのホ。の中でも可愛いに特化した珍しい曲だが、ロリータ衣装のくるちゃんが一人で歌うと、更に可愛さは増された。途中の合いの手?もきのホ。ヲタクばかりの会場ではヲタクの声が、いつも以上に大きく響いたのが印象的だった。
ここでくるちゃんが簡単に紹介をし、りんちゃんが現れた。くるちゃんと合わせた白いロリータ衣装だった。1年半ぶり、なのだが、時間の感覚を忘れた。懐かしい、久しぶり、という感情は無く、いつも知っているりんちゃん、で相変わらず可愛かった。りんちゃんは、にこにこしながらくるちゃんと話す。tip時代はどちらかというとステージで話すことは余りなかったので、ちょっと珍しい光景だった。りんちゃんは髪を伸ばしていたらしいのだが、「くるちゃんと合わせるために切りました」と告げた。なるほど、余計あの頃のりんちゃんのまんまな訳だ。
そして2人はLADYBABYの「イースターバニー」を歌った。この曲は全然知らなかった。続いて耳なじみのあるイントロが流れた、tip Toe.の「シャッターチャンス」だった。tip Toe.をやるとは思っていたが、個人的に予想していたのは「夢日和」「星降る夜、君とダンスを」辺りだったのだが、これは一期曲である。二期推しだった僕としては歯がゆいが、一般的にtip Toe.は一期曲が有名で、二期曲を知っている人は少ない。「シャタチャ」を入れてくる辺り、くるちゃん通だな、と感心した。
何よりも目の前でりんちゃんが歌っているのを見ていると、tip Toe.そのものだった。くるちゃんのボーカルも全く違和感がない。
次にきのホ。の「TEA」。これはくるちゃんが「りんちゃんコールをさせたくて入れました」との事で、tip時代はほぼしなかった「りんちゃん」コールを思いきり入れた。TEAの間奏の所では余り慣れてないりんちゃんの為か、くるちゃんが「変な踊り」と言いながら2人してぐにゃぐにゃと踊った。
そして「りんちゃんは次が最後です」と告げられて始まったのは、tip Toe.の「シンガーソングトラベラー」だった。tip Toe.の活動終了が発表されたのは、2023年のTIFだった。そして、活動終了最後のツアーを並走する為の曲として発表されたのが「シンガーソングトラベラー」だった。二期の最後の一年間を通っていたら、もっとも思い入れのある曲である。曲中、印象的な「はぁ」という小宵めみ担当のため息パートをくるちゃんが再現していたのが面白くて笑った。久しぶりのパンMIXを叫んでいると気づくと涙が溢れてきた。
MCで、りんちゃんの特典会は無いけど、くるちゃんの特典会中10分位お散歩します、と告げられた。話しかけてもいいし、手を振ってもいいよ、と言われた。これは嬉しい誤算だった。
りんちゃんパートが終わるとギタリストの「同道公祐」さんが登場した。1年前に発売されたハロプロカバー集にくるちゃんはwith 同道さんと一緒にスマイレージの「私、ちょっとカワイイ裏番長」で参加していた。めちゃめちゃこのカバーが好きで、いつか聴きたい、と思っていたから、りんちゃんと同じくらい、同道さんがゲストを楽しみにしていた。そして同道さんは元々ポテトさんの店でバイトをしていた人、と説明されて「へー」となった。
大森靖子のカバーを挟み、「私、ちょっとカワイイ裏番長」が披露された。音源と全く同じなのにびっくりした。めちゃめちゃ同道さんのギターがカッコいいし、なによりくるちゃんの図太い歌い方もカッコいい。音源は2,3回でOK出たらしく、同道さんがしきりとくるちゃんの上手さを褒めていた。
ライブが終わると特典会会場の3階に移動した。初めは似顔絵からだった。マスクなしにするのでお話は出来ません、と告知された。一人一分だったので、そこそこ長い。目の前の女性が番になる直前にくるりと振り返り、僕に「今めっちゃ緊張するんですけど」と話しかけてきた。「多分みんなそうですよ」と励ました。
自分の番になると、くるちゃんはじっとこちらを見て「へんちゃんは描きやすい」とつぶやいた。余り自分の顔をそう表現された事は無かったので、なるほど、と思った。

似顔絵の番が終わったのでチェキ列に並んだ。暫くするとりんちゃんがやってきた。「やばい、めっちゃ人おる!」叫んだ。りんちゃんの脆さを、tip時代に見てきていると、楽しそうにするりんちゃんを見てるだけで嬉しかった。りんちゃんは、入口付近をうろうろして、当初予定だった散歩はやめ、お話会に変更する、と告げた。「お金貰わなければ法に触れない?大丈夫?」とヲタクたちに聞いてて笑った。「Drowly.どう?吉村さん元気?」と聞くと誰かが「めみと喧嘩してる」と答えた。りんちゃんは「昔からやん!」と突っ込んだ。一人一回で、時間は30秒程度。最後にハイタッチをしたり、しなかったり。
狭い会場だったのでりんちゃんの声が丸聞こえで、どうしても他の人のやり取りが耳に入ってくる。「今どこ通ってるの?」「Twitter見てるよ」と聞こえてくる。任意性で、当初はtipヲタが並んだが、すぐに列は切れた。と、次はきのホ。ヲタクたちが列に並んだ。「くるちゃん推し?」とか「tip知ってる?」と聞いていた。僕がくるちゃんとチェキを撮り終える頃には、きのホ。ヲタ列も切れていた。うーん、丸聞こえの中、行くのは気まずいな、と考えていると、きのホ。ヲタから「へんちゃんさん、行かないと」と背中を押され、しぶしぶ目の前に立つと、りんちゃんはそれまで他のヲタクに接していた笑顔が消え、急に神妙な顔になり小声で「未波あいりの事は、忘れないでいいと思う」と言った。頭の中が真っ白になった。
特典会時間を終えると、最後にりんちゃんが最後尾札として用意したくるちゃんとりんちゃんの似顔絵が書かれた台紙をめぐってのじゃんけん大会、となった。くるちゃんが慌てて走ってきてみんなと混じってやったが、くるちゃんは一回戦で負けてしおしおと自分の特典会場所に戻っていった。人生でじゃんけんに勝ったことがない位、激弱な僕なのだが、まさか最後勝ってしまった。りんちゃんは「おめでとう」と台紙を渡してくれた。
そうして最後に簡単な挨拶をした。りんちゃんは楽しかったのか、ヲタクとの別れを惜しんだ。「また会いたいな。よーし、不明なバーイベでもやるか!」と大声で叫んだ。会場が笑いで包まれた。
おしまい






